裳岸ワカ

17 拙文よ、はるか遠くのあなたまで

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奨学金をめぐるいくつかの懊悩と覚悟

私は、奨学金を借りて大学へ進学する。 この間、日本学生支援機構の貸与型奨学金に関する書類を受け取った。たくさんの書類が入った分厚い茶封筒を抱えて、私は恐怖と焦燥がふつふつと湧き上がるのを感じた。 この気持ちのわけは、奨学金がすなわち借金であるからだ。「借金」という単語は、ガキにはあまりに重い。私は大学を卒業したら、借金を返済しながら生きていくことになるんだな。そう考えると、たまらなく怖くなってくる。 それはクラスメイトも同じのようで、何人かの友だちと奨学金の話になると重

    • うねり 

      クラスメイトが友だちに天然パーマをイジられていた。 彼らの視線の先にいる私は、その言葉が、私、いや私の髪の毛に向けられているような気がしてしまう。つい手を当てた前髪は明らかにうねうねしている。 左端はひらがなの「し」のように。右端はアルファベットの「J」のように。 窓の外を見てみると、ほらやっぱり、雨が降りはじめていた。私の前髪はわかるのだ。 こんな前髪を公衆に晒すのは惨めだから、仕方なくヘアピンで留めた。あの人とかその人とかの、こんな湿気った環境にあってもまっすぐのままの前

      • 振り返りながら、 映画『ルックバック』

        映画『ルックバック』が公開されてはや1ヶ月。ついに、ついに先日、観ることができた。 原作漫画が大好きなので、アニメ映画化の発表があったその日からずっと楽しみに待っていた。 書きたいことは山ほどあるけれど、とりあえずこれだけは言いたい。素晴らしい映画だった。「制作スタッフを呼んで頂戴!」とか言えないのがなんとももどかしい。お礼を言いたいのに。 また、映画館で観ることができて本当によかったとも思った。いまこれを読んでくださっていて、観に行こうか迷っている方がいるのであれば、ぜひ

        • サマーバケーション

          夏休みが始まってはや4日目、この3日間はちょっと勉強して、そこそこ昼寝して、くだらない動画をだらだら見て過ごしたが、今日は母にほとんど追い出される形で図書館に来た。 まあ、追い出してもらえて本当によかった。あのまま暮らしてたら、次の春にゃわたしどこにも行くところがなくなる。 昼ごはんは近くのスーパーで買うつもりで、意気揚々と自習用の机に座り勉強を始めた。でも12時ごろはちょうどキリが悪くて、もう少しやってから買いに行こうと思い、気づいたら15時を過ぎていた。 べつに忘れてい

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        奨学金をめぐるいくつかの懊悩と覚悟

          エンディング

          小説を読み終えた瞬間に、沸き起こる感情がきらいだった。 何日も共に生きた物語の住人たちは、それが終わった途端、皆微動だにしなくなる。まるで、これは全部フィクションですからね、と一方的に別れを告げるように。現実世界の読者を、置いてけぼりにするように。 まだ、終わりたくない。あなたたちの世界をまだ見ていたいと思って、はじめから読み返す。そうしたら、また彼らは物語を繰り返してくれる。でも、「繰り返す」だけだ。「完」のその先は、どうしたって続かないのだ。 本人たちの言葉で、身体

          エンディング

          みんな、羊文学の新曲『tears』を聞いてください ほんとにほんとに聴いてください わたしはこの1時間くらいで3回聞きました 最高でした まあなんでもいいからとりあえず一回聴いてください

          みんな、羊文学の新曲『tears』を聞いてください ほんとにほんとに聴いてください わたしはこの1時間くらいで3回聞きました 最高でした まあなんでもいいからとりあえず一回聴いてください

          カウントダウンはあちらこちらに

          半年分の定期券が切れかかっている。 今年の初めに新しくして、もう半年経ったのかと思うと本当に恐ろしい。私の気持ちはまだ5月だし、そろそろゴールデンウィークでもいいと思うのに、天気予報は梅雨入りとか真夏日とか言うからもうよくわからない。 とりあえず、定期券が切れかかっていることだけは確かだ。 今度も半年分の定期券に買い換える。そうしたら、それが切れるのは年が明けてからになる。年が明けても、卒業までまだもう少しだけ学校にいかなければならないから、私は最後に1ヶ月分の定期を買うの

          カウントダウンはあちらこちらに

          この人には勝てない、と思う人がいる 苦しみを、この人は詩を書くように形容する その形容じたいが一つの文学になる 芸術になる けれどその人が真に感じた苦しみ、伝えたい何かを私は一つもわかれていない その叫びはどうしたって文学で、芸術だから

