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春になると思い出すあの曲


春になるとある曲を思い出す。

「新しくなった君に似合わない、僕のことはもう忘れて」

reGretGirlのスプリングだ。


今私は大学生になろうとしていて、地元の大学に進学する。
だけど私の周りの友人のほとんどは地元を離れて都会に行ってしまう。
それがすごく寂しい。
足枷になりたくなくて、心配されたくなくて、絶対に本人には言わないけど、すごく寂しい。

「ホームシックになりそう」とか、「一人暮らしは不安」とか言って、みんななんだかんだ地元を捨てていく。
私は地元に居続けることを選んだ人間ではなく、地元を出るという選択肢を与えられなかった人間だった。
だからこそ、すごく羨ましくて誰にも吐き出せないような感情が渦巻く。

私は平部ちゃんみたいに僕のことは忘れてなんて思えない。
忘れないで欲しい。
地元のことも、私のことも。
「そんな人もいたね」なんて、言われる将来を想像するだけで泣きそうになる。

本当はちょっとだけわかってる。
私の友人の1人は、地元を捨てたのではなく、地元では叶えられない夢があるから都会に行く。
みんながみんな、忘れるために地元を離れるんじゃない。
私がただ地元コンプレックスを拗らせてるだけで、地元を離れていくみんなは全然悪くない。
むしろかっこいい。
でも、だからこそ、羨ましいくて、眩しくて、妬ましい。


やっぱり前言撤回することにする。
私のことも地元のことも忘れていいよ。
思い出す暇もないぐらい、楽しんで充実した生活を送ってね。
「そんな人もいたね」って、たまに思い出して貰うだけでも充分だし、そんなことすら無くてもいい。


本心じゃないなんて野暮なこと言わないで。
今の私は多分平部ちゃんと同じ気持ちなの。

春は憂いだ。

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