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『ポスト資本主義のブランディング〜ウェブ3.0時代の価値共創〜|ウェブ電通報』を読んで考えたこと

ブランド

使うコンテキストによって、これほど言葉が持つイメージが変化するのも珍しいと思う。

教科書的な書籍によれば、飼っていた牛を区別するための焼き印がブランドの起こり、すなわち、他と区別することが、ブランディング。

一言でブランドと言っても、いろいろな説明のある難しい言葉。でもね、アートよりかは、とっつきやすいかもしれない。

アパレル企業にとってはブランドとはラベルに印字する名前かもしれないし、IT企業にとってはスマホでよくタップするアプリの名前かもしれない。消費財メーカーでは、スーパーで手に取ってもらえる商品のパッケージ。選んでもらうための目印、総じてブランドなのでしょう。あるマーケターは、「ブランドとは顧客との約束」と言っていたような気がする。(ちなみに、アパレル企業のMD担当者とブランドについて5時間くらいディスカッションしたことがある。いろいろと勉強になった。)

僕の本業勤務先もブランドには気を配っていて、確かグローバルのトップ100ブランドには、一応ランクインしていたはず。ここ5年でかなり上位に食い込むようになった。

Kantar の BrandZ のレポート、2020年版は1位Amazon、Apple、Microsoft、Googleと4位までをITの巨人が占める。日本企業は、トヨタ自動車が48位でトップであり、ついでNTTが63位。以前はコカ・コーラ、マクドナルドが強かったが、マクドナルドがかろうじてトップ10に踏みとどまっている。


さて、ポスト資本主義のブランディングというテキストがあり、読んでみたので note に書いておこうと思う。


タイトルにあるWeb 3.0はくるのか。

ブロックチェーン技術を活用したインターネットのことを Web 3.0と呼んでいるように推測する。ブロックチェーンについては、いろいろと調査もしたけれど、まだ実装技術の方に注目が集まっているようで、社会実装はこれからといった印象。2019年にアメリカのブロックチェーン関連の投資がピークを迎えたとあった。2020年のこの状況になってどうなったかは追いかけていないけれど、穏やかではないと思う。

ブロックチェーン技術は、ビジネス・アイデアに対して、ブロックチェーンである必要性をもう少し注入しないといけないと思う。ブロックチェーン技術を使いたいがためのビジネス・アイデアでは破綻してしまう。2019年に見ていたビジネス・アイデアは、仮想通貨関連を除くと、実装されているサービスはブロックチェーンでなくても実現できるものに見える。



ソーシャルメディアのアルゴリズムが価値観の分断を促進していたりする。

ソーシャル・メディアは、利用者を広告ターゲティングしやすいようにグループ化する。Googleも、Facebookも、広告というビジネス・モデルに依拠している以上、そうしたターゲティングを行い、グループ化したセグメントを商品として広告主に提供した方が、販売機会も販売価格も上げることができる。

正義中毒

ソーシャル・メディアのアルゴリズムによる分断が、「正義中毒」を発生させる一因となっているらしい。



今後デジタル情報の活用をめぐる社会ルールが、世界的にも大きく変わっていく転換点であると。

個人情報を差し出す、タダで使えるサービス、個人の利益は向上するかもしれないが、社会としての利益はむしろ低下するのかもしれない。ソーシャル・メディアがもたらす社会分断、正義マン、同調圧力。また、タダで利用できるからこそ、独占禁止法にも抵触しづらい。そこの抵抗として生まれたのがGDPRだろうと考える。ちなみに、EU圏外に個人情報を移転保管してもよいという条項があり、十分生認定なんだけど、日本の個人情報保護法が、その適用を受けている。EU圏の個人情報をEUの申請をしなくても日本のデータセンターに保管してもいい。こうした便益があるからには、もちろん制限もあり、日本の個人情報保護法が、GDPR と同等の個人情報を守る仕組みがると認定されること。数年に一度の更新があり、2020年が更新の年、罰則規定が GDPR に比べて大分弱かったけれど、若干改善された。それでも GDPR の罰則に比べれば弱い。そんな背景もあってか、日本企業の個人情報の取り扱いは杜撰であり、名だたる大企業まで漏洩事故を起こしている。このあたりの意識と罰則規定は、徐々に移行していくものと思われる。


