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ファッション批評は止まらない

現実の時間軸に追いついたと思ったものの、noteに整理しておきたいことがまだまだあった。

ファッションはもっと言語化されなければならない。

タイトルは2019年の夏に受講した講義、西谷真理子先生によるもの。アートライティングの一環としてのファッション批評講座だった。

その講義でいろいろと発見があった。


ここ数年は、本業でも兼業でも、ファッションビジネスの支援が多い。とりわけアパレルビジネスに携わってきた。最初はECサイトの構築からだったけれど、そのうちサプライチェーンマネージメントにまで領域を拡張、アパレルビジネスのバリューチェーンのうち、川中の業務プロセスをずっと支援してきた。

他のnoteでも書いているけれど、こうした業務プロセスの課題は効率化しつくされてきた。コスト削減、低減、スピードアップ、在庫の最適化等々。状況は川下の小売の現場についても同じで、AIカメラによる動態分析、スタッフ支援ツール、リコメンデーション、クーポン、VR試着室等。

物流からECを含む販売まで、効率化しつくされている。
(やれる事はまだあるけれど、それはまた別の話)

それでもなお、日本のアパレル業界が苦戦している原因はどこにあるのか。僕は、その問題解決をクリエイティブに求めた。


講義はファッション批評の媒体とやり方、事例などの紹介で進む。

相対性コムデギャルソン論は、あまりインタビューに応えない川久保玲だが、どうしてもテキストにしたかったという。ちなみにメトロポリタン美術館でコムデギャルソンの展示があった際に、キュレーター側が書いた本が、ブランド側のチェックが入らずでたことがあった。それが貴重な資料だという。そこで異分野の人にコムデギャルソンを語ってもらうという手法を取った。

ファッション批評とは、デザイナの発想を読み解く事。世界の評価、アーカイブとなった情報。継続してデザイナを見ていく事で変化を見つめる事である。日本のファッション批評では、しがらみと忖度が発生してしまい。そこまで辛辣には書かれない。

年に一回の刊行のvanitasの批評性。

ファッションがビジネスであることを謳いながら、「ファッションに批評は似合わない」と言われることもある。だが、現代では美術も音楽も映画も文学もおしなべてビジネスとしての側面をもっており、ファッションだけが特権的な立場にあるわけではない。

批評とは叩くことではない。また、感想を言うだけではない。


ファッションについて書かれたテキストとしてAMETORAがすごい。

アイビー、アメカジ、ジーンズは、日本によって文化保護されていた。アメリカでアメリカのファッション文化が失われていく中、日本からアメカジを輸入することとなった。歴史的背景から日本のファッションを変えてきた石津謙介がやってきたこと、ビジネスについて書かれている。この本の読書メモは別途noteに起こす。

2000年頃、来日するデザイナは日本のメンズが面白いと評価していた。おしゃれと一言で済ませるのはなく、コーディネートというか、着こなしのやり方などが面白いということ。

価値の決まっていないデザイナの批評は難しい。これはアートにも言えること。


講義では、様々な発見があった。

ただ、求めていた答えは別のところにあると、おぼろげな結論に至る。日本のアパレル産業は、ハイブランドとファストファッションに駆逐されかけている。いわゆる中価格帯の服が売れない。百貨店ブランドで服を買うならば、ZARAでいいじゃんとなるし、ファッションビルで買うなら、GUでいいでしょとなる。ドレスコード?ー着る人たちのゲームでは、ハイブランドとユニクロを合わせる。全てが等価で交換可能になったとメッセージを打ち出していた。

OEMはともかくとして、ODMに頼り切ったら、それはクリエイティブ弱くなるでしょ。SC系の店頭では、常時OFFプライスが並ぶし、同じ会社のブランドでなくとも、服の違いを見つけるのが困難なデザインが見られる。オリジナリティと言うのは容易いけれど、そうじゃない解決策があるよね。

一方で、クリエイティブに注目されたブランドがビジネスで行き詰まることもある。そうしたブランドに対してはサプライチェーン、販売手法の改善により効率化できる余地がかなりありそうなんだけどね。かといって大手に買収されたら、ブランドの良さが無くなっていく…。


特に講義で印象に残ったのは、次の言葉

ファッションはいろいろなものに接続する。人が服を着て立っているだけでファッションとして成立する。

アパレルメーカー、セレクトショップなどが飲食、家具などに接続し、ライフスタイルを提案するのも頷ける。


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Tsutomu Saito
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