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なぜ日本のスーパーに《Express Lane》がないのか? (街で深読み)

「スーパー・やおい」ショートショートからの流れで上げたエッセイ(↓)で《大疑問》が発生しました。

確かに《Express Lane》は欲しいわ!
1,2点の時でも並ばないといけないから、無駄に時間がかかってしまう。

上記エッセイにいただいたコメント(千世さま)より

ホント、そうですよね。
どうしてアメリカのスーパーにはたいてい存在する《Express Lane》が、日本ではほとんど見られないのでしょうか。

本件について考えて行くと、《日本社会の本質》にぶちあたりました。

まず、世の中の人はどう考えているか、
《日本のスーパーにはなぜExpress Laneがないのか》をネットで論じている人も少数ながらいました。

➀ セルフレジがエクスプレスレーンの代わりとして設置されているのでしょう。
➁ 日本のスーパーはそれほど大きくないのでそもそもレジ数が少ない。

うーむ。でも、➀は最近の話なので、もともと日本に無かった理由ではないですね。➁も、米国なら必ず《Express Lane》がある規模のスーパーでも日本では見当たらない。

ということで、私が思うのは、

日本社会は、「国民」とか「一般消費者」のような、《非特定型のマス》が対象になる場合、《合理性・効率性》よりも《公平性》を重視するから

ではないでしょうか。

《Express Lane》があると、確かに2,3個の品だけを精算する人は、《てんこ盛り》のバスケットのお客の後ろで長々と待つ必要はなく、スピーディーに買い物を終えることができます。
しかし、その一方、《てんこ盛り》側から見れば、後からレジにやってきたこの人に《追い抜かれる》ことになります。
「こっちの方が早かったのに!」
不満を感じる人もいるでしょう。

一方のレジ係側も、《Express Lane》に来る客はそれほど多くなく、このレジ担当になる方が、《明らかにヒマ》です。
《てんこ盛り》ばかり相手にしている通常レーンのレジ係は、《Express Lane》で退屈そうにあくびをしているオバサンをちら見して、
「こっちはこんなに忙しいのに!」

不公平を感じることでしょう。

《日本社会は》

と大上段に振りかぶったのは、スーパーのレジにとどまらず、あらゆる場面でこの、

《不公平だ!》

が現れるからであり、しかも、特に行政がその不満を回避しようとするあまり、膨大な税金を使ったり、改革が遅れたりすることが多い、と感じるからです。

実際、「効率性と公平性のトレードオフについて」という調査結果によれば、日本の国民は公平性志向が比較的強いのだそうです。
この点、合理的に考える経済学者と一般の国民の間に、《ズレ》があるようです。
属性別の調査によれば、女性は男性よりも公平性志向が強いのだそうです。また、年齢別では、高齢層 ほど公平性志向が強く、若年層は相対的に公平性志向が弱いんだとか。

うむうむ、そういう意味では、日本のスーパーは、こうした国民性まで考えて、効率性は高いものの公平性で文句が出そうな《Express Lane》を採用しないんだ!

── この「仮説」も、あながち間違ってはいないんじゃないか、と思うのです。


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