じゃがチー
名前から形から初めて働いたお店を踏襲しています👨🍳
ジャガイモの生地にプロセスチーズを入れて成形するというなんてことのない成形ですが、僕にとって思い出深く、いつも初心を思い出せるものです。
初めて働いたお店で一番最初はパンを焼く焼き場のポジションでした。
今でこそパンにとって焼成がとても大切な工程の一つであり、そこでどう焼くかで同じ生地でも全く違うクオリティになるということは理解しています。
ただ、初心者の僕からしたら焼く分数も温度も決まっていて、発酵の見極めさえすればこんなのただの作業じゃないかと
あとは焼く時間と発酵の時間を調整して組み合わせていけば誰でもできる下っ端のポジションやないかと思っていました。今の僕からは許せないやつですけど、本当に舐めていたなぁと反省してます。
やっぱり初心者の僕からすると生地を触ってパンを実際に形作る工程が一番大事だと思っていて、その工程が終わった後処理で焼いてるんじゃないかと、、
これ以上書くとパン屋さんに怒られてしまうのでこの辺にしておきますが、そんなこんなで成形への憧れが人一倍ありました。
舐めている上に無駄に自信家な僕は何でもやる前は完璧以上のものを僕なら出来ると常々思ってしまいます。
TVでやってるプロのサッカー選手に対して、僕ならワンタッチで反転するけどなぁとか言ってしまったり、大喜利見てもっと違う角度から答えれるけどなぁと言ってしまったり、一番痛い視聴者です。
最近これに関してはだいぶマシになってきたので、少し大人になれた気がしています。
その時の僕は痛さ全開だったので成形も僕の手にパンが収まった瞬間にその形になるんじゃないかと割と本気で思っていました。
そんな僕が現実に直面する時が来ます。
ハード目の職場環境でもあったことから同期で入って成形のポジションをしていた子が突然抜けました。職場的にはピンチですけど、僕にとっては成形のポジションに入れる大チャンスが到来した!とだいぶテンション上がっていました。
ただ、実際には大ピンチでした。
成形の人手が足りないので当然僕も成形をやることになったのですが、その時のパンがこのじゃがチーでした。
で、いざやったるかぁと思ったら、え?しっかり目のドロやないかと
指の隙間から生地溢れ落ちるんちゃうかと思うくらいにその時の僕には高加水の生地なんてとても扱える技術はありませんでした。
焦りに焦って触れば触る程、生地はダメージを受けて繋がりが切れていって
こんなはずじゃないし、後ろからのシェフの視線もめちゃくちゃ怖くて少し泣きそうになりました。
でも、その時シェフはその場では何も言わずに最後までやらして下さって
その後色んなことを教えてくれました。
きっと僕の何の根拠もない自信にも気付いた上で、そうじゃないっていうのを身をもって体感出来るようにあの時間を下さったんだと感じています。
その後見事に自信を打ち砕かれたからこそ残って成形の練習をしたり、シェフの成形を真剣に見て技術を得ることが出来ました。
隙あらばどこまでも鼻を高く出来る僕ですが、このパンを成形すればすぐにでもあの時の絶望感と自分への失望感を思い出せるからこそ初心忘れず今日も働きます👨🍳
今日はいい感じで成形できました!
あの時の僕に見せてやりたい!
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