【おはなし】窓 #05

前回のお話


ユカが部屋に戻ってきた
カクテルの缶を両手に持って脇の下に柿の種の袋を挟んでいる

2本も飲むのかよ
そう言いながら何となく柿の種の袋に目をやると自然にユカの胸元が視界に入ってきた
自分の中ではまだ小学生の時のユカのままだと思っていたけれど
改めてみるとすっかり大人だ
体の曲線も少女と呼ぶにはあまりにも艶めかしい


っきの一瞬の熱気から、ドキドキがまだ続いていて
なんか酔いも回ってきたな…

トイレ借りるぞ

そう言って自分を落ち着かせようと部屋をでた
大きく深呼吸をする
部屋に戻ってオレは部屋のドアを全開にした


オレの話はもういいんだよ
ユカはどーだったんだよ大学生活

私?
私は好きだった高校の先輩を追いかけて大学へ行ったじゃん?

知らねーよそんなの
そういう理由で大学選んでたのかよ

言ってなかったっけ?
先輩と再会して追いかけまわして、なんとか付き合えることになってさ

へー
良かったじゃん

うん…
でもさ
付き合い始めてすぐに先輩はあんまり外で会ってくれなくなって
急に電話があって、今から行くからって
それで家で食事することもあるけど
食後とかだと、まぁ…その…ねっ
わかるでしょ
そーゆーことして…
そのまま泊まったり、終わったら帰っちゃうこともあるし

…はぁ?
そんなの付き合ってるって言わないだろ

わかってるっ
今だとそう思うんだけど
その時は会いに来てくれるって思って嬉しかったんだよ
まだ幼かったんだよね…

大学で会っても、なんか無視されているみたいに感じて
彼に聞いてみたけど
女子たちが勘ぐってきてめんどくさいからって
しばらくして今度は、よく彼と話してる女子の先輩に睨まれているような気がして
気のせいだったかもしれないけど…

ドキドキで熱くなった腹がまた別の要因でグラグラと煮立ってきた
マジでむかつく…なんでそんなやつ…

ふぅぅと熱い息を吐いてなんとか声が震えるのを抑えた
でも…別れたんだよな?

うん…
その頃から彼が家に来なくなって
LINEしても未読な事も多くて
何度目かに連絡したときに

ごめん 別れよう 元気でな

って一行だけ帰ってきた
その後彼はアカウント変更したみたいで
誰も居ないLINEの部屋にその言葉だけ残ったんだよね…
でも、なんかその一行で
私たちやっぱり付き合ってたんだ
なんて少し安心する自分も居た
へへ…バカだよね…

そのあとは、なんか…怖くなっちゃって…
バイト先の人とか、学部の人とか、何人かに付き合おうって言われたけど
全部断っちゃった…


それだけ!
なーんにも面白い話も無いっ
以上!
あーーっっ私の大学生活、なんだったのー

話している間に持ってきたカクテルを飲み干したユカは
そういいながらテーブルに突っ伏してしまった

お前もいろいろあったんだな…
でも、その男はクソだ
早く忘れろ

………
おぃ!寝るなよ!

んー

ったく…
ベッドで寝ろよ
オレはユカの腕を抱えるようにしてなんとかベッドに移動させようとする
弾力のあるユカの腕や胸の感触がオレの体に直接感じられる
シャンプーの匂いが微かに鼻をついた

腹が立っているのか
ユカの体に興奮しているのか
緊張しているのか…?
胸がバクバクした

ユカをベッドになんとか寝かせたときにドアの前をおじさんが通った

ユカは寝ちゃったのか

あ、はい
けっこう飲んで…
オレは帰りますね

あぁありがとう
あとはやっておくよ

気をつけてな
ってすぐ隣だな
わはははは


やっぱり
ドアを全開にしておいて正解だった…

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