大学事務組織における生成AI導入のリスクとリターン
🎈 はじめに
国内の各大学から生成AIの利用方針・ガイドラインが矢継ぎ早に発表されている。2023年6月3日時点で既に139大学がガイドラインや方針等をWebサイト上に公開した。なお短期大学等や学部単位での表明を含めた場合、高等教育機関による公表数は約150にまでのぼる。
2023年5月末には私立大学情報教育協会より「生成系 AI 使用ガイドライン」、国立大学協会より「生成 AI の利活用に関する国立大学協会会長コメント」が公表された。
私立大学情報教育協会のガイドラインでは大学における教育・研究活動のみならず、大学の業務への導入について言及されているが、以下の通り生成AI運用のリスクに対する簡素な指摘に留まっている。
おそらく生成AI利用における大学教育的配慮とも大学のアカデミック・インテグリティに対する配慮とも異なる特有の配慮が大学事務組織に必要だと考えられる。
では具体的に、大学事務組織において生成AIを導入する際には何をどのように考慮すれば良いのか。その中でも考慮されるべきリスク・リターンや、AIと大学事務組織の関係についての知見はまだ整理されていない。
よって本記事では大学における事務・業務に焦点を当て、生成AIの背景およびそのリターンとリスクについて包括的に整理した。
■ 生成AIの背景と大学事務組織との関係
生成AIが世間を賑わせている主な理由を2つ挙げよう。
第一に、ChatGPTを始めとするAI生成サービスが公開され、これにより自然言語を用いた自由で汎用的な入出力が可能となったことである。具体的には、これらのAIサービスは人間と変わらないレベルの文章生成や、様々なデータ処理を行うことが可能になった。
第二に、これらのAIサービスがAPIを公開し、一般の開発者でもこれらの機能を利用できるようになったことである。これにより、大学の事務組織でもAIを自由にカスタマイズし、自身のニーズに合わせて利用できるようになったと考えられる。
このようなChatGPT/生成AIの特徴は各所で取り上げられており、その導入・活用事例や案が世間を賑わせて数か月が経つ。しかし大学事務組織とAIとの関係について詳述されたことは未だない。
そこで本セクションでは第三次AIブームから続く系譜を参照の上、AIに相対する大学事務組織の動向を調査した結果に基づき、大学事務組織とAIとの関係を整理したい。
◆ AI / 生成AIの基本的理解
まず出発点としてAI・生成AIの定義、第三次・第四次AIブームを概観する。
〇 AIの定義
例えば平成28年版情報通信白書では以下の通りに記載されている。
なおAIに対する認識が文化的社会的背景に大きな影響を受けることは既に指摘されているが、ここでは日本における定義を取り上げる。
上記した定義をベースとして、従来よりAIの定義は多様であったと言えよう。
〇 生成AIの定義
AIの定義の一方で、生成AIの定義を参照したい。サービス・アプリとしての生成AIの定義は各メディア等で紹介されているが、2023年1月時点で以下の通りに定義されている。
この「ユーザーからの指示」が自然言語で可能になったこと、出力される成果の品質が従来と比べて高い傾向にあること、極めつけはサービスとして広く公開されたことが、生成AIが強い話題性を獲得した要因だと考えられる。
〇 第三次AIブームの要点
AIには過去に3つのブームが存在した。各ブーム詳細やブームの間に存在した冬の時代については平成28年版情報通信白書等を参照いただくとして、ここでは昨今まで世間を席巻していた第三次AIブームの要点にのみ言及する。
第三次AIブームの特徴であるディープラーニングについて、鈴木(2018)では具体例が取り上げられている。
第三次AIブームの間に、囲碁AIから機械翻訳、顔認証システム、自動運転技術、チャットボットまで、現在も実社会で「AI」として幅広い活躍を見せるサービス・システムが誕生した。その基盤技術がディープラーニングである。
ディープラーニングは機械学習(新たなデータからパターンを見つけ出し、それを用いて予測や決定を下すモデルを設計する手法)の一形態であり、その発展にはビッグデータの存在が必要条件である。
ディープラーニングの概要や詳細は関連書籍(例えば松尾(2015))を参照いただきたい。
〇 第四次AIブームの要点
第三次AIブームを経て昨今、第四次AIブームと呼称すべき時代がやってきた。そのシンボルがChatGPTに代表される生成AIサービスである。
