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台湾覚え書き1

騎楼と呼ばれる半屋外歩行者空間は、セミパブリックな領域をつくり、路面店舗やマンション足元には、ベンチや座ることをアフォードさせるものが配置され、地下鉄や地下街の通路には小さな図書館、公園にさえ掘っ建て小屋のような貸本スペースなど。

これらは日本が失っている「まちづくり」に足りないものとして、魅力的に映ります。楽しい事例は増えましたが、公共施設ですらホームレス対策にベンチへ突起を設けるくらいですから、民間施設でセミパブリックスペースを容認する動きはまだ少ないです。

台湾在住で飲食店管理をされている方の話に、従業員の家族愛の深さへの戸惑いや、送別会では皆んな潰れるまで帰らないなど、人付き合いの差異を色濃く感じました。エドワードヤンの映画には濃密な家族時間が描かれていると共に、夜景の写り込む美しい都市風景が小津映画のような余白を与えていました。

濃密な人付き合いの中へコモンスペースは成立し、豊かな都市風景となって表れる。そんな台湾の人間味ある風景へどこか郷愁を覚えたのは、戦前の日本にもあった公共性をそこに見て、東京が本来の都市たりえてない現実を確認し、息苦しいとされる社会から抜け出すヒントを認めたからなんだと思います。

台湾の書店や、文化創造に関する施設も興味深いので、そのうち。

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