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アサーションとは

アサーションの意味

アサーションとは、「自分のことも、相手のことも大切にした自己表現やコミュニケーション」の方法のことを指します。


自分の意見と相手の意見が違う場合、
一方的な意見の押し付けは相手のことを尊重しないということになりますし、
また、相手のことを慮りすぎて自分の意見を曲げたり引っ込めたりしても、自分のことを尊重しないということになってしまいます。

そのバランスをうまく取り、自分の意見はしっかり言うけど、決して相手を傷つけず、相手の意見も否定しないようなコミュニケーションを「アサーティブなコミュニケーション」と言います。

「非」アサーティブなコミュニケーションの例

まず、「アサーティブではない」、悪いコミュニケーションの例を2つ見てみましょう。

1つ目はアグレッシブ(攻撃型)、2つ目はノン・アサーティブ(非主張型)です。

AさんとBさんのカップルが食事に行こうとしています。Aさんは和食のようなあっさりしたものが好きで、一方Bさんは揚げ物のようなこってりしたものが好きです。

まずAさんが「どこに行こうか?」と尋ねると、Bさんは「そういえば駅前にカツ丼屋ができてた。そこに行こう」と言います。
しかしAさんは最近胃の調子が悪く、できればカツ丼は食べたくありません。

アグレッシブ(攻撃型)のコミュニケーション

そういう時にAさんのコミュニケーションが「アグレッシブ型」だったらどんなふうになるでしょうか。

A「こないだも唐揚げだったじゃない。たまには私の好きなものにしてくれてもいいでしょ」
B「唐揚げは君も好きじゃないか。たまにはって別に毎回自分の行きたい店ばっかり提案しているわけじゃないよ」
A「唐揚げとかカツ丼なんて子供みたいなものばかり食べたくないよ」
B「子供で悪かったな。じゃあ君が選べばいいだろう」

と、このようになってしまいます。
Aさんははじめから攻撃的にBさんのチョイスを攻めており、まるで毎回Bさんが強引にお店を決めているような物言いをしていますが、Bさんが本当に言いたいのはそのことではないはずです。
しかし、お互いにヒートアップしてしまい、売り言葉に買い言葉のような状態になってしまっています。結果的に、Aさんはお店のチョイスではなく、自分自身が子供っぽいと攻められた気持ちになっています。

ノン・アサーティブ(非主張型)のコミュニケーション

では、Aさんのコミュニケーションが「ノン・アサーティブ(非主張型)」だったらどんなふうになるでしょうか。

A「うーん、なんでもいいけど。カツ丼ねえ」
B「カツ丼やいやなの?じゃあ何がいい?」
A「いやってわけではないんだけど」
B「いやじゃないならいいだろ。行く?」
A「ん〜、他には何がある?」
B「何だよ、やっぱりいやなんだろ?」

と、このようになってしまいます。
Aさんははじめに「なんでもいい」と言っておきながら、後から他のチョイスを求めたり、本当はカツ丼は食べたくないのに「いやってわけじゃない」と言ってみたり、本心がどこにあるのかわかりません。
しかし、相手の提案を喜んで受け入れている様子も伝わってきません。

アサーティブなコミュニケーションの例

ここで整理すると、Aさんが本来伝えたい(伝えるべき)ことは2つです。

  • 今日はカツ丼を食べる気分ではない(Aさんはあっさりしたものを食べたい)

  • Bさんがお店を提案してくれることや、一緒に食事ができることは嬉しい

上記のコミュニケーションでは、まずこれらのことがBさんには伝わっていないうえ、Bさんがいやな気持ちになっています。

では、この2点をきっちりと伝え、AさんもBさんも心地よくいられるアサーティブなコミュニケーションとはどういうものでしょうか。

A「カツ丼屋さんできたんだ。いつも新しいお店を見つけてきてくれてありがとう」
B「いや、デートがマンネリしたら良くないからね」
A「せっかくなんだけど、カツ丼屋さんは今度でもいいかな?実はちょっと胃の調子が良くなくて…。今日はいつものお蕎麦屋さんのだし巻きが食べたいな。あそこの串カツも結構美味しかったよね?」
B「そうだな、あそこなら色々頼めるから。じゃあ今日はそうしよう」

アサーティブなコミュニケーションでは、
①AさんはまずBさんに「お店の提案をしてくれたことへの感謝」を伝え
②その上で「カツ丼屋さんには〇〇の理由があって行きたくない」旨を伝えた上で、
③その代替となる新しい提案をしています。

この言い方だとBさんは自分自身が攻められたと感じづらく、しかも相手の提案を受け入れやすくなっています。

皆様が日々コミュニケーションを取る相手とのパターンは、上記のうち、どれに近いでしょうか?

もちろん状況やトピックによって変化はしていきますが、夫婦やカップル、親子、同僚などの親密な関係のコミュニケーションはある程度パターン化されていくことも多くあります。

もし自分たちのパターンがうまくいっていないと感じたら、アサーティブなコミュニケーションを心がけてみるといいかもしれません。

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