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ChatGPT DeepResearchを試す(大学事務組織の課題)

非Proユーザー向けにDeepResearchやってみた記録を残します。

「Deep Research」は、「ChatGPT」で利用可能なAIエージェント機能です。ユーザーに代わって徹底的な調査を実行し、複数のソースから包括的なレポートを数分から数十分で作成します。

クエリ

タレントマネジメントと情報感度についてつらつら指示を書きました。色々深掘りされるのでそれっぽく回答してます。

大学事務組織が抱えるタレントマネジメント不足と情報感度の低さという課題を裏付ける資料とその解決案

資料の種類:量的、質的エビデンス双方を組み合わせて
具体的な課題:タレントマネジメント不足は育成とリーダーシップ開発、情報感度の低さはデジタル化と最新トレンド(e.g.AI)のキャッチアップ
解決策の種類:問わない。エビデンスベースで論理的かつ実践的なもの
対象地域:日本国内

量的エビデンス:統計データ、実証研究
質的エビデンス:事例研究、インタビュー
解決策の範囲:大学の組織改革~人材育成プログラム、それが政策にも符号することが条件

調査が始まって4分強待つとレポートが出力されました。下記にもレポートをペーストしていますが、チャットログの方が断然読みやすいです。

こんな感じ

雑に指示したわりに調査が行き届いています。感動しました。ちゃんと指示すればより包括的かつ拡張したテーマを論ずることができそう。
何よりリサーチ以外の目的で使えるかもしれない。


日本の大学事務組織における課題と現状

日本の大学における事務系組織では、「タレントマネジメント」(人材の計画的な育成・配置)不足と、デジタル技術への対応力や情報感度の低さが指摘されています。本調査では、まず統計データから現状を分析し、次に国内事例を検討し、最後に短期・中長期それぞれの解決策を提案します。

1. 統計データによる現状分析(量的エビデンス)

人的資本に関する指標(タレントマネジメント): 日本では欧米ほどタレントマネジメントの概念が浸透しておらず、従業員のスキルや能力を把握・活用する取り組みは限定的です (タレントマネジメントは日本で活用されるのか? | 柿沼英樹×土屋裕介 | HR Trend Lab) その結果、人材の流動性(離職や異動の頻度)は非常に低い傾向にあります。実際、多くの私立大学で新卒採用の職員は「3年間で離職者0名」というケースもあり、離職率ほぼゼロというデータが報告されています (大学職員の離職率が最近上昇している理由を知らないと損する - 社畜が大手大学職員に転職したブログ) これは安定的な人員確保には寄与しますが、同時に組織内で新陳代謝や外部からの知見導入が起こりにくいことを意味します。

職員のスキル開発・研修の実施状況: 文部科学省の調査によれば、大学職員に対する体系的な研修制度の整備状況は大学の種別によって大きな差があります。国立大学では職員研修を実施している大学が 86.0% にのぼる一方、私立大学では 40.9% にとどまっています (「国立大学における職員評価の現状」) 公立大学は23.4%)。私立大学の約4割しか階層別・分野別研修を行っていない現状から、計画的な人材育成が十分でないことが分かります。また多くの大学では、職員を外部の研修会に派遣する取組み(例:大学関連団体主催の研修)には積極的で、私立大学の 76.6% が実施していますが (「国立大学における職員評価の現状」) それを自大学内で体系立てて展開する取り組みは限定的です。このギャップは、組織内にノウハウが蓄積されにくいことや、リーダーシップ開発など継続的育成機会の不足につながっています。

