ピエール・ユイグ 《Cerro Indio Muerto》(2016)
ピエール・ユイグの《Cerro Indio Muerto》(2016)という作品は、写真であり、縦は70cmほど、横は1mくらいであり、画面のほとんどは砂漠の地面であり、遠くに三角形の山あるいは丘が見える。画面手前の左寄りにうつ伏せになった骸骨が横たわる。砂漠といっても、石の多い場所であり、骸骨の頭蓋骨と同じくらいの大きさの石がそこかしこにある。砂漠の中には水が流れたような痕跡があり、あるいは道だったのだろうか。砂埃が立つ様子は、ここが乾燥している大地であることが想像される。
作品写真は、esther shipperのアーティストの作品ページで確認して欲しい
チリ北部のアタカマ砂漠でピエール・ユイグが発見した人骨、この作品タイトルは人骨が放置された場所という。
Wikiによればアタカマ砂漠は地球上で最も乾燥し、アンデス山脈と太平洋の間に広がる。平均標高は2000mを超える過酷な環境であり「死への道」と恐れられている。
ナスカと同様に地上絵が描かれている。アンデス山脈からの地下水が湧いている箇所もあり、そこはオアシスとして交易の拠点となった。アタカマ道という表現がある。インカ道も含めて、人と家畜とが歩いた道。インカ帝国は車輪を発明しなかった。
乾燥した過酷な環境は地球外探査の実験場としても利用されている。
また、世界中から行き場を失った服が打ち捨てられている。
ピエール・ユイグが発見したのは人骨、こうした乾燥した大地で行き倒れた生前の人生はどんなだったのか。あるいは、これほど過酷なアタカマ道を単独で渡っていたのだろうか。いろいろな想像が掻き立てられるが、対面している作品は、うつ伏せの人骨に注意がいく。あるいは、地球の外に生活環境を求めた人類の末路を暗示しているのだろうか。
クリスチャン・ボルタンスキーもアタカマ砂漠で作品を作っていた。