『考えの入れ物』 てくてく通信 +🎈 #81
こんにちは、英会話Oneのただともこです。読む瞑想マガジンへようこそ。
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あなたの毎日の底に静かで気持ちのいい音楽が流れますように。
考えの入れ物
一時の厳しい寒さが和らぎ、今日は暖かい日差しが教室に差し込んでいます。今年の冬は無駄にはしないけれども、寒くない程度には惜しみなく暖房を使っているので、私史上とっても暖かい冬になっています。いつもはもっと寒い設定でした。そして、身体も変わってきて、今でも指だし手袋で平気になりました。皆さんの冬はどんなですか?
今日は、考えるときの道具を一緒に考えます。
私は、仕事がうまくいかなかったり、疲れていたり、自分がもやもやしていたり、やることが山積みだったり、逆にちょっとやる気があるなという時、職場や、家の片づけをします。掃除まで発展しなくてもいいのですが、整理整頓を30分くらい、きちっと時間をかけてやります。そうすると、頭の中が整理されます。分類されたものが、あるべき場所にきちんと収まっていって、クローゼットの中や、棚や部屋が整理されると、不思議と心も整理されて、今、何をやるべきなのか、よくわかるようになります。
これと同じで、考え事をするとき、その考え事を入れ物に入れてあげると、やりやすい場合があります。この場合、入れ物は、表、グラフ、絵、写真、エッセイ、手紙などたくさんあります。芸術と呼ばれる分野のたくさんの入れ物、事務をするときに使うグラフや表、マインドマップや、哲学を勉強するとついてくるたくさんの考えの型などがそれにあたります。
ぼんやりとした考え事は、なかなか形を作りにくいです。実際に手を動かして、物を動かしたり、言葉に書いて、考えに形を与えることで、考えや感情はより容易に手に取れるようになります。
そして、この入れ物たちのすごいところは、入れ物の方に、考えの手順が用意されている場合も多いのです。表にしたら、空いているところが判ったとか、絵にして他の人と比べてみたら、自分に見えてないものが判ったとか、掃除をしたら壊れている部分が判って、何を直して、足せばいいかわかったという場合がそうです。
良く「木の中に仏像が眠っているので、仏師はそれを掘り出すだけ」と、芸術をさして、例えることがあります。私は絵を描くので、これが本当だということを知っています。物がなろうとする形があります。それに逆らわないでとりだそうとすると、どこで終わればいいのかも、どこをより詰めていくといいのかも、どこをより手を加えないほうがいいのかも、判ってきます。これは、物の方に考え方が眠っているのです。
例えば、Risaさんは、帰国して、これからの人生をどう作っていくかの大きな課題に取り組んでいます。現実の中で働きながら考え事をすると、必然的に、一週間が7日では足りなくなってきます。そういう時は、考えを入れる入れ物の力を借りて、整理をしやすくしてあげると、考え事はより進みやすくなります。また、始めやすく、途中で止めやすくなり、短い時間で続けて同じことを考えることを可能にします。
考えの入れ物たちには、これまで人類がその入れ物で考え事をしてきた歴史が眠っています。デッサンや構図には、物のある見方が極められて入っています。写真の撮り方にも、どうやったら、いい写真が撮れるか、いい考え事ができるかというノウハウが眠っています。もし、あなたが考え事をしたかったら、こういうことを実際に教えてくれる芸術や、創作、文章の先生を見つけて教えてもらうといいです。芸術の先生の中には、芸術が考えの入れ物で、入れ物自身に先人の考え方が眠っているということをよく知っている人も中にはいます。よく見極めて、そういう人を探してみてください。
私は哲学が得意ではないので、この分野はうまく説明できませんが、論理的思考ができて、言葉が得意なら、哲学のやり方もとても有効だと思います。それから、全然違う分野で、科学の考えの方法というのもあります。実験の手段や段取りの中に、そして、仮説と検証の中に、普段の生活に実際に使える考え方とその実行の仕方が眠っているのではないかなと思います。それは、工学をやる人たちにとっては、もっと実際的に、考えを何かの物の形に落とし込むときのいろんなノウハウを持っているのではないかなと思います。機会があったら、このいろんな分野の人たちを将来Oneにお迎えしてお話ししてもらいたいと思っています。
そして、英語もひとつの考えの便利な入れ物です。日本語で考えてうまくいかない時、英語にしてみたらうまく言えたという経験が、みなさんにも訪れるといいです。そういう時、英語はとっても身近に感じられます。よりシンプルで力強い構造を持っている英語だからできる決断や状況判断、気持ちの伝え方もあります。そして、だからこそわかる、日本語の繊細さやニュアンスを伝える素晴らしさもきっと理解できます。この新鮮な発見を皆さんにお届けしたいです。
皆さんの考え事の入れ物はどんなものですか?それが掃除だという人も、人の身体に触れることだという人も、自分の仕事だという人も、たくさんいると思います。ぜひ、教室でお話ししてください。楽しみにしています。
ちょっとしたおすすめ
松林屏風図 長谷川等伯
皆さんが絵を好きだとおっしゃるとき、
大抵はヨーロッパのしかも20世紀の絵を
さして教えてくださることが多いです。
もちろんそれもとってもいい絵なのですが、
日本にもとても素晴らしい絵の歴史があります。
長谷川等伯は江戸時代に活躍した絵師です。
その中でもご紹介する松林屏風図は、代表作です。
売るためではなく、等伯の気持ちを描くために
荒い紙に短時間で描かれたといわれています。
私が世界で一番好きな絵です。
お正月あけ、2週間、毎年上野の
東京博物館の常設展で見ることができます。
一生に1回皆さんに見てほしいなと思います。
こんなに余白がたっぷりの絵の中に
これほど、印象深い瞬間が描かれています。
人間って豊かだなぁと思うのです。
ぜひ、どうぞ。
編集後記
とっても寒い冬になりましたね。私はこんな冬も好きです。これを書いている今日はお向かいの春日神社でどんと祭の準備が進められています。HPもどんどん進んで、一時なんちゃってプログラマーをやった私はとても満足です。多くの必要な人にこの教室が今年も届きますように。
(初出:2021.1.16)
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