【据え膳食わぬは男の恥】(新釈ことわざ辞典)記事版
既に異臭を放ち始め、周りの誰もが警戒して手を付けない《据え膳》に、我慢できずかぶりついてしまったため、数々の災厄がふりかかり七転八倒している男が、それでも虚勢を張って言うセリフ。
本当に目の前に、『リアル据え膳』が出てきたら、多少の異臭を放っていても、箸に手を付けてしまう気持ち、わからないでもありません。
でもでも、動画の解像度が向上し、ほとんど『リアル』に見える『バーチャル』が氾濫しています。『バーチャル据え膳』に幻惑されないようにしないと……それ、ディスプレイ越しですからね、食べられませんよ!
しかも『バーチャル据え膳』は、あなたひとりだけでなく、同時に何十万の『おぢ』の前に提供されているのです。
まあ、なんでだまされちゃうんだろうなあ、なんて言う人もいますが、やはり、SNS動画に続く『1対1の動画通信』は特別な関係のように錯覚させられるのでしょうね。
いや、むしろ、『リアル据え膳』なら感じたかもしれない『異臭』は、ディスプレイ越しならば漂ってこない。
美味しそうな映像だけを見て、食べてみたい、なんて食指を動かすと、『据え膳』といいながらも無料ではなく、お代をねだられ、しかもそれを支払った直後にお膳を下げられてしまうという……。
七転八倒するならば、せめてお膳を口にしてからしたいものです……なんてね。