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ラップとポエトリーリーディング
ユニット音担当茂野です。
今回は、ラップとポエトリーリーディングの関係性、共通性などについて、Poetic Mica Dropsの「のら猫」を取り上げて書いてみようと思います。
ラップとポエトリーリーディング
ラップが辞書にどう記載されているかを調べてみようと思い、家にしまってあった1991年発行の広辞苑第四版を引いてみましたが、載っていませんでした。
この時期にはすでに音楽スタイルとしてラップは当たり前に存在していた記憶があるのですが… (その後の版では掲載されたとは思います)
ネットで検索すると様々出てきますが、音楽スタイルとして、歌詞、言葉をメロディーに乗せて表現するのが歌。演奏やビートに乗り、歌詞を喋るように、話すように発する表現スタイルがラップであると私は捉えています。
ポエトリーリーディングは、直訳すれば詩の朗読。
実はラップとポエトリーリーディングは共通性が高く、たとえば音楽に乗せて詩を朗読する場合、その二つにほとんど違いはない気がします。
Poetic Mica Dropsはポエトリーリーディングユニットですが、「のら猫」を作るときの最初、次はラップっぽいものをやってみよう!、と言って始めたことを覚えています。
ビートとリフ作りから始め、言葉を乗せ替えたりしながら詩作を進め、読み方はどうするのがいいのかなどいろいろ試し、時間をかけて作り込んでいきました。
しばらくはライブで実演していたのですが、コロナ禍でライブが困難に。
「のら猫」アニメバージョン
そこで動画を作ろうという話が盛り上がり、熊谷弥香が描いた絵を素材に、草間小鳥子の詩を手書きで入れ、私の音楽に乗せて、映像作家宮嶋風花氏がアニメ作品に仕上げたバージョンがこれです。
「のら猫」ドラマバージョン
その後、宮嶋風花氏が連続ドラマを監督することになり、Poetic Mica Dropsが出演、詩作、音楽で参加することになったのです。
スマホのLINEアプリ内での公開ということもあり、画角は縦サイズ。
タイトル「今日、京都とミカと猫。」
都会から故郷京都へ戻ったミカと猫、周りの人々との触れ合いを描いたドラマで、第9話が「のらねこ」という副題。いなくなった愛猫「ぼうろ」を探してミカが街を彷徨うストーリー。
ミカ役の熊谷弥香が「のら猫」の詩を朗読しながら撮影。同時に録音。
カメラ目線で発せられる言葉。ポトリーリーディング、そしてラップです!
臨場感とミカの感情があふれたバージョンです!
「のら猫」サビメロ誕生秘話
ラップぽい作品を目指して作り始めた「のら猫」は、サビにだけメロディーがあります。
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このシンプルなメロに、
「はしって はしって 確かめ合い わらって わらって 傷つけ合う」
「こわして こわして なぐさめ合い」
「わらって わらって 抱きしめ合う」
など言葉違いで数パターンの歌詞が乗ります。
初期段階、実はここにはメロはなく、喋るように朗読する方向で考えていたのですが、熊谷弥香が気分で読んだテスト録音の中におもしろいリズム感のテイクがあり、私がそれをProToolsのプラグインソフトMelodyneで加工してみたところ、このメロが生まれたのです。
熊谷弥香が気分で読んだテイクと加工してメロにした同じ箇所、それぞれ短く抜き出してみました。
普段あまり公にすることはない作業内容ですが、今回特別に公開します。
おもしろいので、比較しながら聴いてみてください。
映像は、Melodyneの画面に歌詞を書き込んだ静止画にしてあります。
横軸が時間、縦軸が声の音程を表しています。
これが加工なしの元テイク。歌っぽいリズム感で読んでいるのがおもしろく、もしかしたらこれを元にメロにできるのではとそのとき思ったのです。
次に加工したバージョン。
「のら猫」のサビメロがこのとき誕生しました。
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