東京大学が公表した「生成系AI(ChatGPT, BingAI, Bard, Midjourney, Stable Diffusion等)について」にてChatGPTの特徴が簡潔に説明されている。この内容だけでも極めて汎用的な性能を発揮するサービスであることが伺えよう。
ChatGPTのリリース、GPT APIの解放、GPT-3.5の性能を凌駕するGPT-4のリリース、ChatGPTプラグインの導入、GPT搭載サービスの普及、LLMのオープンソース化等、利用および開発の双方の面から起こる爆発的で急進的なダイナミズムが生成AIの誇大広告的な特性(例えばMiyazaki et al(2023))と相まって、第四次ブームの様相を呈していると考えられる。
また汎用的な性能を発揮する生成AIが労働者に与える影響は非常に大きいと考えられる。
Eloundou et al(2023)はLLM(大規模言語モデル;ChatGPTはLLMの一例であり、その基礎となるアーキテクチャがGPT)が米国の労働者に与えるいくつかの影響を示唆している。示唆のうち2点を引用して以下に示す。
そして何よりも、こうした現状にも関わらずAIの性能は今もなお発展途上に過ぎないことが指摘されている。2022年12月時点で我々はAIの「歴史の初期段階」にいることが指摘されている。
以上が「AI / 生成AIの基本的理解」である。
生成AIは第四次AIブームを代表する技術・サービスであり、今もなお発展を続けており、その社会的実態や全貌は明らかになっていないが、今後の社会に大きな影響を与えることは想像に難くない。
◆ 第三次AIブームと大学事務組織の動向
以上を踏まえ、第三次AIブームの大学事務組織とAIの関係について、プレスリリースや大学向けサービスを提供するベンダー各社の事例紹介等として公開された事例を取り上げ、その特徴を整理する。
※念のため、ChatGPT登場以前の動向であることに留意いただきたい
本記事では大学の機関と構成員(管理運営)、それぞれの取り組みについて鳥瞰してみたい。
機関の取り組み
国内大学の一部では「AI」を冠するサービスを導入してきた。
例えば近畿大学は「日本の大学としては初めて、人工知能(AI)を活用した大学改革・業務改革を実施」すると謳い、2016年にAIサービスの導入を発表した。
その2年後の2018年、佐賀大学が国内大学で初めてチャットボットを導入している。
近畿大学は2023年初頭、近畿大学の学生がStable Diffusion(オープンソースの画像生成AI)で生成した画像を使用した新聞広告を打ち出している。第三次AIブームにおける取り組みと呼ぶべきか定かではないが、参考までに掲載する。
また2022年11月中旬という、ChatGPTのデモ版リリース(2022年11月30日)直前の時期に、ユーザーローカルのAIチャットボットを導入した事例も存在する。
2023年6月現在、PKSHAのAIチャットボットを導入している11大学の事例が紹介されている。
以上の大学のプレスリリースやAIサービスの導入事例を見るに、大学業務におけるAIの導入事例は「AIチャットボットによる問い合わせ対応業務の効率化」が多いと考えられる。ここで一度、AIチャットボットに焦点を当てよう。
各所で提供されているAIチャットボットの仕様は定かではないが、PKSHAのWebサイトより察するに、大量のテキストデータで訓練された自然言語処理のモデルを利用し、特定のタスク(例えば、学生の質問への回答生成など)に対してファインチューニングすることでタスクに特化したチャットボットを提供していると考えられる。
つまりAIチャットボット等のAIサービスは、大学事務組織がディープラーニングに不可欠なビッグデータを保有することなく、ディープラーニング技術の恩恵の享受を可能にしたと言える。
実際、津久井ら(2022)は多くの大学事務組織がビッグデータを保有していない事情を指摘している。
ディープラーニングにおけるビッグデータの重要性は先述した通りであるが、一部の大規模大学を除き、各大学の業務で用いるデータは実態として「典型的なRDBで処理可能な規模のデータ件数となっており、ビッグデータと呼称すべき規模のデータボリュームではない」(津久井ら,2022)。
※ 大学IRに携わる筆者の経験と照らし合わせても、大学の組織情報を活用するためにビッグデータ用のデータベースを取り回す例は今まで発表されたことがないと考えられる。