          この人には勝てない、と思う人がいる 苦しみを、この人は詩を書くように形容する その形容じたいが一つの文学になる 芸術になる けれどその人が真に感じた苦しみ、伝えたい何かを私は一つもわかれていない その叫びはどうしたって文学で、芸術だから

          わたしはもっとおもろい文章が書きたいで〜 みんなをふふっと笑かしたいのにシリアスモード入ってイキっちゃうのどうにかしたいね

          わたしはもっとおもろい文章が書きたいで〜 みんなをふふっと笑かしたいのにシリアスモード入ってイキっちゃうのどうにかしたいね

          夕日がいまめちゃきれいだ 何枚か写真撮ったけどどれもイマイチ この目に映るいちばんきれいな夕日を覚えとこ

          夕日がいまめちゃきれいだ 何枚か写真撮ったけどどれもイマイチ この目に映るいちばんきれいな夕日を覚えとこ

          セブンティーン 二度とは

          今日は疲れたよ うちのクラス、受験生とは思えない賑やかさ お先真っ暗なのに気分は上々ってか! このひとたちの雲みたいなハピネスに巻き込まれたら本当に危険だと思い立って、意気揚々と単語帳を開いた。昼休みのこと いちばんハッピーハッピーハッピーって感じの群れが教室に置いてある霧吹きで遊んでたらしくて、そこから飛び出した水がめちゃくちゃ降りかかった 雨漏りかおもたわ めちゃくちゃかかってめちゃくちゃ腹立ってきて、ブチブチにキレながら移動教室した で、キレてても仕方ないなと思

          セブンティーン 二度とは

          実家的音楽と小旅行的音楽

          最近、羊文学にハマっている。 初めて聴いた羊文学の曲は『光るとき』。山田尚子監督のTVアニメ『平家物語』の主題歌として知った。 (このアニメのお話はまたいずれ) 羊文学というバンドは、私にとって「キラキラでふわふわで、淡い色の服と無印良品をこよなく愛する丁寧な暮らし系女子の御用達バンド」というイメージだった。これはなにも悪口じゃなくて、そういう品のいい、おしゃれなバンドという印象で。ともかくも、私とは相容れないジャンルだと思っていた。 けれど、実際の羊文学はそうではないのだ

          実家的音楽と小旅行的音楽

          幾十億、幾千万のきらめき

          あのさ、ものすごいことに気づいちゃった  言ってもいいですか?え、ほんとにいい?言うよ? 女の子って、全員かわいいよね。 もちろん、「整っている容姿」って絶対にあるし、そういう意味での美で女性を測るとき、その値に違いがあるのは事実だ。 でもね、笑ったとき、どこか見つめているとき、不意にまばゆくきらめく瞬間が、どの女の子にも等しくある。 この人、こんなにかわいかったっけ、素敵だったっけと度肝を抜かれるような。 みんな、自分はかわいくないと言う。あの子はいいよね、目が大

          幾十億、幾千万のきらめき

          創作大賞タグを付けてしまった 恥ずかしいな

          創作大賞タグを付けてしまった 恥ずかしいな

          びんづめのこばなし その1

          ご無沙汰しております。お元気でしたか?暑かったり寒かったりだけど、だんだんちゃんと初夏らしくなってきましたね〜 体は大切にしよう、わたしたち 生きてると毎日いろんなことが起こるもんで、ひとつひとつはすっごく小さいんだけど、でも誰かに伝えたいなって思うこと、ありますでしょう  今日はそれらのひとつをあなたにも聞いてほしいです。関西人だから個人的にオチがない話はむずむずするけど今回のオチはひどいと思います。 "すずめの友だち" 私の学校の教室には冬季にストーブを接続するため

          びんづめのこばなし その1

          わたしの怪物こぼれ話 何度か言及したことのある圧倒的最推しバンド・神聖かまってちゃんの楽曲に、「ズッ友」というのがありまして、そのMVがめちゃくちゃ怪物なんですよね。特に最後。 曲自体も個人的にイメージソングなのでぜひ聴いてみてほしいです

          わたしの怪物こぼれ話 何度か言及したことのある圧倒的最推しバンド・神聖かまってちゃんの楽曲に、「ズッ友」というのがありまして、そのMVがめちゃくちゃ怪物なんですよね。特に最後。 曲自体も個人的にイメージソングなのでぜひ聴いてみてほしいです