『痛みの効能』 てくてく通信+🎈 #56
こんにちは、英会話Oneのただともこです。読む瞑想マガジンへようこそ。
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あなたの毎日の底に静かで気持ちのいい音楽が流れますように。
痛みの効能
とうとう初雪が降った仙台です。夜はさすがに寒くなってきました。皆さんのところはどうですか?
今日は人間の仕組みについて。
今、生徒さんの一人と「痛み」についての本を読んでいます。痛みの効能や、痛みがもたらす身体の仕組みを英語で読んでいます。1年くらいになりますが、私にとっても、とても面白いです。生徒さんは身体のことを専門のお仕事にしておられます。
先天性無痛無汗症という病気があります。難病です。生まれつき痛みや温度を感じられなかったり、汗をかかなかったりする病気です。痛みがないなんてなんて便利なんだろうと思われるかもしれませんが、痛みがないというのは大変なことなのです。痛みがないということは、自分が傷ついているという自覚がないということと同じなので、熱いものに触っても、やけどをしても、痛みを感じないから、そのままほっておくというような状態が出てきます。痛みは、センサーです。これをすると傷つくよ、やけどするよという信号です。信号をキャッチできないと、身体を傷つけないようにすることはとても難しくなります。だから、後天的に、身体を傷つけないことを学ばないといけなくなります。
良く身体を観察していると、身体が傷つくときには、ほとんどの場合、痛みが伴います。痛みによって、身体がダメージを受けていることを脳は知ります。そうして、その痛みを取り除くために治療をします。休んだり、湿布を張ったり、手当てをしてもらったりします。痛みはかように重要なセンサーなのです。
これは、心の場合も同じです。
昔、親しくしていた知り合いに、「痛みを感じなくした」と自慢げに言われたことがあります。そして、その人は実際に心の痛みを感じることがないようでした。仲が良かったときはよかったのですが、少しもめた時、その人は、目的のためには手段を択ばない方法で、解決を図ったので、私はとても痛い思いをしました。そのことを10年後に話し合おうと思ってあったら、その人はそもそもそうやって、私を傷つけたことの自覚や記憶がありませんでした。その人の中で、私はとてもよい記憶として書き換わっていました。私は驚いて、その後その人からは離れてしまいました。
痛みを感じないということは、他人の痛みもわからないということです。それは、どんなに他人を傷つけても、自分にはわからないということです。ちょっと考えればわかることですが、それは本当に怖いことです。
人と人の間でも、心が痛くなる出来事はあります。愛する人を亡くしたり、夢がかなわなかったり、傷つくことを言われたり、そういう行動をとられたりする場合です。特に誰かを失いときの痛みは、誰にでもやってくる痛みで、早回しできないものなので、じっくり味わうことが大事になります。痛みを味わうって?と言われるかもしれませんが、喪失の経験は、痛みなしには消化できません。痛みに伴う否認や、怒りや、許しの段階は、痛みがあるから引き起こされます。それを十分に味わって、ひとつずつ、進んでいくことで、亡くなったものを受け入れることができます。
痛みを感じることができない人は、喪失の痛みも味わえません。つまり、喪失から得られる、故人を惜しむ気持ちや、悼(いた)む気持ち、大事に思う気持ち、残念に思う気持ちも、味わえないということです。何らかの別の形では味わえることなのかもしれませんが、痛みをという形式をとらない場合、それらは、思考の回路をたどって、感情にまたつながっていくという形でしか、蓄積されません。
私は、幼いころから、数年前まで、心が痛みなることがものすごく頻繁にある家庭に育ったので、痛みだらけの人生を送っていました。対処法として、痛みをその場で感じないで、後になってから感じるように、仕組みを開発して導入していました。おかげで、大人になってから、痛いことが起きたその瞬間に相手にそのことを伝えられないので、1週間ごとかに、「あの時、ああいわれたのは、辛かった。」と話すようになってしまい、とても苦労しました。それも、今はだいぶ治ってきています。
でも、一番大変だったのは、自分が痛い思いをした時のことを、その場では受け止めきれなくて、固めて、自分の中深くに収めていたことです。そして、それをもう一回、痛みとして、話しながら、感じる作業はとても大変でした。でも、痛みを痛みとして感じた時、痛みは、何かとても豊かなものに変わっていきます。自分や相手を慈(いつく)しむ気持ちや、大事に思う気持ち、気に掛ける気持ち、悲しむ気持ち、怒りなどに変わっていきます。そうやって、新たにとらえられた痛みは、同じことを繰り返さないようにしようという努力に変わっていきます。
世の中には、不思議なもので、痛みを感じない人も、痛みが好きな人もいます。でも、大半の人は、人生の中で、いくばくかの痛みを感じながら、人生のアップダウンを生きています。痛みは自分と相手を守るための大事なセンサーです。これは心の場合も同じじゃないかなと思います。だから、痛みを忌み嫌うのではなく、痛みを感じつくす中で生まれてくる豊穣を皆さんも味わえるようになるといいなと思います。
痛みを経験した人は、強くなります。そして、強い人は優しくなります。それは人生の贈り物です。皆さんが、少しでも、痛みをより豊かなものとして、一緒に生きていけるものとして、人生のパートナーにできることを願っています。皆さんの身近な痛みはどんなものでしたか?ぜひ教室で話してください。お一人のほうがいい場合はその時まで待って話してください。
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(地域を限定して相手を探そうとするとちょっとかかります。)
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編集後記
とうとう1年が終わります。長い一年でした。私は年の初めの目標の70%くらいを達成できました。そんな年は珍しいです。とっても頑張ったんだなと思います。まだまだ、復興の途中ですが、皆さんと育んできたOneの活動が来年も新たに仲間を得て、広がっていくことを願っています。皆さんもよいお年をお迎えください。
(初出:2019.12.28)
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