【ライターの仕事】とびらを開く～仙台みやぎフリースクールネットワーク
2024年7月22日付河北新報夕刊に執筆した、取材記事のアーカイブです。
毎週月曜日に掲載されている、宮城県内の市民団体・NPOの活動を紹介するコーナーです。
ーNPOの輪ー
私たちの周りでは、たくさんの市民団体・NPOが地域課題の解決などを目指して活動しています。「認定ＮＰＯ法人杜の伝言板ゆるる」と「NPO法人せんだい・みやぎNPOセンター」が交代で担当し、さまざまな団体の活動や地域課題について伝えていきます。
仙台みやぎフリースクールネットワーク
「仙台みやぎフリースクールネットワーク」は、2023年７月に設立された仙台市や宮城県内で不登校支援に携わる団体によるネットワークです。現在８団体が参加しています。
2024年６月に「不登校児童・生徒の多様な学びについて」をテーマに、不登校の児童生徒との向き合い方や保護者への支援の在り方を考えるシンポジウムと、個別相談会を開催。当事者や保護者が20名程参加しました。
ネットワークの代表を務める民間学習施設「あすと長町高等学院」学院長の石川昌征さんに設立の経緯を伺いました。
発足時に中心となったのは、20年以上も不登校の子どもたちの学びの場を提供し支援活動を続けてきた団体です。ネットワークを組むことで、互いに連携が取りやすい環境を整え、各団体がこれまで勝ち得たスキルや経験値を共有することで、より効果的な不登校支援を行うことができると考えたからです。
不登校児童生徒数は全国でも増加傾向
現在、全国で不登校児童生徒数は30万人を越えようとしていて、仙台市でも２５００人余りと増加傾向にあります。2016年に、「教育機会確保法」が施行されたことによって、全ての児童生徒が豊かな学校生活を送り、安心して教育を受けられることが保障され、学校に行くことが厳しい児童生徒は、フリースクールや教育支援センターなどで教育のサポートを受けることが可能になりました。
しかし、公的機関や民間機関に通っている児童生徒は全体の２割強で、不登校が原因で学びが遅れてしまうことは、二次的デメリットとなります。子どもたちの学びを保障するには、学校と連携し情報交換を行いながら、不登校の未然防止、初期対応を行う体制が重要になってきます。
子どもたち一人一人に合った学びの場を
石川さんは、「不登校の子どもたちは、ほんとに真面目なんです。彼らの良いところを伸ばし個々に合った学びのスタイルを提案しています」と話し、「不登校というのは、誰にでも起こりうるということを知っておいてほしい」だからこそ、きめ細やかな対応が必要なのです。
ネットワークには、学びの場としてフリースクールを運営する団体、居場所を提供しながら引きこもり傾向にある子どものアウトリーチに取り組む団体、福祉に特化している団体など、いろいろな受け皿があります。
各団体の特長と、これまでの経験を活かし、小中高校から青年まで、年齢や発達段階、不登校の段階によるアプローチができることが強みになっています。ネットワークを組んだことで、互いの支援を補完しながら、不安や悩みを抱える保護者に対して、適切な情報提供を行うことができるようになりました。
一方で、フリースクールなどの民間機関などを利用する保護者にとって、通学に係る交通費や利用料などの負担が大きいことも課題の一つです。現状を伝え、経済的なことで教育格差が生じないような対策を講じるよう関係機関に働きかけも進めています。
今後は、「参加団体を増やしてより強固なネットワークにしていきたい」と石川さん。定期的に学習会や情報交換会を行いながら、各団体の質の向上を図り、利用者の満足度をあげることが、不登校の子どもたちへの大切な支援につながると考えています。
９月には仙台市内でシンポジウムを予定しています。興味がある方は、ぜひご参加ください。そして、必要としている方に情報が届くことを願っています。
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私の原稿は、河北の担当記者が校正し、整理部で見出しや写真、キャプションを整えて掲載されています。新聞紙面掲載記事は、河北新報ONLINEからどうぞ。
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（ウチソト編集室ライター葛西淳子）