情報感度(デジタル技術・AIへの理解度と活用状況): 大学事務のデジタル化対応についての調査では、多くの教職員がデジタル化の必要性自体は認識しています。2023年の調査でも「業務のさらなるデジタル化が必要だ」と感じている人が 74% に達しており (競争力が問われる大学の変革期 ~浸透しない大学事務業務DXの現状~ | コンカー) 2020年時点の 82% から若干低下したものの依然として高水準です。しかし、その一方で事務業務のデジタル化進捗は不十分です。大学の講義など教育面では「デジタル化すべき」との回答が80%超と高いのに対し、事務手続については「デジタル化すべき」が50%台にとどまり、コロナ禍を経てもなお事務デジタル化が十分進んでいない実態が明らかになりました (競争力が問われる大学の変革期 ~浸透しない大学事務業務DXの現状~ | コンカー) また、この調査で事務DXが進まない理由として挙げられたトップは「従来からの慣習」(56%)で、次いで「必要なITツールがない」(30%)、「学内規定上の問題」(21.3%)、そして「外部からの要請(例:監査で原本書類提出を求められる)」(15.8%)でした (競争力が問われる大学の変革期 ~浸透しない大学事務業務DXの現状~ | コンカー) これらの数字は、大学事務組織の文化や規則がデジタル化への障壁になっている現状を示しています。さらに、人工知能(AI)・生成AIの活用についても、大学は自治体等に比べて導入が遅れていると言われます (大学の事務業務における生成AI活用の現状と課題とは? | 2024年7月号 | 先端教育オンライン) 実際、2023年時点で約139大学が生成AI利用のガイドラインを公表するなど動きはありますが (大学事務組織における生成AI導入のリスクとリターン|Pogo / gmoriki) 事務業務でのAI活用事例はまだ限定的で、現場の理解やスキルも追いついていないのが現状です。

大学組織のデジタル化進捗状況: 上記の通り、教育分野ではオンライン授業の普及などDX(デジタルトランスフォーメーション)が進んだ一方、事務分野では紙・ハンコ文化が根強く残り、デジタル化の度合いに遅れが見られます。例えば、国立大学法人東北大学の事例によれば、学内の手続きのオンライン化やハンコ廃止に踏み切ったのは2020年以降であり、それ以前は対面・紙に依存した業務プロセスが多く存在していました (国立大学東北大学のDX推進事例:学内公募によるメンバーの積極的な取り組み|日本DX大賞2023 - 経革広場) (国立大学東北大学のDX推進事例:学内公募によるメンバーの積極的な取り組み|日本DX大賞2023 - 経革広場) 総務省の調査でも、日本全体で行政手続のデジタル化が諸外国に比べ遅れていることが指摘されており (令和6年版 情報通信白書|我が国のデジタル・ガバメントの推進状況) 大学組織も例外ではないといえます。以上の統計から、大学事務組織において人材育成とDX推進が十分でないことが浮き彫りになっています。

2. 国内事例研究(質的エビデンス)

(1) 大学事務組織のタレントマネジメント成功事例

立命館大学の事例: 学校法人立命館では、人事情報を一元管理できるタレントマネジメントシステム(カオナビ)を導入し、人材育成と業務改革を推進しました (学校法人立命館|導入事例|カオナビ〖シェアNo.1〗社員の個性・才能を発掘し、戦略人事を加速させるタレントマネジメントシステム) (学校法人立命館|導入事例|カオナビ〖シェアNo.1〗社員の個性・才能を発掘し、戦略人事を加速させるタレントマネジメントシステム) 従来、職員の評価シートや研修記録はExcelと紙で管理され、部署間のやり取りも学内郵送に頼っていたため非効率でした。システム導入後は年間ダンボール2箱・100通以上にも及ぶ紙の社内郵便を削減し、大幅なペーパーレス化に成功しています (学校法人立命館|導入事例|カオナビ〖シェアNo.1〗社員の個性・才能を発掘し、戦略人事を加速させるタレントマネジメントシステム) また、職員のスキルや経験をデータベース化することで、急な業務ニーズにも対応可能となりました。例えばコロナ禍で事務業務のオンライン対応が求められた際、システム上の「ピックアップリスト」で適切なスキルを持つ職員を瞬時に検索・招集でき、スピーディな体制構築に役立ったといいます (学校法人立命館|導入事例|カオナビ〖シェアNo.1〗社員の個性・才能を発掘し、戦略人事を加速させるタレントマネジメントシステム) このように、ITを活用した人材情報の見える化によって**「適材適所」の配置**が実現し、組織の即応力が高まりました。また立命館では、人事担当者自身が「定型業務に忙殺され、変革への意識が薄れがちだった」と振り返っており (学校法人立命館|導入事例|カオナビ〖シェアNo.1〗社員の個性・才能を発掘し、戦略人事を加速させるタレントマネジメントシステム) システム導入を契機に「業務を効率化し新しい仕事に挑戦しよう」という職員の意識改革が進んだ点も重要です (学校法人立命館|導入事例|カオナビ〖シェアNo.1〗社員の個性・才能を発掘し、戦略人事を加速させるタレントマネジメントシステム) これはタレントマネジメントのツール活用と同時に、人事部門のリーダーシップ発揮や職員のマインドセット転換が成功した例と言えます。

