「これ、誰が淹れたお茶?」
今の職場では午前中に一回、手のあいた人が日本茶を淹れてくれる。給湯器のお茶ではなく、急須で淹れるお茶を。たいてい淹れてくれる人は5人。その5人には自分が飲みたいタイミングがあり、お茶を淹れることで息抜きをしたいらしい。私を含めその他の人たちは、いつ飲んでも、飲まなくても差し支えないタイプなので、淹れてくれたお茶を自分のタイミングで飲んでいる。
ひとり、お茶の淹れ方がいい加減な人がいる。皆のカップに注がれたお茶の色がバラバラ。極端に薄かったり濃かったり。そのうえ、量もそろっていない。あるカップには、誰かの飲みかけ?と思うような少ない量しかはいっていなかったりする。
薄くて量の少ない、味のしないお茶が私のカップに注がれていた時、嫌がらせ? と一瞬思ったけど、そんなことをする人ではない。ということは、こだわらない人なんだろう。
お茶ひとつでその人の考え方までわかる気がする。のどを潤せればいい、色がついていればいい、そういう考え方もあるのだろう。
お茶ひとつのことだけど、(仕事中だから湯冷ましまではできないとしても)適量の茶葉で、蒸らして、注ぎを丁寧に、そして皆においしく飲んでもらえるように思いをこめると、飲む人に伝わるような気がする。
珍しく私がすすんでお茶いれを申し出た。おいしくな~れと愛情も注いだ。
その後、お茶を飲んだ先輩が
「今日のお茶、誰がいれた? おいしい」って声が聞こえてきた。
自分から申し出るのが恥ずかしいので黙っていたけど。ひと時でもおいしいお茶でほっこりしてもらえればそれで満足。
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