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移行支援とは?

4月からの児童発達支援・放課後等デイサービスの個別支援計画に「移行支援」という項目を入れることが義務付けられました。

・インクルージョン(地域社会への参加・包摂)を推進する観点から、支援の中に「移行」という視点を取り入れ、こどもや家族の意向等も踏まえつつ、保育所等の他のこども施策との並行利用や移行に向けた支援、同年代との仲間づくり等の「移行支援」について記載する。
・移行支援は、必ずしも保育所等への具体的な移行だけを念頭に置くものではなく、入園・入学等のライフステージの切り替えを見据えた将来的な移行に向けた準備や、事業所以外の生活や育ちの場である保育所等の並行利用先や学校等での生活や支援の充実、こどもが地域で暮らす他のこどもと繋がりながら日常生活を送ることができるようにすること等、利用児童の地域社会への参加・包摂に係る支援が含まれるものであること。

こども家庭庁 個別支援計画の記載のポイントより



移行支援とは、インクルージョン、共生です。

はて、インクルージョンって何だ?と思うのです。

インクルージョンという時、いつもどうして特性のある子たちが合わせなければいけないのか?
特性のある子たちが入っていかなればいけないのか?

その子たちを自然と受け入れられる環境だったらいくらでもインクルージョンします。
だけど、現実はそうではないから困っているわけです。
環境に受け入れられないから、受け入れてくれる環境で過ごすしかない子もいる。
特性のある子たちが周りに合わせられるようにならないと入れないのです。
凸凹の子に対して、みんなに合わせてみんなと一緒に生活できるように支援をすることが求められているように感じるのです。


4月の報酬改定では、国は放課後デイが増えすぎてそこにお金をかけたくないんだなということがひしひしと伝わってきました。
だから、デイではなくインクルージョンの支援をして地域で過ごしてね、と言いたいのだと思います。


そもそも、「移行支援」という言葉がいかにもすぎて好きになれません。

やっぱり凸凹っ子から移行しないといけないようになっています。

保育所から学校や高校進学、就職などの移行支援はまだわかるとして、学童期の子に対して、何を移行すればいいのかがわかりにくいです。

次のステージで地域に移行できるように、将来地域で働けるように支援をしていく?
支援学校に通っている子に対しては、地域の学校に行けるように支援をしろということではさすがにないよなぁと思いますが…

何でもかんでも移行をすればいいというものでもないので、すべてを「移行支援」でくくってしまい、支援をしなさいと言うのもおかしな話であると思います。
必要な子には支援をしたらいいのです。
みんなに合わせるためにがんばるよりも、同じような特性のある子たちと一緒に過ごす方が穏やかに過ごせる子もいるでしょう。
一人一人の状況に合わせるべきです。

学校等との連携も地域とのつながりになるようですが、それなら「地域生活支援」の方が、言葉として地域とのつながり感があると思うのは私だけでしょうか?

それにしても、地域で暮らす他の子との交流をすればいいかと言えば、現実はそんなに理想的ではありません。

ただ一緒に過ごせればいいわけじゃない。
一緒に過ごすためにも個別にサポートが必要です。

私は、発達ゆっくりさんで、地域の小学校に通い、大事な学童期に適切なサポートがほとんどなく、周りのみんなと同じことを要求されて、パニック、自傷他害、破壊などの二次障害を発症する子を何人か見てきました。

周りの子が助けてあげるという優しい環境の中にいた子は、一見素敵な環境ですが、周りの子はその子を「助けてあげないといけない」存在として見て何でも手を貸してくれるので、受け身になりやすいと感じます。
周りの子の人権教育には役に立っているけど、その子のためにはなっていないこともあります。

特別支援学級の先生も専門的に学んだわけではない人も多く、地域の学校で必要な支援が受けられているのか疑問があることもあります。
周りの子と同じ行動ができるように、集団活動ができるように求められている場合も多いです。

地域の公園で遊んでいるだけで声がうるさいと通報されるような環境で、どう共生しろというのか。


デイに、凸凹の子に「みんなと一緒」を求めるのではなく、受け入れる側の環境に働きかけて、理解とサポートを受け入れられるようにしていくことの方が重要だと思います。

まあ、その働きかけも、デイの役割に含まれているのかもしれませんが。

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