阪南大学の事例: 大阪府の私立阪南大学でも、データに基づく人材マネジメントに取り組んでいます。同大学は在籍学生数約5000人の中規模校で、限られた経営資源の中で他大学との差別化を図る必要がありました (学校法人阪南大学|導入事例|タレントパレット|大手No.1タレントマネジメントシステム) そこで人事情報のDX化に着手し、タレントマネジメントシステム(タレントパレット)を導入。従来は各部門の人事情報をExcelで集計していましたが、情報量が限られ意思決定に活かせないという課題があったため、収集データの内容と量を飛躍的に増やし、人事評価や配置に活用することを目指しました (学校法人阪南大学|導入事例|タレントパレット|大手No.1タレントマネジメントシステム) 導入後は職員のエンゲージメント(仕事に対する意欲や愛着心)を可視化するサーベイを実施し、「この職場を他人に勧めたいと思うか」といった質問への0~10点評価によって組織課題を抽出しています (学校法人阪南大学|導入事例|タレントパレット|大手No.1タレントマネジメントシステム) さらに、人事データを職員本人とも共有しフィードバックすることで、「適切にマネジメントされている」という納得感を高め、エンゲージメント向上につなげたい考えです (学校法人阪南大学|導入事例|タレントパレット|大手No.1タレントマネジメントシステム) このようにデータ活用と双方向のコミュニケーションを図ることで、職員一人ひとりの成長を促し組織力強化を目指す取り組みが始まっています。阪南大学のケースは、人事情報の見える化と分析により人材戦略を高度化しようとしている好例です。

(2) データ活用・AI導入による業務効率化と情報感度向上の事例

帝京大学のRPA活用: 学校法人帝京大学では、定型的な事務作業の効率化のためRPA(Robotic Process Automation)ツールを導入しました。その一例として、大学が毎年提出する「学校法人基礎調査」のデータ入力業務を自動化しています。2019年にRPAソフト(WinActor)のシナリオを約30本開発し、年2回発生する大量入力作業に適用した結果、従来比で2割以上の業務量削減を達成できたと報告されています (帝京大学 | 導入事例紹介 | WinActor® | 業務効率を劇的にカイゼンできる純国産RPAツール) 人手で行っていた入力作業が自動化されたことで、職員は締切に追われて深夜まで手入力するような負担から解放され、より付加価値の高い業務に時間を充てられるようになりました (帝京大学 | 導入事例紹介 | WinActor® | 業務効率を劇的にカイゼンできる純国産RPAツール) 帝京大学の例は、比較的短期間で導入可能なRPAによって業務効率化と働き方改革を実現したケースであり、AI的な技術活用の第一歩と言えます。この成功体験により、他の業務へのRPA展開やDX推進への社内理解も進んだと考えられます。