以上より、第三次AIブームの中では、ビッグデータを保有せずとも、一部の大学ではAIサービスの導入による業務改善に取り組んでいたと考えられる。
特にAIチャットボットの導入事例が多く散見されることから、大学の業務の中でも特に対外的な問い合わせ対応の改善に活用されていたことが示唆される。
構成員(管理運営業務)の取り組み
次に大学の構成員個人の取り組みについて整理したい。なおここでの構成員は教育・研究を主とする教職員ではなく大学事務組織における管理運営業務に従事する者を想定している。
このような構成員の業務と密接な関係にあると考えられる「大学情報・機関調査研究集会」、「RA協議会年次大会」、加えて「大学行政管理学会 定期総会・研究集会」で公表された過去10年分の発表等の題およびアブストラクトを中心に調査し、大学の業務におけるAI等と関連付けられる発表等を取り上げる。
まず「大学情報・機関調査研究集会」ではAIについて直接的な言及が無く、「RA協議会年次大会」ではAIによる「論文等成果物の名寄せ(著者同定)」を行った金沢ら(2021)の研究発表が確認できる。
一方「大学行政管理学会 定期総会・研究集会」では、発表の概略(アブストラクト)の中で「AI や IoT 等」(荒木,2018)、「IoT や AI の導入」(難波ら,2018)という文言を使用し、大学職員を取り巻く環境の一部としてAIに言及している。
なお2018年の「大学行政管理学会 定期総会・研究集会」ではドワンゴ人工知能研究所 所長が発題者の一人である分科会「AI時代の到来がもたらす大学(組織・人材)への影響」を開催し、当会の参加者へAIに対する理解を深める機会を提供していた。加えて当年の全体テーマが「未来予想図を描こう」であることからも、大学事務組織に影響を与えうる技術に対する積極的なキャッチアップが見受けられる。
このように、一部構成員の中ではAIという技術が今後の大学の業務における背景知識や将来の展望として認識されていたと考えられる。
また、AIとの厳密な区別が難しいが、機械学習を採用した研究発表として田中ら(2022)の「LMS のログを用いたドロップアウト兆候の予測」や萩(2021)の「機械学習を用いた科研費テキストデータに基づく審査区分の推定と応用」も確認できる。それぞれ大学の組織情報・データを活用した大学管理運営への寄与が特徴的である。
そもそも機械学習は統計学的知見を土台に発展した一手法であり、機械学習とAI、機械学習と統計学の線引きは曖昧だと考えられる。参考までに、野村総合研究所の用語解説を引用する。
以上より、第三次AIブームにおける構成員の取り組みとしては、調査の範囲に限るが、金沢らのグループ(2021)がAIを直接活用した唯一の例であったことが確認された。
しかし、構成員の研究発表の題・アブストラクトより、AIという技術が今後の大学の業務における背景知識や将来の展望として認識されていることが伺える。これは、構成員がAIをどのように見ていたのか、その一端を示していると考えられる。
また統計的手法の一つである機械学習は、大学の業務におけるデータ分析や作業効率化に活用されていたと考えられる。
特に後者は大学の業務におけるデータ分析や作業効率化に活用されていたことが示唆される。
以上が「第三次AIブームと大学事務組織の動向」である。
なお未実証の仮説を多く含むことをご承知おきいただきたい。
■ 生成AI導入による内外業務へのリターン
まず①AI戦略会議の論点整理、②東北大学のプレスリリースを参照し、大学の業務の枠組みを措定の上、生成AI導入によるリターンについて整理したい。
① AI戦略会議「AIに関する暫定的な論点整理」
大学事務組織における職員の仕事と各省庁の職員の仕事との間には一定の共通性があるだろう。そこでAI戦略会議が「AIに関する暫定的な論点整理」の中で挙げた生成AIの利用の例を参照したい。
省庁向けの内容ではあるものの、筆者が太字で示した3つの活用例は大学における事務作業の効率化、(学生等に対する)問い合わせ対応の高度化、(教員・学生)サービスの向上と置き換えても差し支えは無いだろう。
② 東北大学プレスリリース「全国大学に先駆けてChatGPTを導入し、業務の高度化・効率化を推進」
東北大の同プレスリリースでは国内大学に先駆けてChatGPTの導入が報じられた。そこに掲載されている業務上の活用例を参照したい。
