コロナ比べてみました!各国の入国規制を比較~日本vs韓国vsアメリカ
世界の大半の国がインバウンド受け入れを再開する中、日本を含む東アジア勢だけは今なお慎重な姿勢を貫いています。日本、中国、香港、マカオ、台湾は例外を除き禁止、韓国は相互主義のもと、一部の国に対してのみ受け入れを再開しています。では世界の国々はインバウンド受け入れに関してどのような対応を取っているのでしょうか。日本、韓国、アメリカを比較してみました。
※ コロナワクチンを打ってない方向けの情報は省略しています。
※ 情報は全て4月15日時点のものです。今後変更される可能性があります。慎重に調査していますが、間違いがあるかもしれない点、ご承知ください。間違いがあった場合、当方では責任を負いかねます。必ず各自で最新情報をご確認ください。
日本
1 ビザなし渡航の有無
不可。
2 日本入国時に陰性証明書の提示が必須
現地出発時刻の72時間前以内に取得した陰性証明書が必須。PCR検査のみ。日本政府が独自に推奨する雛形が存在するため、検査施設を探すのに苦労するなど対応が面倒と言われている(雛形以外の証明書も使用可能だが、万が一揉めて飛行機に乗れなくても自己責任)。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00248.html
参考→仁川空港でのPCR検査費用(外国人用価格): 平日 124,000ウォン / 平日午前7時から9時・週末・祝日 130,000ウォン
https://www.airport.kr/ap_cnt/en/svc/covid19/medical/medical.do
3 日本入国時に誓約書の提出が必須
記入事項は日付、パスポート番号、氏名。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00249.html
4 日本入国時にアプリの使用・登録が必須
MySOS、Google Maps、COCOAをインストールし使用しなければならない。7,に示す条件を満たし隔離を免除されている場合、これらアプリの使用にはほぼ形式的な意味しかない(→帰国後、健康状態に異常があった場合用)。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00250.html
5 日本入国時に質問票の提出が必須
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00251.html
6 日本入国時に、検査を受ける必要がある
7 日本入国後の隔離を避けるにはコロナワクチン3回接種が必須
対象のワクチン(1回目、2回目接種。ヤンセン製ワクチンは1回のみ):
ファイザー/ビオンテック、モデルナ、アストラゼネカ、ヤンセン、コバクシン
対象のワクチン(3回目接種。ヤンセン製ワクチンは2回目):
ファイザー/ビオンテック、モデルナ
ただし指定国・地域に滞在歴がある場合、自宅などで待機(=実質的な隔離)が必要。3日目以降に自主検査し、陰性結果を入国者健康確認センターに届出することで待機を終了することができる。
4月15日時点の指定国・地域:
ロシア、トルコ、スリランカ、韓国、エジプト、パキスタン、ベトナム
8 2から5とワクチン接種状況について、「ファストトラック」という、登録をまとめて行える仕組みが用意されている
ファストトラックへの登録は到着時間の16時間前までに完了する必要がある。
https://www.hco.mhlw.go.jp/faq/fasttrack.php
9 自宅やホテルまで公共交通機関で帰宅可能
10 4月現在、空港に到着後、諸手続きを済ませ空港を出られるまでの時間は1時間半から3時間ほどと報告されている
※以前と比べると大幅に縮小されている
韓国
1 ビザなし渡航の有無
4月15日現在、96カ国を対象に再開(日本は対象外)。ビザなし・免除対象国の国民は渡航前にK-ETA(アメリカのESTAに相当)を取得する必要がある。K-ETAの取得手数料は10,000ウォン(約1,000円)。
https://www.k-eta.go.kr/
2 韓国入国時に陰性証明書の提示が必須
出発時刻の48時間前以内に取得した陰性証明書が必須。PCR検査のみ。氏名や結果など、必要事項が全て記載されていればよく、日本政府が求めるような特殊な雛形は存在しない。
https://overseas.mofa.go.kr/sg-en/brd/m_2435/view.do?seq=761295
参考→成田空港でのPCR検査費用: 23,000円 (日本医科大学成田国際空港クリニック 成田国際空港PCRセンター)
https://www.nms-pcr.com/
3 韓国入国時に、検査を受ける必要がある
入国1日目および6日目または7日目に検査を行う。6日目または7日目の検査義務は6月に廃止予定。
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20220415001800882
4 韓国入国後の隔離を避けるにはコロナワクチン接種完了が必須
2回目接種(ヤンセン製ワクチンは1回接種)から14日経過で接種完了とみなす。180日間有効。2回目接種から180日経過した場合は3回目接種(ヤンセンは2回目)が必要。
韓国以外の国でコロナワクチンを受けた方は、Q-Codeというシステムで、ワクチン接種を完了している旨、韓国への出発前に登録する必要がある。
対象のワクチン:
ファイザー/ビオンテック、モデルナ、アストラゼネカ、ヤンセン、シノファーム、シノバック、コバクシン、ノババックス
https://overseas.mofa.go.kr/sg-en/brd/m_2444/view.do?seq=761454&page=1
5 自宅やホテルまで公共交通機関で移動可能
現在、公共交通機関ではマスク着用が義務付けられている。また、屋内・屋外を問わず、公共の場所でのマスク着用が義務付けられている。屋外での規制については2週間後に見直し予定と報じられている(4月15日付)。
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-southkorea-idJPKCN2M703W
