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あったかいスープをどうぞ

娘が風邪で食欲がないとき、よくつくるスープがある。

咳やのどの痛みからか、いつもはもりもり食べる固形物をイヤイヤと受けつけないときでも、これだけはおかわりして何杯も食べてくれることが多いからだ。

つくり方はいたってシンプル。

かぼちゃ、にんじん、皮をむいたさつまいも、玉ねぎを同量くらいずつ適当にざくざくと切って、圧力鍋にほうりこみ、水と塩を入れて、フタをして火にかける。あとで調整できるので、このときの水は少なめ(超大まかな目分量だけどかぼちゃ小1/4個、人参2/3本、さつまいも小1個、玉ねぎ小1個入れて水200mlとかくらい)。

強火で数分加熱してシュッシュッとなってから、弱火にして5分くらいさらに加熱してやわらかくして、火をとめて放置。予熱調理でやわらかくなる。

圧が下がったらフタをあけて、(離乳食期を乗り越えた家庭ならばきっとどこかにはあるに違いない)ブレンダーを鍋に突っ込んで、ぐがががが、とやる。だいたい、なめらかになるまで。

健康なとき&アレルギーがないならば、これを牛乳で少しずつ伸ばして、好みのとろみ具合にし、塩(大人向けなら+コショウ)で味を整える。わたしはそのままが好きだけれど、物足りないひとは、コンソメ顆粒とか入れたっていい。大人向けなら、お皿に盛り付けてから乾燥パセリとか散らすとそれっぽい。

離乳食期や小さな子向け、お熱や風邪の子向けなら、牛乳じゃなく、水を加えて好みのとろみ具合に伸ばしていく。お腹にあまりよくないから。塩で味をととのえるのはいっしょ。熱のときは塩分+水分がカギだしね。

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わー娘、熱あるし咳やばい、今日は普通のごはん食べてくれなそうだなあってとき、とりあえず無心で野菜を切って放り込み、このポタージュスープだけはつくっておく。

もともとかぼちゃやさつまいもが大好きだということもあるし、なめらかにしたポタージュ状が飲み込みやすいのか、ごはんや他のおかずには手付かずでも、飲み干したスープ皿をわたしに差し出して、おかわりを請求してくれる。

それだけで、母という生き物はほっとひと安心するのだ。だってこれがなかったら、きっと娘は(いつもは食べるの大好きなのになんかよくわかんないけど今日は自分も食べたくなくて)不機嫌なだけで、ろくになんにも食べなかったのだから。母は水分も栄養もとらせることができずに、心配してオロオロするのだ。

食べたのはそのポタージュスープだけだとしても、少なくともそこにはにんじんとかぼちゃとさつまいもと玉ねぎと、水分と塩分が入っている。

その事実は、あるひとにとってはとてもささやかでとるにたらないことだろうけれど、母という生き物にはものすごく大きな事実で、それだけでああ救われた!と思えるくらいのことなのである。

* * *

ところでなぜわたしがいま、早朝にごそごそ起きてこうしてスープについて猛烈に書いているのかというと、最近、あきらかにまわりで体調不良のひとが多いからだ。

リアルの知人友人も、noteやtwitterで見る知人や友人や見知らぬひとも、体調を崩していたり、年度末で仕事が忙しかったり、お子さんが体調を崩して看病づかれになってしんどくなっていたりして、ああ、つらい、つらいよね……と思う。

真夜中、娘の寝言(この前に投稿した育児短歌)に起こされてから眠れずに、いろんな方のnoteやtwitterを徘徊していたら、いろんなひとのいろんな状況に自分もちょっとつらくなって、唐突に、頭にぽん、と浮かんだ。

ああ、スープだ、みんなスープが必要だよと。

なんだかちょっと元気がないときにも、飲み込みやすくて、でもあったかくて、胃袋とからだ全体に、じんわりと染み込んでいくような。

そんな文章が届けたいなと思ってスープ、スープと思って書きはじめたんだけど、書きはじめてみたらほんとうに実用的なスープの話になってしまって、あれ思ってたんとちがう……?って自分で首をかしげているけど。まあいいじゃないか。スープなことにかわりはない。

別に手なんてこんでなくていいから、ただ水と塩と野菜ときのことベーコンとかを適当にぐつぐつ煮込んだだけでも十分においしいから、ひとり暮らしでも、忙しくても、あったかいスープを胃袋にいれて。

とりあえず気持ちを落ち着けるには、食べられるものからゆっくり食べたらいいんじゃないかなって。まずはあったかくて刺激のすくない、やさしいものを少しずつさ。

さあ朝ごはんに、冷蔵庫の残り野菜でスープでもつくるかな。

自作の本づくりなど、これからの創作活動の資金にさせていただきます。ありがとうございます。