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【創作】鴨鍋ハロウィン2023(896字)
「鴨鍋ハロウィンやってます」
地下のイベント会場が覗ける足元の小窓に小さなのぼりが出ていた。私はその小窓に顔を近づける。
鴨鍋ハロウィンってなんだろう…
中央のテーブルではカボチャの形をした鍋がぐつぐつと煮えたっている。その鍋の横には白衣の男性が立っていた。
客はそんなに多くないようだ。
その男性が、上の小窓から覗く私の方に視線を向けたと思ったとたん、窓がパカッと開き私は吸い込まれた。
カボチャの鍋まで続いている滑り台を勢いよく滑り落ちる。
えっ?ヤバい!
私はいつの間にか気を失っていた。
「気付け薬を少々使いましょう…」
声が聞こえて目を開けると、オデコがぱっくりと割れて血だらけの特殊メイクをした白衣の男性が。
「申し訳ありません。悪戯がちょっと過ぎたようですね。ようこそ鴨鍋ハロウィンへ。楽しんで行ってください」
まだ状況が飲み込めない私の前にタグゾンビが現れアライグマのような親しみのある笑顔で声をかけてきた。
「クリームパン食べますか?」
そういって差し出した手はどう見ても空っぽだ。
私は一瞬戸惑ったが、ありがとうございますと言って両手でタグゾンビの右手を受け取りハムハムした。タグゾンビは笑顔で深く頷き、去っていった…
クラゲみたいなドレスを着て肩に黒猫を乗せた魔女の女の子が私の顔を覗き込みながら言う。「遊ぼ!その前に仮装しなきゃ!鴨先生、何かある?」
「そうですね…あ、そうだ。馬があります。ハロウィンと言えばカボチャですね。カボチャには馬車がつきものですし馬が良いでしょう」
私は馬の被り物を被らされた。
「さぁ!皆様、改めまして乾杯しましょうか。鍋もちょうど食べごろです」
気付くと会場は沢山の人で溢れていた。性別も年齢もバラバラで個性豊かな人たちだ。歌ったり楽器を演奏したり、涙を流しながら笑い転げている人もいる。とにかくみんな自由に過ごし、笑顔に溢れている。
なんか…居心地の良い場所だな…今夜はとても楽しい夜になりそう。
「あ、それ被ってたらお食事できませんね…困りましたね…」
ニヤリと笑いう血だらけドクターに一言文句を言いかけたが
「トリックオアトリート!」
みんなの乾杯の声にかき消された。
(896字)
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