🎞️⌇正体

こんにちは、ぽこぽです。

キャスト発表時から公開日までが、とても待ち遠しかった作品 「正体」をようやく観ることが出来たので、気持ちを書き留めておきます。(公開して間もない作品のため、ネタバレなしの状態)

映画『正体』公式サイト｜大ヒット上映中！

以前、横浜流星さんの「春に散る」を観た時の衝撃が忘れられなくて…‼︎ なので今回、主演が横浜流星さんであること、そこに森本慎太郎くんも出演すること(これもとっても嬉しい)、なによりこの物語への興味が強かったので公開日をまだかまだかと待ち望んでいました。

あらすじ
日本中を震撼させた凶悪な殺人事件の容疑者として逮捕され、死刑判決を受けた鏑木（横浜流星）が脱走した。潜伏し逃走を続ける鏑木と日本各地で出会った沙耶香（吉岡里帆）、和也（森本慎太郎）、舞（山田杏奈）そして彼を追う刑事・又貫（山田孝之）。又貫は沙耶香らを取り調べるが、それぞれ出会った鏑木はまったく別人のような姿だった。間一髪の逃走を繰り返す343日間。彼の正体とは？そして顔を変えながら日本を縦断する鏑木の【真の目的】とは。その真相が明らかになったとき、信じる想いに心震える、感動のサスペンス。

映画 正体 公式サイトより

死刑囚が脱獄した。ここだけを切り取って聞くと、サスペンス色が濃いお話なのかと最初想像していました。けれど、予告だったり公式から発信されている言葉を聞くと、鏑木というひとりの男の人生が写されたお話なのだろうなと感じました。事件そのものというよりは、それを取り巻くもの・ことに焦点が当たっているような感覚。

観終わって感じたのは、これは観終わったから終了ではなくて、その時に感じたことや自分自身で考えてみることでこの作品の根っこの部分に辿り着けそうな気がしました。たくさんの情報が渦巻く社会で、テレビだとかSNSとかで流れてくるものしか知らないのに、その物事のすべてを知ったような気になってしまう現在。そうじゃなくて自分で考えてみることの重要さを感じられた気がします。ただ、難しいなと思うのは「情報のすべてを疑いなさい」というわけでは決してないなということ。信じることも疑うこともどちらも大切で、そのなかに自分の感じたこと…いわゆる直感みたいなものも同じように大事なんだろうなって思いました。

例えば鏑木が最初に出会う野々村和也は、彼が脱獄犯なのでは？と疑う。疑うってことは…⁇ と思っていたけれど、試写会などで出演者の方々は鏑木が最初に出会ったのが和也で良かったと思うと言っています。作品を観ると、そっかそういうことだったのか…となんだか心にストンとくるというか。交わす言葉は少なかったとしても、後半に出てくる鏑木と和也の表情がこの2人の関係を表しているみたいで、じんわり胸が温もりました。なんというか…ピュアなんですもん、この2人。一緒に過ごす中でそういう部分をお互いに見つけられていたんだろうなと思えて仕方なくて、だからこそ初めての出会いから時間が開いていてもお互いの奥に相手がいたのかななんて。なんかもう柔らかいもので包まれていて欲しいと願ってしまう2人です。(慎太郎くんの演技力についてもいっぱい書きたいので、それはまたしばらくしたらシーンありきで。)

2番目に出会うのが安藤沙耶香。沙耶香のかける言葉と接し方の温度がわたしは好きでした。自分自身も抱えるものがあるのに、どうしてこんなにも温かいんだろうと考えたときに彼女のなかには「信じる気持ち」を大切にしているんだろうなと思いました。人を信じる部分もあるかもしれないけれど、わたしは彼女は自分を信じているのかなとも…自分で感じたことを信じる。思ったことをすぐ伝えるのではなくて、自分の感じることを軸に置いてゆっくり咀嚼していく感じがして、見極めていく力のある人だなと感じました。鏑木の人間らしさっていうと語弊があるけど、その人らしさみたいな部分が見れたのもこの2人の組み合わせの時かなぁって。

次に出会うのが酒井麻衣。後半に近づくにつれて彼女の顔つきが変わっていって、、職場の憧れの人として接していたところから、鏑木を見る眼差しが彼の本心を探しているような雰囲気に変わっていくのが印象的でした。接していくうちに、彼には”事情”があることには気づいているんじゃないかなと思ったんです。予告にもある、冬の湖のシーンでは無邪気な笑顔が見えていたのに、疑心が沸いてからは憧れの裏に隠れた好意があるから心が揺らいでいるんだろうなというのが伝わってきました。だけど、その気持ちから逃げなかったのは、やっぱり直に感じていた彼への憧れからなんじゃないかなぁとも。

そして1番関わりの深いのが、刑事 又貫。この人もまたすごく難しい立場の人だと感じました。思うところがありすぎて、まだうまく言葉にならないのですが…「ひとつの物事にはいくつもの側面がある」という言葉を思い出させてくれる人でした。刑事として追いかけるだけでなくて、きっと鏑木のことを1番考え続けた人なのかもしれないと思います。

物語は出会った人たちの視点で進んでいきますが、わたしはいつか鏑木側の気持ちが知りたいなと思いました。出会った先でなにを思って、どう感じたのか。身分を変えながらそれぞれと出会っているけれど、それって鏑木じゃない人かと言われたら答えはNOで、全部鏑木なんだろうと思います。わたしだって、家族に見せる顔とお仕事の時、友達と会う時の顔は違いますもん。きっとそういうことに近いんだろうなと思いました。だから、和也・沙耶香・麻衣を始め出会った人達が感じた彼への気持ちはどれも鏑木自身なのかなって。でも逃げている身だったから明かせなかった心のうちもあると思う…そしてそんな境遇じゃなかったら出会えなかった人もいると思う。そう思うと物事の良し悪しは一旦置いておいたとしても、すべてのことに意味はあるんだろうなって感じました。

“良いことなんてない”そんなことを思うこともある日があります。だけど、踏ん張ってわずかな希望のカケラだとしても、自分が大事にすることを自分だけでもずっと大事にすることを大切にしてみたいと思いました。

パンフレットもとてもボリュームのある、言葉が大好きなわたしは読み応えのあるもので嬉しかったです。原作は映画を観たら読もうとスタンバイしているので、さっそく手に取ろうと思います。言葉にならない想いだったり、このシーンのここが‼︎ってなる込み上げる気持ちがあったりとしてまとまりはありませんが、本当に素晴らしい物語に触れられました。多くの人に、映画 正体が伝わってくれたら良いなと思うエンディングでした。わたし自身、改めて観返したい部分もあるので、また週末に観に行ってきます。

読んでくださったみなさま、ありがとうございました。

おしまい⸝⋆