日本の企業や行政の中でも、個人データの統合を進める中国を見習うべきだといった議論を見かけます。それは国民を管理するという話ではなく、コマースや行動履歴を分析してマーケティングを高度化するうんぬん、みたいな議論ですね。これはすごく怖いなと思っていて。社会学者のジグムント・バウマン(※7)は、著作の中でプライバシーというのは、他人と自分が違うということを区分できる最後の領分であると述べていますが、そこを放棄することは自己を放棄することであると思います。

大切な議論

このテキストを読んで、セルフ・ブランディングを思った。企業が競合との違いをブランドとして示すならば、個人が他人と違うということをプライバシーという形で示す。

日本の個人情報保護法は、個人情報を匿名化した上で、マーケティング活動に活用しようという意図もある。


プラットフォーマーの社内だけで密かに議論されるべき事柄ではなく、社会全体の設計思想に関する問題です。

Facebookの独占的状況というのは、こうした不利益に関する事項への指摘。後期資本主義、こうした資本主義の修正をするべき政府は、規制をするための法手段を持たない。それが、先ほどのプライバシーによって規制するという考え方に繋がっているのだろうと推測する。


テクノロジーや利益主導で行き過ぎた資本主義システムが、環境や社会、人権などについて軋轢を生み出しています。GDPRもその流れの一つですが、米民主党のエリザベス・ウォーレンが公約に掲げるフェイスブック解体が支持を得たり、シェアリング・サービス事業者の高い手数料や無責任さへの反発から協同組合が発足されるなど、世界的な揺り戻しが起こっていることに気づいている日本のマーケターはどのくらい多いのでしょうか。今こそもっと社会や文化、人間にとっての価値を考える必要がある重要な局面かと思います。

Facebookは傘下にInstagram、WhatApp を持つ。とある利用者がFacebookを離脱したとしても、傘下の他の企業のサービスに引っかかる。だから、アプリの技術的な革新などがおざなりになると指摘する元幹部などもある。こうした状況を見ると解体すべきという議論も納得できるが、解体したと同時に弱体化していくだろうということも推測できる。

使う側のアップデートを求めるのは、酷な話だとは思う。



後半のテキスト


私がそもそも“ブランド”という概念に興味を持ったきっかけは、それが人間性を中心に、「意味」や「価値」をどのように作るのかという方法論を示していたからです。そして、インターネットは価値の作り手や作り方に本質的な変化をもたらしてきました。一つの大きな変化は、個人を中心とした情報発信や価値創造の民主化ですよね。またデジタル化で価値をコピーして無限に再生産することが容易になり、フェイク(偽物)やコモディティー化が起こるようにもなった。

黎明期のブログ。その前はホームページ・ビルダーが貢献していたのだろうな。パソコン通信から取って代わったのは、2ちゃんの登場が大きいと思う。セカンドライフは思ったよりも短命に終わったけれど、SNS にポジションを取って代わられたのだろうと思う。


そしてもう一つ、価値交換の手段や前提である「お金」や「信用」についても大きな変化が起こりつつあります。ウェブ3.0の中核となるブロックチェーン技術は、国家や企業などの中央集権ではなく、個人主導のつながりが軸となった、分散型の信用システムを実現するテクノロジーとして注目されています。

ブロックチェーンは、確かに自由な価値生成、交換を支持することができる技術、もう少し技術の部分が見えなくなるような研究開発が進めばいいのだけど、まだ、技術者の持ち物に見える。


コード(プログラムによる命令規則)が新しい価値と社会改革の機会を創発しています。

これってノヴァセン。




意味を付与することがブランド化

僕はコミュニティー形成こそ、常に過去から未来に向けたブランディングの軸になっていると思います。例えば地域発のクラフトビールを作るスタートアップが増えていますが、彼らは、クラフトビール文化や地域の独自価値を生み出す「想い」をユーザーと共有して、一緒に発信しています。コンシューマーを巻き込みながらエバンジェリストやプロシューマーを育てている。
コミュニティーをつくるには、「意味」を提起することが必要だと思うんです。ミラノ工科大学のロベルト・ベルガンティ氏(※5)は「意味のイノベーション」を提起していて、これはポスト・デザインシンキングですね。


意味に対する問いかけ。そこに気が付けただけでも、視察は意味があっただろう。

最初、私たちが企画するベルリン視察ツアーに参加される方は、渡航前に「すごいテクノロジーを持っているスタートアップがあったら、出資したいので教えてくれ」と依頼されます(笑)。でも、参加した後は、「そもそもうちの会社、何がやりたいの?」と意味を考えだす。そして、その意味に基づいて実現したい理想の社会像が描けてこそ、共創相手が見つかることに気づかれるわけですね。






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Tsutomu Saito
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