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【今更旅ログ🇬🇧】ポンコツ咽び泣きオックスフォード編②
※2021年に訪れた時の記録になります。
当時のことを思い出しつつ、今更ながら初めてのイギリス旅行ログを興奮とともにお送りします。
前回の記事はこちら。
晴れやかな気分で目覚めたオックスフォード2日目。
まず、前日に偶然見つけたお洒落な文房具屋さんへ向かおうと決めたため、早めに宿を後にした。いちいち泣きたくなるほど嬉しい気分になる通りを歩き、今にもふくろうとともに買い物を終えた魔法使いが出てきそうな店構えの文房具店へ。
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封蝋に心底惹かれたが、まず使う機会がないかなと冷静になり泣く泣く購入を断念し、実用性を考慮して、自分用に素敵なペーパーナイフを、そしてカリグラフィーが好きな母へ羽ペンセットを購入した。
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この日は私の人生の目標の一つと言っても過言ではないクライストチャーチへ足を運んだ。ご存知ハリーポッターのロケ地である。
一番早い時間帯に予約したものの、いつも通り早く着いたので、予約完了メールを読みながら受付手順を確認しつつ、受付に向かう前に敷地内でコーヒーを嗜んでみた。
余談だがこの時コーヒー屋にいた気さくなマダムがこの天気はwellington bootsが必要ねと話してくれた瞬間めちゃくちゃテンション上がったのは内緒…イギリス英語が聞けて嬉しかったので、ついつい…
クライストチャーチ訪問には事前予約が必須だったため、私は1ヶ月以上前から予約解禁日にリマインダーを入れ、念の為毎朝ウェブサイトの予約ページを確認しつつ、狙っている日にちの予約が可能になるその日を虎視眈々と待ち望んでいた。我ながら狂気を感じる執着心ではある。「恋とは狂うこと」とはよく言ったものだ。
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そんなある日。いつものように朝6時から数分に一回のペースでウェブサイトの予約ページを更新していたところ、朝9時頃にようやく予約が解禁されたため、私は溢れ出るアドレナリンを片手に即刻予約を勝ち取った。冷静に考えれば、ただ観光を楽しむために施設の見学予約をしただけに過ぎないのだが、何年も待ち侘びて、やっと巡ってきたチャンスを逃さなかった自分を、この時は抱きしめて労いたくなった。
そうして満を持して訪れ、この階段が目に入った瞬間、要予約でのみ訪問可能故全く人がいないのをいいことに、私はこっそり泣きながらカメラに収めたのであった。
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ここに訪れることを目標に英語を学び始めたあの頃の私が、今ここにいる自分を見たらどんな反応を見せるのか。『まあここまで来れるだろうと思ったけど、私にしてはよくやったじゃん。』なんて今よりずっとクールなリアクションを取りそうだなあとぼんやり考えたりもした。
この階段をのぼれば私もホグワーツの生徒になれるのではないかと本気で思わせてくれる場所であった。
ウン10年分の思いを抱えながら歩みを進めた先に待ち構えていた食堂で、半狂乱になりながら角度を変えて何度もシャッターを押したことは、3年以上経った今でも昨日のことのように思い出せる。
コロナ前は観光客でごった返してたようなので、あまり人が写り込まないようにゆっくり写真が撮れたのは正直ラッキーだと思ってしまった。
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日本語対応のオーディオガイドを聞きながら、私はハリーポッターとルイスキャロルの世界に浸った。
この時食堂内で案内や説明をしてくれていた、山高帽が似合う素敵なマダムに「よろしければお写真撮りますよ」とにこやかに話しかけていただいたのだけど、丁寧に大丈夫だよありがとうとこちらもにこやかに返事をした。マダムは荷物を預かってくれる場所を教えてくれたりと、とにかくエレガントでとても親切だった。
親にはなんで写真撮ってもらわなかったのと窘められたが、この時の私は一分一秒でも長くこの世界に浸ることに夢中だった。自分が映っている写真に大した価値も興味もなかったが。
限界まで上がったボルテージをどうにか抑えつつ、オーディオガイドを聴きながら引き続き施設内見学をしていたら、どこからかオルガンの音色が聞こえてきた。
耳を傾けながら歩みを進めた先で、特徴的なステンドグラスが目に飛び込んできた。このステンドグラスに描かれた話がとても面白かったので、まじまじと見入ったりもした。
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気が済むまで見学をしつつ、私は「ここで寮暮らしをしながら学んだら、間違いなくその経験は一生の財産になるだろうなあ…ここにいたらルイスキャロルでなくても幻想的な話の一つが思いつけるよなきっと」なんてほくそ笑んだ。
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圧巻のクライストチャーチ見学を終えた後、とりあえず腹ごしらえをしようと思い、昨日買い物をしたマーケットで遅めのランチにした。
ここぞとばかりにイギリスを味わいたかったため、グレイビーソースたっぷりのパイにかぶりつき、お腹と心を達成感でいっぱいにした。
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この日のしめくくりはアリスショップでお土産探しに興じることにした。オックスフォード大学で教鞭を取っていたルイスキャロルの著作である「鏡の国のアリス」にも描かれていたとされ、アリスグッズの専門店でもあるのだ。
入った瞬間、大きくてフレンドリーな犬が柵から身を乗り出して精一杯の歓迎をしてくれ、思わず抱きしめたくなった。
彼もとい彼女がくれた何倍もの愛情で包み込み撫でまわしたい気持ちを抑え、静かに店内を物色していたら、今度は切なげに鳴いてきたので、罪悪感と歯がゆさで危うくマッドハッターになりそうになった。
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