【連載小説】もし、未来が変えられるなら『最終話』
なぎとはその後も何回か会った。LINEのやり取りも再開していた。(前より頻繁ではないけど)僕はなぎに何かプレゼントしてあげたいと考えた。お詫びではないけどそんな気持ちだった。そしてふと、なぎにプレゼントしたことが付き合っていた時なかったことに気づいた。LINEを開いてなぎのアイコンを探す。
『何か欲しいものない?』
『なんで』
『買ってあげたいから』
『なんで急に?』
『そういう気分なの』
『なんか見返りを期待してるの?何もしないよ』
『見返りなんて期待してないよ』
そんな押し問答が続いて、やっと『それなら財布』となぎは送信してきた。僕が『どんなの?』と聞くと画像が送られてきた。少々値が張る。でも買ってあげようと思った。でも今思うと、それがいけなかったのかもしれない。なぎはその後、プレゼントを度々、ねだるようになった。僕は頼まれるのが嬉しくて、それを素直に受け入れてしまっていた。あっという間に貯金がなくなった。なぎが嬉しいなら、それでもいいと思った。
数ヶ月後、僕はなぎに『まだ好きだ。また付き合ってほしい』と告げた。でもなぎは断った。『恋愛対象ではない』と。じゃあなんで、二年も経って僕にわざわざ連絡をしてきたのだろうと悩んだ。プレゼントをねだるために近づいて来たのかとも思った。でもそれは違う。そもそも僕がなんでもないのに高価なプレゼントをしたのが、それについては、いけないのだから。その時は、いくら悩んでもわからなかった。でも今ならわかる。なぎは自分の中でずっと負い目を感じていて、謝りたかっただけなのだ。本人には聞いていない。でもそれが事実だろう。
告白したのが悪かったのか、それともプレゼントをねだるものがなくなったからなのか、なぎとはまた連絡が取れなくなった。僕はまた、なぎと一緒になる未来を掴めなかった。だから思う『もし、未来が変えられるなら』と。
でも、二度失恋した後の僕は強かった。一時は落ち込んだけど、以前のように自暴自棄になることはなかった。そして今は、病気も落ち着き、だいぶ安定した生活を送っている。『もう壊れてしまって、元には戻らない』と思ったのにだ。今、病気で苦しんでいる人たちに言いたい。僕みたいに壊れたと思うところまでいっても、治すことができる。それは相性のいい薬に出会うことだったり、周りの支えてくれる存在だったり、楽しいと思えることのなどの要因が必要かもしれない。でも、逆にそれがあれば、普通の生活は取り戻せる。絶対とは言い切れないけど、でも諦めないで。あなた達が苦しんでいるのは、僕は痛いほどわかります。無理をせず自分のペースでいいのです。何も改善しないと落ち込むこともあるでしょう。でも大丈夫です。自分を信じてどうか希望を持って生きてください。僕はあなた達の味方です。あなたに素敵な未来が訪れることを願います。