見出し画像

はにかまなくてもよいのなら

昼食にひとり、サブウェイに入る。

「アボカドベジー」という野菜だけで構成されたサンドイッチを頼み、出来上がったそれが載せられたトレーを受けとって、席へつく。

サブウェイのサンドイッチは、細長いパンの片側に切り込みを入れ、そこに具材をはさんでゆくスタイルだ。

パンの片側が、ぎりぎりつながっているあの形。

トレーの上で、そのパンはがばりと口を開いてこちらを見ている。

あふれんばかりの野菜を、その上に載せられて。

そう、あふれんばかりの……って、ちょっと待った。

野菜、多すぎやしませんか。

紙おしぼりのビニール袋を破こうとした姿勢のまま、思わず動きをとめて、わたしの「アボカドベジー」を凝視する。じっ。

……やっぱり、多い。

どう見ても、あふれんばかり。というか、あふれている。

その量を見てわたしはむしろ、そういえば今日は店員さんに「野菜多めで」と伝えそびれたという事実に気づかされた。

いつもは「野菜多めでお願いします……」とか、なんなら「多めだとうれしいです……(ニコッ)」とちょっと控えめを装って言ってみたりするのに、今日はぼうっとしてすっかり忘れていたのだ。

それなのに、いったいこの量はなんだろう。

過去最高じゃないか?

腑に落ちない気持ちを抱えながら、わたしは紙おしぼりのビニール袋をぴりぴりと破く。

ここから先は

2,105字
どうでもいいことをすごくしんけんに書いています。

<※2020年7月末で廃刊予定です。月末までは更新継続中!>熱くも冷たくもない常温の日常エッセイを書いています。気持ちが疲れているときにも…

自作の本づくりなど、これからの創作活動の資金にさせていただきます。ありがとうございます。