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小1の娘が“金色の道”を見つけた日~人生で夢中になれるものとの出逢い~ #009
塗り絵、折り紙、絵の具で色作り、染色、裁縫――と、小さなころから手先を器用に使って、自分で何か作ることが大好きな娘。色や形へのこだわりも半端ない。
昨年のお誕生日には、私の友人からドールドレスを作るキットをいただいた。おばあちゃんにサポートしてもらいながら、自分でドレスを夢中で作っていた。
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その後、「ミシンを使って本物のお洋服を作りたい」と、ずっと言っていた。
思い立ったが吉日
不器用過ぎて、裁縫からかなり縁遠く生きてきた母(私)には、教えられるわけもなく……。昨年6月、夫と思いたってネットで洋裁教室を探し、アポなしながらも、「すぐに行く!今日行く!」という娘の声に押され、その日のうちに教室へ伺うことに。
風合いのある雑居ビル。「え?ここにホントにあるのかな?」と若干迷いながらアトリエへ。いざ部屋の前まで行くと、かわいい看板が立てかけてあった。ドアに少し隙間が開いていて、心地よい自然の風が通っている。そして秘密のアトリエに来たようなワクワク感。
ドアを開けて「こんにちは!急にすみません……」とご挨拶すると、そこにシンプルな装いで素敵な佇まいの女性(先生)がいらっしゃって、笑顔で迎え入れてくださった。
秘密のアトリエで、娘の目が輝く
白いお部屋に窓からたっぷりと光が入り、その近くに3台のミシンが並んでいる。部屋全体の広さは、1DKくらいで2人が同時に制作できる広さ。狭すぎず、広すぎず、先生の目が届いてちょうどいい。そんなアトリエの中に、たくさんの糸や生地、洋裁の本が置いてあった。
みるみる娘の目が輝きはじめた。
あれもこれもと見ているうちに、「試しにミシン使ってみる?」と先生が声をかけてくださって、「うん!やりたい!」と早速試し縫い。
せっかくだから、「何か袋を縫ってみる?かたちをつくるほうが楽しいでしょ?」と提案してくださって、袋作りに挑戦。
ひとに教えるときに大切なこと
ミシンはおばあちゃんの家で触らせてもらったことは少しあるけれど、自分だけでやるのはほぼ初めて。そんな娘に、簡潔にわかりやすくミシンのポイントを説明してくださって、あとは実際に手を動かしてやってみんちゃい方式。
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あ、この先生、すごくいいなと思った。教えすぎないのもいい。子どもだけど、子ども扱いしすぎない。ほどよい絶妙な距離感。できそうで、なかなかできない。すごいなぁ。
娘はミシンの仕組みをじっくり見ながら、自分の手で進めていく。踏み台に足が届かないから、箱で嵩上げしてもらって。首で針のリズムを取りながら。
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目がキラキラするとはこういうことか、と思いながら様子を見守る。本当に好きなんだなぁ。それがあふれ出ている。やってる最中も、出来上がったあとも、すごく嬉しそう。
先生が「好きな生地を持っていらっしゃい。それで作りたいものを作りましょう。」と、家の近くの生地屋さんを紹介してくれた。(え?あんなすぐ近くに生地屋さんがあったのか……ほぼ毎日通る道なのに、私はいつも何を見ていたのやら……と自分のスルースキルにビックリ)
最後に先生が、私たち夫婦に対して「最初はうまくいかなくて、多少失敗するもの。でも、細かく指摘すると作ることそのものが楽しくなくなっちゃうから、そこは大らかな気持ちでいてくださいね。私も、楽しくレッスンできればいいなと思っていますので」とおっしゃった。
ひとに何かを教える際の真髄が、この言葉に凝縮されているように思った。その後も、先生の教える姿勢や声掛けから、娘はもちろんこと、私たち夫婦も多くのことを学ばせてもらっている。
娘が見つけた金色の道
帰りに歩きながら「お母さん!私、金色の道を見つけた!」と興奮気味に教えてくれる娘。
「金色の道?なに?」と思ったら、朝ドラ『らんまん』のセリフからの引用だと気づく。
キンセイランの花を見つけた万太郎は「ゾクッときたき!文字では心は震えんかったに!」と実物を目にして興奮する。
蘭光は「心が震える先に金色の道がある。その道を歩いていったらえい!」と語った。
主人公に学ぶ楽しさを教えた、蘭光先生の言葉。娘はその言葉を覚えていて、自分の心が震えたことを伝えてくれた・
本人が言うのだから、娘は自分にとっての金の道を見つけたのかも知れない。子どもだから、すぐに飽きるかも知れないけれど。でも、それはそれでよい。
人生の中で心から夢中になれるもの、「これが好き!」と思えるものに、出逢えること自体が本当に幸せだと思う。
それから、約半年が経過した。娘はこれまでに5作品の服を作らせてもらった。飽きるどころか、娘のミシン愛は日に日に増している。今年は、さらなる作品作りに取り組むとともに、もう一つ目標があるらしい。とても楽しそう。それはまた、別の機会に。
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2024/1/9
午前中は、Jaroカフェでベビーマッサージ教室を開催。第1子のときから通ってくださったママさんが、第3子出産後にも来てくださって嬉しい再会。
アタッチメント広島の岡本さんが、みなさんにベビーマッサージを教えながら、赤ちゃんの発達時期によっての身体の特徴や、親御さんのかかわり方についてもお話してくださっていた。幼児へと成長するときに、どのように関係するのかという話も目からウロコ。
午後は広報用のチラシ等を作成し、仕事を終えてから、娘の前髪カットのため美容院に。前髪なんて前が見やすけりゃいいじゃーん!と思う母とは対照的に、女子力の高い娘はミリ単位くらいで美容師さんにお願いしていた。母には理解しがたいが、娘がいいならそれでいいかーの心境。