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初めての友達

自分という人間にできた、初めての友達を覚えているだろうか。

おぼろげながら、わたしには「初めて友達ができた瞬間」の記憶があって、それは幼稚園のときのものだ。

もちろんそれ以前も、同じ社宅に住む子たちとよく遊んでいた。写真やビデオが残っている。でも、自分の記憶としてはほぼ覚えていない。

だから、わたしがひとりの人間として、親を介さず、だれかと友達になったのは、きっとあの日が初めてだ。

わたしは、年中から幼稚園に通いはじめた。

年齢にすると、3、4歳のころである。

場所は、半屋外だった。

よく思い出そうとすると景色がぼやけてしまうのだけれど、あれはたぶん、外の廊下か何かだ。ぼんやりと蛇口の印象がついてくるから、水飲み場の近くだったと思う。片側にグラウンドというか、外が広がっていた。

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どうでもいいことをすごくしんけんに書いています。

<※2020年7月末で廃刊予定です。月末までは更新継続中!>熱くも冷たくもない常温の日常エッセイを書いています。気持ちが疲れているときにも…

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