
身体の自然がゆるゆるのびのびしますように
「ここ硬くなってますねぇ」
「痛いです」
「ここは姿勢を良くしようとすると力が入る場所なんですよ」
「え〜、心当たりあります」
最近、姿勢を良くしようと意識していたのだ。首こりや肩こりの解消のためだ。
巻きがちの肩は広げて肩甲骨の方へ寄せて、肩を張ることで前に出た肋骨は奥にしまって、お腹も引き締めて、、脚はまっすぐ伸ばして、足の裏を広げて力強く、、ヨガや筋トレの先生が教えれくれた断片を思い出しながら、鏡の前でチェックしてみた。
意識するとなかなか難しくて、どうすれば姿勢って良くなるのだっけ? とちょっとわからなくなっていた。
「意識したり、緩めたりですからね」
話をして、肩をマッサージしてもらったら、少しほぐれた。帰り道、両手を大きく振って歩いてみた。そういえばこの頃、こうやって歩くことが減っていたな。身体は使わないとバランスも筋力も鈍り、衰えるのを実感する。単純だけど、腕をぶらぶらさせて肩の力を抜いて両手を振って歩いてるうちに、少しだけ姿勢のことがわかった気がする。大きく楽に触れる位置があるのを見つけた。
冒頭の写真は明治時代の「枕」の発明だ。良い香りがする枕だ。香りに包まれて、優雅な気持ちでぐっすり眠りたいのわかる。特許図面を見ると、枕台と小枕を繋ぐネジの頭は小鳥になっていたり、ウタさんというお名前からも想像するに発明者は女性かもしれない。
それにしても、明治時代の枕の発明はどれも枕台に小枕をのせる構造のばかりで、私の首には過酷そうだ。当時の人たちはこんなにも高さのある枕を本当に使ってたのかだろうか? 枕台の高さを調節できる発明も多く見られるし、冷却してくれる枕やあん摩感ある枕などの発明がみられるから、明治時代にも首や肩が痛かった人はかなりいたのだろう。
それでも当時の枕の発明には枕台がある。今から思えばなんで枕台をやめる発想はないの? と思えるけれど、時代の只中にあるとそんなものだろう。人の頑なさを感じるようで愛おしくもあるが、頑なさをひょいと飛び越える軽やかさが人を楽にするよなぁと思うのであった。
【使用した文献】
文献番号:特許第2245号
名称:枕
出願日:明治26年2月18日
登録日:明治27年5月13日
発明者:藤本ウタ
住所:大阪市南区松屋町4番屋敷
【データベース】
特許情報プラットフォーム
https://www.j-platpat.inpit.go.jp