東北大学のDX推進とAI活用: 国立大学法人東北大学は、組織的なデジタル改革の先進事例として注目されます。東北大学は2020年、新型コロナによる危機を機に策定した「ビジョン2030」において、「全方位的なDX」や「スピーディーでアジャイルな経営」への転換を打ち出しました (国立大学東北大学のDX推進事例:学内公募によるメンバーの積極的な取り組み|日本DX大賞2023 - 経革広場) 同年6月には**「オンライン事務化宣言」を行い、学内の事務手続を徹底的にデジタル化する方針を示しています。その推進のため、学内公募で48名の職員**からなる横断的なDXプロジェクトチームを結成し、組織横断の改革に着手しました (国立大学東北大学のDX推進事例:学内公募によるメンバーの積極的な取り組み|日本DX大賞2023 - 経革広場) このチームは「窓口フリー(来庁不要)」「印鑑フリー(ハンコ廃止)」「働き場所フリー(テレワーク推進)」「経営の見える化」の4領域でプロジェクトを進め、具体策を次々と実行に移しました (国立大学東北大学のDX推進事例:学内公募によるメンバーの積極的な取り組み|日本DX大賞2023 - 経革広場) (国立大学東北大学のDX推進事例:学内公募によるメンバーの積極的な取り組み|日本DX大賞2023 - 経革広場)

窓口フリーの取り組みでは、2021年3月に全国の国立大学で初めて、全学対応の多言語AIチャットボットを導入しています (国立大学東北大学のDX推進事例:学内公募によるメンバーの積極的な取り組み|日本DX大賞2023 - 経革広場) 現在、学内に計14台のチャットボットを配置し、学生・教職員からの問い合わせに24時間365日対応できる体制を整えました (国立大学東北大学のDX推進事例:学内公募によるメンバーの積極的な取り組み|日本DX大賞2023 - 経革広場) これにより、従来は窓口営業時間内に限定されていた各種問い合わせ対応を、時間や場所を問わず処理できるようになり、利用者の利便性向上と職員の負担軽減の両面で効果を上げています。また印鑑フリーでは、学内のあらゆる申請書類から押印を洗い出し、ノーコードツールを活用した電子承認フローへ切り替える取り組みを進めました (国立大学東北大学のDX推進事例:学内公募によるメンバーの積極的な取り組み|日本DX大賞2023 - 経革広場) これも従来の紙文化を見直す大胆な改革で、学内規程の改訂や教職員への周知徹底など組織文化の変革を伴うものでした。東北大学の事例は、トップダウンではなく職員有志のボトムアップでDX推進体制を構築し、大規模組織のデジタル化と業務革新を成し遂げた点で特筆されます。その成果として、業務の効率化だけでなく、職員一人ひとりがデジタル時代に必要なスキルを身につけ、変革マインドを醸成する効果も生まれています。まさにデータとAIを活用した業務改革情報感度の高い組織風土づくりを両立させた成功例と言えるでしょう。

(3) デジタル化推進のための組織改革の成功例

上記東北大学のケースは、DX推進の組織改革として顕著な成功例です。加えて、他の大学でもDX推進の専任組織や役職を新設する動きがみられます。例えば長崎大学では「DX推進室」を設置し、学長直轄で全学的なデジタル改革を統括する体制を敷いています (長崎大学DX推進室ホームページ) また多くの大学でCIO(Chief Information Officer)やCDO(Chief Digital Officer)相当のポジションを置き、学内ITインフラ整備から業務プロセス変革までを戦略的に進め始めています (大学DX体制の現状と先進的な取り組み事例について詳しく解説) これらの組織改革の共通点は、専門人材の登用(あるいは職員のリスキリング)と、全学横断の推進体制の構築です (大学DX体制の現状と先進的な取り組み事例について詳しく解説) 従来は各部門ごとに最適化されがちだった事務フローを見直し、学内共通のプラットフォームやルールを策定することでデジタル化を加速させています (大学DX体制の現状と先進的な取り組み事例について詳しく解説) さらに先進例では、外部から民間のIT人材を招へいしたり、若手職員をDX人材として育成する研修を行うなど、人事面の改革も同時に行われています。これらの成功事例は、単なるシステム導入に留まらず組織カルチャーや制度そのものを変えていくことが、大学DXには不可欠であることを示しています。

