シネマ・クレール丸の内での発見 岡山芸術交流2019
11月半ばの日程で岡山芸術交流に来ている。シネマ・クレール丸の内で映像作品の上映(1日1回!)があり、その時間に合わせて行動する必要がある。
もう一週間後の日程だったら、マシュー・バーニーのリダウトが上映されていた。
会期中のほとんどの日程で上映されるファビアン・ジロー&ラファエル・シボーニの「反転資本 公理」(58分14秒, 2018)が上映される。お昼過ぎから先着順。
映像作品は暗視カメラを使って野生動物を撮影したもの。だと思う。
というのも、カメラは固定されていたわけではなく、鳥、蛇などの野生動物らしきものをひたすら捉え続けている。そして、バックグラウンドにコオロギの鳴き声が続いている。その映像が1時間くらい続く。
岡山入り前の強行日程もあってか、意識を失った...。
連続するコオロギの音。大きな鳥の背、白黒の映像。たまに違う動物がでるが、そのうち同じ動物に戻ってくる。K先輩の友人は動物の力強さを感じたというが、そうした人は稀有だと思う。
意識下と無意識下をいったりきたりしている中で、作品は突然終わる。
上映が完了しても席を立つべきかと躊躇している観客、「ほとんどの人が寝てたね」なんて言うアカデミック風なマダム二人の言葉が印象的だった。
あれは何だったのだろうか。そんな風に考えつつも、A会場に戻ってきた。その瞬間、ピエール・ユイグの作品と繋がった。
この作品は他人の夢を可視化しようという試み。寝ている人の脳にセンサーをつけて、脳がイメージしているものを脳波から映像化しようとする脳科学の実験。無意識の領域にまで、AIが進出しようとしている。
無意識と意識下を往復する中で、見たことがあるようなイメージが浮かぶ。あの映像作品とこの作品は繋がっている。というか共鳴しているという感じ。
これが交流ということか。
岡山でアーティストが交流する。そして、作品を作る。そうしたアートの空間を通じて、僕みたいな県外から訪れた人間と地元のボランティアスタッフとが交流するということだ。
それを理解してからは、芸術交流の楽しみ方が変わった。積極的にボランティアスタッフに話しかけ、鑑賞している人たちを見たり、たまたま話をした人とは、自分の解釈を話し合う。これは楽しい。
とある会場で、ボランティアスタッフから声をかけられた。作品の解釈についての会話、その解釈について議論を重ねる。不思議なことにK先輩の名前が出てくる。
「あれ、Kさんって、ひょっとしてK先輩のことですか?」
びっくり!!
その通りだった。2週間ほど前にK先輩が訪問した時にも、作品の解釈について解説してもらったらしい。その解説を僕にしてくれたということ。ものすごい照れ笑い。その方は、岡山でも大きな企業の取締役だった。それもびっくり。
こうした交流がちょくちょく発生する。それこそ交流人口の向上に貢献する芸術祭なのでしょうね。
ストライプインターナショナルの石川さん。著書の中で、岡山の人に受けた恩を返したいといったようなことを書いていた。当初は、彼のコレクションのための交流祭なのではないかと斜に見ていたが、そんなことは無いのだろうと思う。
この日は、ほとんどの展示を見ることができた。翌日は、イアン・チェンを中心にじっくり見るつもり。