【進撃の巨人という哲学書】12.島津の退き口 ~17話、18話、19話~
アニメタイトル:第17話 女型の巨人
アニメタイトル:第18話 巨大樹の森
アニメタイトル:第19話 噛みつく
あらすじ
調査兵団は第57回壁外調査へ出発しました。
目的は、巨人の秘密が眠るエレンの実家の地下室に行く事です。
つまりはエレンの故郷シガンシナ区の奪還作です。
隊列を作り東から南へぐるりと南下してシガンシナ区に向かいます。
なるべく巨人との接触を避けて目的地に向かいたいのですが、そうも行きません。
なんと、突然の新キャラ女型の巨人の出現です。
アルミン絶対絶命ですが女型の巨人はアルミンを見逃します。
女型の巨人が大量の巨人を率いてきたのでしょうか。右翼壊滅です。
女型の巨人はエレンを探しているのでしょうか。
しかしエレンの場所は調査兵団に内部でも最重要機密で偽証情報で溢れています。アルミン、ジャン、ライナーにも分かりません。
女型の巨人は当てもなく走っているようです。
女型の巨人を止めるべくアルミン、ジャン、ライナーが立ち向かいますが、あまりの強さに相手になりません。
幸いにも3人とも命を落とす事はありませんでした。
女型の巨人は3人との戦闘はほどほどに、中央後方向へ進路を変えて走りはじめました。
やはり女型の巨人はエレンを追っています。
エレンを守るリヴァイ班は巨大樹の森へ逃げ込みます。
森の中を直進するエレンとリヴァイ班。
それを猛進する女型巨人。
女型巨人の目的はエレンを捕まえる事にあるのは間違えないようです。
リヴァイは部下たちに指示を下しません。ただ「走れ」と言い続け、部下たちは言われた通りに走り続けます。
一人、また一人と女型巨人の行く手を阻むように戦いを挑みつつ、なんとか女型の巨人の足を遅らそうとしますが、みんな無残にも殺されていきます。
もう、追いつかれると思ったその刹那。
森影から無数のワイヤーのついた弾頭が女型の巨人に向かって放たれ、それは絡んで網となり、女型の巨人は身動きができなくなります。
対特定目標拘束兵器です。
リヴァイ班は巨大樹の森へ逃げ込んだのではなく、誘導したのです。
そこにエルヴィン団長、ハンジ分隊長が対特定目標拘束兵器をセットし、待ちうけたいたのです。
女型巨人の生け捕りに成功しました。
しかし、その地点に誘導するまで多くの多くの犠牲を払いました。
あれこれ考えてみよう。
息を飲むストーリー展開です。
【島津の退き口】のお話をします。。
時は1600年「天下分け目の決戦」として知られる関ヶ原の戦い。
徳川家康と石田三成が多くの大名を動員し、東西両軍に分かれて激闘を繰り広げました。
なんと半日でその勝敗は決し東軍(徳川家康)の勝利。
負けが決定的となった西軍の各軍は、どのように戦場をはなれるか。
つまりはどのような負け方を選択するのかという状況に追い込まれました。
そこで、薩摩からきた島津軍(大将:島津義弘)。
なんと。わずか兵力1500の島津軍。真っ直ぐに真正面の徳川家康の本陣を差して「退却!」と命じました。
徳川方10000の兵の真ん中を1500の島津は突き破ります。
驚く徳川軍。しかし指をくわえて中央突破を許したわけではありません。
当然、本多忠勝や井伊直政といった徳川軍の猛将たちを島津の行く手を阻みます。
島津軍はその猛追を「捨て奸(すてがまり)」という戦法で振り切ります。
最後尾で追撃を守りながら進む殿(しんがり)。
もう追いつかれると判断したら、火縄銃を持った数名がその場に止まって、敵を狙撃。
一度打ったら、捨て身で突撃。
そして時間を稼ぎ。また、追いつかれそうになれば次の殿(しんがり)が。。。の連続です。
そしてついに島津義弘は徳川の追撃を逃れるのです。
島津軍も義弘の甥である島津豊久や家老の長寿院盛淳を失うなど多大な犠牲を出しており、薩摩まで生還できたのは義弘はじめ60~90名ほどというお話です。
島津の殿(しんがり)達の落とした命のおかげで、島津は立派な撤退だったと、関ヶ原の戦いの後も、その薩摩の領地を減らされる事無く安堵されました。
江戸時代に力を蓄え。明治維新で官軍として江戸幕府を倒し、日本をひっくり返したのです。
版籍奉還があったのは1869年。実に269年後に、島津の退き口の殿(しんがり)達の想いが繋がったのかもしれません。
【女型の巨人捕獲作戦】その作戦の内容さえも知らされず、調査兵団の一人一人はただその命令に従い戦い命を潰されます。
まるで島津の退き口のしんがり達のようです。
人は最期のその瞬間。なにを想うのでしょうか。
笑って逝けるかどうかは、その瞬間までの日々の答え合わせです。
そしてその死の意味は、未来の誰かが答え合わせをしてくれるのかもしれません。
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