3. 課題解決に向けた施策提案

以上の分析と事例から明らかになった課題に対し、以下のような解決策が考えられます。短期的に着手可能なものと、中長期的に取り組むべき改革に分けて提案します。

短期的に実施可能な施策

  • 職員研修・育成プログラムの拡充: まず取り組みやすいのは、大学職員向けの研修制度を整備することです。特にリーダーシップ開発デジタルスキル習得に焦点を当てたプログラムを導入します。現在、私立大学では4割程度しか体系的研修を実施できていないため (「国立大学における職員評価の現状」) 未整備の大学は早急に研修計画を立てる必要があります。具体的には、若手~中堅職員に対するリーダーシップ研修、新技術(AI・データ分析など)の基礎講座、業務改善のためのスキル研修(RPAツールの使い方等)を実施するとよいでしょう。研修は外部セミナーへの派遣だけでなく、学内で事例共有会を開くなど内製化も図り、研修を通じたネットワーク形成で組織横断的な知見共有を促します。

  • データ活用を念頭に置いた業務プロセスの見直し: 日常業務の中で人事や業務データを有効活用できるよう、プロセスを再設計します。例えば、人事記録や職員のスキル情報をExcel管理からデータベース管理に切り替え、必要な情報を迅速に引き出せるようにすることは、短期間で実現可能です(実際に立命館大学では人事情報を一元化し紙のやり取りを削減しています (学校法人立命館|導入事例|カオナビ〖シェアNo.1〗社員の個性・才能を発掘し、戦略人事を加速させるタレントマネジメントシステム) 。また各部署で個別管理しているデータ(学生数・予算執行状況など)を学内IR室等と共有し、経営判断や業務改善に役立てる仕組みを作ります。属人的な業務はマニュアル化・標準化し、RPA導入で自動化できるものは迅速に自動化することで、データ入力など単純作業に費やす時間を削減します (帝京大学 | 導入事例紹介 | WinActor® | 業務効率を劇的にカイゼンできる純国産RPAツール) こうしたプロセス見直しはコストをかけずに取り組め、短期間で効果が現れやすい施策です。

  • 情報収集・活用に関する意識改革施策: デジタル技術やAIに対する職員のリテラシー向上と前向きな姿勢醸成も、すぐに着手すべき課題です。前述の調査で明らかになったように、DXが進まない最大の理由は「従来の慣習」に起因する抵抗感でした (競争力が問われる大学の変革期 ~浸透しない大学事務業務DXの現状~ | コンカー) そこで、学内でDX推進に関する啓発キャンペーンや勉強会を開催し、「変化を受け入れ新しいツールを試してみる」文化を育てます。例えば、生成AIの活用事例を職員同士で共有したり、成功体験を発信することで不安を解消します。実務面では、紙・ハンコに頼らない業務フローを積極的に導入し、小さな成功を積み重ねることで職員の意識を変えていきます。トップマネジメントから「失敗を恐れず新しい取り組みにチャレンジして良い」とのメッセージを発信し、現場の心理的安全性を高めることも効果的です。要は、「やってみよう」の風土を短期的に醸成することで、情報感度の高い組織への第一歩を踏み出せます。

中長期的に取り組むべき施策

  • 人材の流動性向上に向けた仕組みづくり: 長期的には、大学事務職員のキャリアパスを多様化し、適材が適所で活躍できる人事制度への転換を図ります。現状では離職率が低く人材の固定化が進んでいるため (大学職員の離職率が最近上昇している理由を知らないと損する - 社畜が大手大学職員に転職したブログ) 組織内外で人材が流動する仕掛けを作ることが重要です。一つの方策は、ジョブローテーション制度や学内公募制の拡充です。職員が一定期間ごとに部署異動し新しい業務に挑戦できるようにしたり、新規プロジェクトの人員を学内公募して志願者を募る(東北大学のように (国立大学東北大学のDX推進事例:学内公募によるメンバーの積極的な取り組み|日本DX大賞2023 - 経革広場) ことで、埋もれた才能を発掘できます。また、他大学や企業との人事交流プログラムを設け、優秀人材の受け入れ・派遣を相互に行う仕組みも考えられます。文部科学省などと連携し、大学間で人事交流を促進する制度(例:一定期間の派遣研修や留職制度)の整備も検討すべきでしょう。人材の新陳代謝が進めば、新しい知識やスキルが組織内に入り活性化につながるほか、職員にとってもキャリア形成の機会が増えモチベーション向上につながります。

