女子高生の「あったらいいな」は20年後に大学の先生が「叶えてくれた」(エッセイ)
一昨日の日経電子版に、次のような次世代技術が紹介されていました。
《テレビの前で試食も 明大、味がわかるディスプレー開発》
要は、テレビで見ている食品の味を、基本とする10種類の味を組み合わせて再現する装置を開発した、というニュースです。
この記事を読んで、ちょうど20年前、2002年の7月に提出された、ある高校生の提出レポートを想い出しました。
このレポートは発想がユニークなだけでなく、その《発明》を描いたイラストも《簡明ながら秀逸》であったので、コピーに残しておいたのです。
以前の記事(↓)に、工専で特別講義を頼まれた時、こんな宿題を出したことを書きました。
(1)あなたが「こんなモノがあったらいいな」という製品を書いてください。できれば、イラストを使って表現してください。
(2)その製品は、どんな《技術上のブレイクスルー》があれば実現するでしょうか?
また、その後、大学で短期留学生を対象にした、英語で行う化学の講義でも、同様の宿題を出しました。
そこで提案された《「あったらいいな」アイディア》の中には、その後の技術開発によって実現したものがいくつかあります。
残念ながら、学生さんたちの「あったらいいな」が直接結びついた技術開発では(おそらく)ありませんが、時間の前後こそあれ、《人が「欲しい!」と想うモノ》は似たようなものなのでしょう。
さて、2002年は工学部の短期留学生数が少なかったので、その大学の付属高校の生徒を《聴講》に誘ってみました。
そして、
「もし、よければ」
と宿題への参加も呼びかけたところ、上記の発明《Remote Taster》を提出してくれたのです。
(掲載したのは、彼女が提出したレポートの(問1)に対する部分です)
レポートに書かれた説明書き(和訳)はこんな感じです。
彼女の《発明》は、舌に被せた鞘の内側が味蕾細胞を「機械的に」刺激することにより《味を再現する》仕組みのようです。
ある意味、《10本の化学カートリッジ》が必要な明治大学・宮下教授の開発装置の、ひょっとしたら(実現可能ならば、ですが)さらに先を行っているのかもしれません。
ただし、実際の人間は料理の《味》を《味覚》だけでなく、《嗅覚》との複合で感じるようなので、どちらのシステムもまだ、課題が残っています。