主に職員が事務組織の内部で行う業務、また事務組織の外部に対して行う業務の2者に分けた説明が掲載されていることが分かる。
上記した①,②を踏まえて、今回は大学の業務を対内的な業務および対外的な業務に区別し、大学事務組織へ生成AIを導入することで見込まれる効果・効用(リターン)を整理したい。
なおChatGPT(GPT-4)を活用することで、各部署ごとの生成AI(ChatGPT)導入によるリターンについて整理を行った。
◆ 業務の全体像
まず各事務部門における対内的業務および対外的業務についてテーブル形式にまとめた。
部門は筆者の経験から、多くの総合大学に設けられている組織を想定した。特段、対外的な業務の多くが「問い合わせ対応」であることが分かる。
さらに対内的・対外的業務に分けて整理を進めた。
◆ 対内業務の効率化事例
対内業務におけるリターンは自動化と効率化、データ分析である。
前者は特に革新的な業務経験を大学職員にもたらす可能性がある。
例えばOffice製品に対話型AIサービスが搭載された「Microsoft 365 Copilot」が2023年中にリリース予定であり、従来のRPAでは対応できない業務まで自動化・効率化が進むと考えられる。以下にTeamsの例を挙げる。
リターンの後者は従来の活用事例に近く、先述した構成員の取り組みにおける「統計的手法の一つとして採用される機械学習」に対応する。現在も分析活動が報告されているものの、ChatGPTもしくはGPTを実装したサービスの活用により、より多くの関係者にとっての分析が容易になると考えられる。
◆ 対外業務の強化事例
対外業務におけるリターンはコミュニケーションの支援、情報発信である。
前者は従来の活用事例そのものであり、先述した機関の取り組みにおけるAIチャットボットが対応する。従来のチャットボットの性能の更なる向上が見込まれるだろう。
後者は広報部門をはじめとする学外のステークホルダーへの対応と言える。近畿大学のStable Diffusion活用事例は既に紹介したが、同様の事例が今後増えていくと考えられる。その際は後述するリスクを参照の上活用することが望まれる。
以上が「生成AI導入による内外業務へのリターン」である。
参考までに、本セクションで使用したChatGPTのプロンプトを共有する。
◆ 備考:ChatGPTの活用事例
参考までに、ChatGPTの具体的な活用案を紹介する。
① New Era of Computing - ChatGPT がもたらした新時代(畠山,2023)
ChatGPTの具体的な利用方法のみならず基礎的な概要まで網羅された発表スライド。
② ChatGPTの特性と大学事務業務における活用案
2023年5月22日に筆者が書いた覚書。
大学職員の業務におけるユースケースの例を記載している。
またまた余談です…🍵
この他にも非常に多くのプロンプト例・活用事例がWeb・SNS上で散見されるが、先述の東京大学の公表にも記載されていたように「ここでいろいろ説明するよりも、まず皆さん自身で使ってみるのが良いと思います」という意見に全面的に同意する。
ChatGPTは一サービスに過ぎない以上、他の生成AI(Microsoft 365 Copilot等)が大学事務組織における支配的地位を確立する可能性も大いにありうる。その際も利用者自身がまず触ってみてトライアンドエラーを経て納得する/しないプロセスが、出力の予測不可能性を持つ生成AIを活用するために必要なのではなかろうか。
■ 生成AI導入に伴うリスクと課題
生成AIリスクの4分類
市川(2023)はChatGPT等に対する社会的リスクを「出力内容に係る社会的リスク」と「入力(学習データ等)関連のリスク(各種法令関係)」に整理している。それぞれの要素を引用すると以下の通りである。
出力内容に係る社会的リスク
正確性・信頼性
公平性・社会的妥当性
入力(学習データ等)関連のリスク(各種法令関係)
オーサーシップ・盗作と著作権
個人情報、企業秘密
この「正確性…」から「個人情報…」までの4つのリスクを枠組みとして援用し、具体的な例や各種資料をまとめることでリスクの整理を試みる。
◆ 正確性・信頼性
生成AIが出力した結果の正確性・信頼性を担保するのは人間である。
そもそも2021年時点の訓練データが反映されているので、プラグイン等を使用しない限り、最新情報を拾うことができない。