アメリカ
1 ビザなし渡航の有無
実施中。ビザなし・免除対象国の国民は渡航前にESTAを取得する必要がある。ESTAの取得手数料は14ドル(約1,800円)。
https://esta.cbp.dhs.gov/
2 アメリカに入国するにはコロナワクチン接種完了が必須
2回目接種(ヤンセン製ワクチンは1回接種)から14日経過で接種完了とみなす。
対象のワクチン:
ファイザー/ビオンテック、モデルナ、アストラゼネカ、ヤンセン、シノファーム、シノバック、コバクシン、ノババックス、メディカゴ
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/travelers/proof-of-vaccination.html
3 出発前に宣誓書を航空会社に提出する必要がある
4 出発前にコンタクト・トレーシング・フォームを航空会社に提出する必要がある
5 アメリカ入国時に陰性証明書の提示が必須
出発時刻の1日前以内に取得した陰性証明書が必須。PCR検査と抗原検査のいずれも有効。
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/travelers/testing-international-air-travelers.html
検査を受ける前にアメリカ入国向けに対応してるかよく確認すること。在日アメリカ大使館ウェブサイトに対応検査施設一覧が掲載されている。
https://jp.usembassy.gov/services/pcr-testing-facilities-in-japan/
参考→成田空港でのPCR検査費用: 23,000円 (日本医科大学成田国際空港クリニック 成田国際空港PCRセンター)
https://www.nms-pcr.com/
6 アメリカ入国後の検査と隔離はいずれも不要
7 目的地まで公共交通機関で移動可能
現在、公共交通機関ではマスク着用が義務付けられている。
考察・まとめ:
日本・韓国・アメリカの外国人向け入国規制はいくつかの面で似ている。一例を上げると、3カ国とも、ワクチン接種の有無にかかわらず、出発前の検査が必ず必要になる。内容ごとに難易度を並べると下記となる(左からゆるい順に)。
ビザなし入国の範囲: アメリカ(全部OK) > 韓国(一部OK) >>>>> 日本(不可。先行きも未定)
出国前の検査証明書の取得条件(時間など); 日本(72時間以内) > 韓国(48時間以内) ≧ アメリカ(1日以内)
出国前の検査証明書入手の容易さ: アメリカ(抗原検査でOK) > 韓国 > 日本(推奨フォーマットあり)
入国後の検査有無: アメリカ(検査不要) >>>>> 日本 = 韓国
隔離免除のための条件(ワクチン接種回数): アメリカ(2回でOK) > 韓国(180日経過で3回目必須) > 日本(3回目必須)
対象ワクチンの範囲: アメリカ(WHO承認全部+メディカゴ) ≧ 韓国(WHO承認全部) > 日本(中国製とノババックスは対象外)
日米韓いずれもコロナワクチンを2回または3回打てば、入国後の隔離は免除される。また自宅やホテルまで公共交通機関で移動できる。これらについては以前の状態と比べて決定的に改善され、旅行実施に必須な条件が一つ満たされたと言える。アメリカについては、ワクチン接種自体が入国への絶対条件になっている。例えば、ノバク・ジョコビッチはアメリカに入国できない。
3カ国で大きく異なるのは、ビザなし渡航や観光客受け入れ再開の有無である。日本は全面不可、アメリカは全面的に受け入れている。韓国は解禁済みだが、観光客受入上位国はアメリカを除き軒並み対象外となっているため(日本、中国、香港、台湾)、インバウンドは今も低調なままである。
韓国は徹底的に相互主義を貫いている。そのため、韓国側が政治決断を行う、すなわち、日本が韓国人のビザなし渡航を認めていない状態で日本人の韓国へのビザなし渡航を認めない限り、日本人の韓国へのビザなし渡航はすぐには実施されないと想定される。これは、逆の見方をすると、日本が韓国人へのビザなし渡航を認めたら、明日にでも日本人の韓国へのビザなし渡航が可能になるのはほぼ確実ということを意味する。しかし、日本ではインバウンド受け入れ再開についての議論さえほとんど存在しないわけで、過度な期待は禁物だろう。また、今後、日本がインバウンド受け入れを再開したとしても、韓国はコロナ感染者数が多いため(4月15日現在、日本が指定国・地域に指定するほどである)、日本へのビザなし渡航をアメリカ人やヨーロッパ人には認めるのに、韓国人には認めないといった可能性も考慮しておくべきである。
アメリカに行く、また日本人の韓国へのビザなし渡航が解禁されて韓国へ行けるようになった場合に、入国前(後)に検査が必要な点が大きなネックになる。往復で最低2回、検査費用として1人3万円前後も必要になる。3万円というと、格安航空会社で日韓を2、3回往復できそうな金額である。ヨーロッパやアメリカに行くのならまだしも、韓国に行く人は若者も多く、また韓国旅行の予算は比較的少ないことを考えると、大きな負担になろう。
また費用のみならず、万が一陽性結果が出た場合についても考える必要がある。出発前に陽性になった場合、旅行自体をキャンセルしなければならない。入国時や現地出発前の検査についても同様で、観光できないまま隔離施設で過ごすといった事態さえ考えられる(先程、航空自衛隊の最高幹部がコロナ陽性のため帰国できず、アメリカで足止めされていると報道された→航空自衛隊トップ 訪問先のアメリカで新型コロナ感染確認 :NHK 4月14日)。もっとも、そのような事態に陥った場合でも、「たびほ」などの海外旅行保険で旅行キャンセル費用特約や旅行中断費用特約を付けておけば、経済的損失はおおむねカバーできる。しかし、お金は取り戻せても失われた時間や機会は取り戻せない。
上記、検査にかかる問題を考えるに、組織で働く会社員や公務員などは、海外に出かけることはほぼ不可能なのが実態だろう。そのような状況に、進行する円安、燃油価格の上昇、そしてヨーロッパ方面に関してはロシア領空の閉鎖が追い打ちをかけているわけだ。ビザなし渡航の実施を絶対条件として、検査に関する規制が抜本的に緩和されない限り、世界はまだまだ遠い。
*おしまい*