国債ってやばい!?②
今回は通貨発行益の理解です。
名前の通り、日銀が通貨を発行することで得られる利益のことですが、よくある勘違いがあります。その勘違いとは、例えば、1万円の製造原価が1円とした場合、1万円を1枚発行することで、9,999円が日銀の利益になるというものです。もちろん違います。正しくは、日銀が購入した国債から得られる利益のことを言います。これだけだとよくわからないため詳しく説明します。
まずは、日銀が発行した通貨がどのように市場に流通するかみていきます。適当に刷ったお金を欲しい人に配っているわけではありません。日銀は、銀行が保有する国債を買う対価として通貨を発行します。そして、国債を保有し続けることで国債の利回り分の利益を得ることができます。
ただ、ここまで見てもやっぱり適当に刷ったお金で国債を購入するのだから、国債の利回りだけでなく、国債まるごとが利益になっているように見えます。そこでバランスシート(貸借対照表)を元に考えてみます。バランスシートは、会社なんかの決算書のひとつで、一時点の財政状況を示すものです。左側に資産、右側に負債と純利益を計上し、左と右の合計が必ず一致するというものです。
日銀が国債を買います。これは、資産として計上されます。その対価として、刷った通貨は、負債に計上されます。国債は、保有し続けることで利回りによる利益が生じます。刷った通貨は、他所から借りたものではなく日銀自身が刷ったものなので金利が生じません。そのため、その差が丸ごと日銀の利益となり、これが通貨発行益になります。ちなみに、普通の会社では、負債は銀行などから借りた借金になるため金利の支払いが生じます。日銀は通貨を自分で作る唯一の機関のため、このようなことが起こるんですね。
余談ですが、日銀が刷った通貨は、負債ではなく、資産ではないかといった疑問があります。日銀が刷った通貨、つまり日本銀行券ですが、そもそも日本銀行券は日銀が発行する債務証書でもあるのです。日銀の債務証書とは、日銀が支払い義務を負う証となるものです。これは、金(鉱物としての金)という現物を担保にして通貨を発行していた金本位制の名残とも言えます。金庫に保管されている金が資産で、その証書として発行された日本銀行券が負債だったんですね。既に金本位制は廃止されていますが、そのようなことから日本銀行券が負債で、国債が資産に計上されることが理解できると思います。
イメージ
〇金本位制の時代
金(資産) = 日本銀行券(負債)
〇金本位制廃止以降の時代
国債(資産)= 日本銀行券(負債)
【参考図書】99%の日本人がわかっていない国債の真実
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?