  • デジタル化を支える制度・ルールの改革: DX推進には、現行制度の壁を取り除く中長期の取り組みが不可欠です。例えば、学内規程の見直しや業務手続の法的要件の改革です。未だに紙原本や押印が必要と定めている内規があれば改訂し、電子署名やオンライン承認を正式な手段として認めます。東北大学が進めた「印鑑フリー」のような大胆な見直しは、他大学でも順次実行すべきです (国立大学東北大学のDX推進事例:学内公募によるメンバーの積極的な取り組み|日本DX大賞2023 - 経革広場) また、財務・人事システムなど基幹系の老朽化したITインフラを刷新し、データの一元管理と部局横断的な情報共有を可能にします。これには予算措置やベンダー選定など時間を要しますが、中長期計画で進める価値があります。さらに、デジタル化に関連するガバナンス体制も整える必要があります。データ利活用やプライバシー保護、AI倫理などに関する学内ポリシーを策定し、教職員全員に周知します。こうしたルール整備と啓発により、安心してデジタル技術を業務に使える環境を作り出します。結果的に、「紙でないといけない」「対面でないといけない」という固定観念を打破し、制度面からデジタル・フレンドリーな組織へと移行できます。

  • AI・生成AIを活用した大学組織のトランスフォーメーション: 最後に、中長期視点でAI技術を組織変革の中核に据えることを提案します。現在、大学事務におけるAI活用は遅れがちであり (大学の事務業務における生成AI活用の現状と課題とは? | 2024年7月号 | 先端教育オンライン) このままでは時代の変化に取り残されかねません。各大学は専門部署を設けるなどしてAIの研究開発や実証実験に取り組み、将来的には業務プロセスに本格導入していく必要があります。具体的には、チャットボットによる問い合わせ対応の高度化、生成AIによる文書作成支援(会議録や報告書の草案作成など)、機械学習による業務データ分析(学生募集や財務データの予測分析)など、適用範囲は幅広いでしょう。AI導入にあたってはリスクも伴うため、情報漏洩対策や倫理基準の策定、人間とAIの役割分担の設計など慎重な対応が必要です (大学事務組織における生成AI導入のリスクとリターン|Pogo / gmoriki) しかし、国内外の先進事例を研究しつつ段階的に導入を進めれば、大学事務組織は飛躍的な生産性向上意思決定の高度化を実現できます。加えて、職員がAIを使いこなすためのリスキリング(再学習)機会を提供し、「AI時代の大学職員」に求められるスキルとマインドを醸成します。これは単なる効率化に留まらず、大学組織そのものを変革(トランスフォーメーション)し、新たな価値創出や競争力強化につなげる中長期戦略と言えます。


まとめ: 日本の大学事務組織では、人材育成の仕組み不足とデジタル対応の遅れという課題が統計・事例の双方から確認できました。人的資本への投資(タレントマネジメントの強化)とDX推進は車の両輪であり、どちらか一方ではなく両面から改革を進める必要があります。短期的には研修や業務見直しといった取り組みで足元を固めつつ、中長期的には人事制度改革やAI活用まで視野に入れた大胆な戦略を描くことが重要です。幸い先進的な取り組み事例も蓄積されつつあります。それらエビデンスを踏まえつつ、自大学の実情に合わせた実践的な施策を講じることで、職員が生き生きと活躍し、情報感度高く変化に対応できる大学事務組織への転換を図っていきましょう。

参考文献・資料:

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