【例】生成AI利用時のハルシネーション(幻覚):
日本最古の大学についてChatGPT(GPT-3.5)に繰り返し聞いてみた結果を共有する。 極端な例であるが、間違ってもこの手の判断をChatGPTに委ねるべきではない。
実際に、教員がChatGPTに「学生がChatGPTで論文を書いたかどうか」を尋ねた結果を信頼・使用し、クラスの半分以上が不合格となり、大学が彼らの卒業証書を保留にした事件も起きている。
◆ 公平性・社会的妥当性
ChatGPT等のサービスが一企業のサービスである以上、公平性と社会的妥当性への配慮が課題として残る。
例えばUNESCOの"ChatGPT and artificial intelligence in higher education: quick start guide"ではChatGPT利用時の「課題と倫理的含意」の一例にジェンダーとダイバーシティ、アクセシビリティを挙げている。参考までに掲載する。
ジェンダーとダイバーシティ:
アクセシビリティ:
また大阪大学の社会技術共創研究センターの「生成AIの倫理的・法的・社会的課題(ELSI)論点の概観」では生成AIの課題について多角的観点から整理されている。参考までにリンクを掲載する。
https://elsi.osaka-u.ac.jp/system/wp-content/uploads/2023/04/ELSI_NOTE_26_2023_230410.pdf
◆ オーサーシップ・盗作と著作権
「生成AIの利用ガイドライン」の記述および簡易解説を一部掲載する。
より詳しい説明は当ガイドラインを参照していただきたい。
なお「AIと著作権の関係については、「AI開発・学習段階」と「生成・利用段階」では、著作権法の適用条文が異なり、分けて考えることが必要」だとされている。大学事務組織においては特に「生成・利用段階」のリスク検討が不可欠だと考えられる。無論、学習済みモデルを持つ場合は「AI開発・学習段階」においても検討いただきたい。
◆ 個人情報、企業秘密
従来のWeb利用と重複する部分もあるが、機密情報をプロンプトに投入する行為には十分な注意が必要である。
個人情報保護委員会により「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」が公表されている。本記事では行政機関等における注意点のみ抜粋して掲載する。
以上が「生成AI導入に伴うリスクと課題」である。
主に正確性・信頼性に重点を置いたことにご留意願いたい。
📄 まとめ
■ 生成AIの背景と大学事務組織との関係
生成AIは第四次AIブームを代表する技術・サービス
【第三次AIブームにおける組織の取り組み】
ビッグデータを保有せずとも、一部の大学ではAIサービスの導入による業務改善に取り組んでいたと考えられる。
特にAIチャットボットの導入事例が多く散見されることから、大学の業務の中でも特に対外的な問い合わせ対応の改善に活用されていたことが示唆される。
【第三次AIブームにおける構成員の取り組み】
構成員の研究発表の題・アブストラクトより、AIという技術が今後の大学の業務における背景知識や将来の展望として認識されていることが伺える。
統計的手法の一つである機械学習は、大学の業務におけるデータ分析や作業効率化に活用されていたと考えられる。
■ 生成AI導入による内外業務へのリターン
対内的な業務
自動化と効率化
Microsoft 365 Copilot 他
データ分析
データ分析の敷居が下がり、従来に引き続き改善が期待される
対外的な業務
コミュニケーションの支援
チャットボットの性能が向上し、従来の取り組みに引き続き改善が期待される
情報発信
リスクを考慮した上での活用が期待される
■ 生成AI導入に伴うリスクと課題
正確性・信頼性
生成AIが出力した結果の正確性・信頼性を担保するのは人間である
公平性・社会的妥当性
ジェンダーとダイバーシティ、アクセシビリティ等
オーサーシップ・盗作と著作権
「生成AI利用ガイドライン」(日本ディープラーニング協会)参照
個人情報、企業秘密
「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」(個人情報保護委員会)参照
🔒 本論の範囲と制限
📚 参考文献
- はじめに
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