【今更旅ログ🇬🇧】余白は残さず塗りつぶしバース編
オックスフォードで満を持してのイギリス旅行を果たした私は、帰宅した翌日にチェスター、その二日後にはバーミンガムへいずれも日帰りで訪れ、着実にイギリス一人旅を遂行していった。
とはいえ、「滞在中はイギリスの隅々まで見るために、全ての休日はイギリス旅行へ費やすんだ」という使命感に燃えていた私は、まだ見ぬイギリスの新たな一面を探すべく、日帰りバーミンガムを楽しんだ翌日、またも旅へ出たのであった。
※2021年に訪れた時の記録になります。
記念すべきイギリス一人旅デビューの記録はこちら。
日帰りチェスター珍道中の様子はこちら。
指切りげんまん針千本、嘘ついたらバーーース
タイトルにもあるとおり、今回の目的地は英国唯一の温泉発祥地でもあるバースである。
まず失礼を承知で言うが、バースは正直ロンドンやエディンバラといった他の観光地ほど高い知名度や人気がある印象は受けず、無知な私は渡英後初めて存在を知ったレベルであった。
しかし私の当初の目的は「イギリス一人旅をしながら、この国の隅々まで見て回ること」である。日本にいた頃は存在すら知らなかったこの街でも、たくさんの発見や出会いがあるに違いないし、仮にそんな煌びやかな体験が期待できそうになくとも、無理やりにでも何かを発見し持ち帰りたいと心から思った為、この街もまたGoogleマップ針千本状態にしたのであった。
余談だが私がイギリス時代についた習慣の一つに、Googleマップ針千本がある。Googleマップ針千本とは、旅行計画を立てる際、訪れる先の観光スポットやレストラン等を徹底的に調べ尽くし、滞在中に行く場所にピン止めをしていく一連の行為をさす、私が考案した造語である。
私の理想は、滞在中に訪れる場所(観光施設はもちろん、飲食店やお土産屋等すべてを含む)全てをスケジューリングし、電車や観光施設、可能であればレストランの予約チケットを全て確保し、ホリデー前に「あとは行くだけ」状態にオーガナイズすることである。
このあたりのこともいずれ記事にしたためたいが、まずはバースに話を戻そう。
本来の性質にそぐわない行動はすべきではないと学んだ一人旅
チェスターにバーミンガムと、連日イギリスのあちこちへ足を運んでいたため、さすがにこの日はゆっくりめに出発したいなと思い、午後からのんびり出発した。記憶の限りでは、後にも先にもこんなにもゆっくり出発した旅はこの一度きりである。
その結果、自分の性格におよそ似つかわしくない行動はすべきではないと、私はこの時身をもって知ることとなる。
ただでさえ時間通りに運行することが稀なこの国の電車は、この日に限ってかつてないほどの遅延を重ね、結果私は予定より30分以上遅れてバースへ到着したのである。
その上出発日は日曜日だったため、言うまでもなく到着時点で街中の店は軒並み閉まっており、この国においての日曜日の重要性を無言で私に伝えてきたのであった。日本では土日こそかきいれどきだと言わんばかりに、飲食店や雑貨屋は夜まで開いているところが多い印象があるので、ついつい自分が日本にいる感覚でゆるくスケジューリングをしてしまったが故の苦い思い出である。
しかしながらこの経験のおかげで、私は旅行計画を立てる際には必ず早朝出発を心掛けるようになったため、バースの悲劇は今後一人旅を楽しむための重要な肥やしとなっただろうと言い聞かせることにしている。
また、到着時には持ち前の晴れ女を発揮し、灰色の空から気まぐれな青空を引っ張りだすことができたにもかかわらず、外出時にカメラを宿に置いてきてしまい、せっかく雨上がりにしか撮れない味のある写真を収めることができずまさに泣きっ面に蜂であった。
気を取り直しての二日目は雨上がり/The Roman Baths
翌朝。旅先ではすっかり習慣づいている早起きをし、いつか日本に来てくれないかなあと密かに推しているおなじみGREGGSで朝食を取った。
一人旅の大きなメリットの一つは、遠慮なく早起きができて、まだ寝静まっている街をカメラ片手に闊歩できることではないだろうか。昨晩猛省した私は、誰もいない通りをいささか興奮気味に、今度こそカメラに残した。
旅行の際にはいつも一緒についてきてくれる青空を背に、私はローマ浴場博物館へ向かいながらもあちこち撮って回った。
事前にチケットをオンライン購入し、開園時間に合わせて入場するつもりでいたのだが、偶然団体客とバッティングし、その影響で開園30分以上前から既にできていた行列は、晴れ渡る空の下にいる私の気分を曇天模様にするには充分であった。
とはいえ私の近くに並んだ見知らぬお姉さんに、私の山高帽(前回のオックスフォード旅行で買い、早速被ってきた)を絶賛してもらったり、これまた偶然行列の近くで始まったドラマ撮影を眺めていたら、何故か撮影スタッフが私をエキストラ俳優と勘違いして「君、次撮影だから!こっち!」と声をかけてきたりと、大嫌いな行列がほんの少しだけ許せる珍事件が勃発したりもした。
ようやく入場を果たした博物館では、オックスフォード同様日本語も対応しているオーディオガイドを聞きながら、いささか混雑していた館内を右往左往した。かつて人々はこの地の温泉で体を癒し、はちみつのケーキに舌鼓を打っては心を癒したとのこと。地下では今もなお温泉が湧き出ている様子がうかがえ、大浴場をよく眺めると、底から泡がふつふつとたちのぼっていたことも記憶に強く残っている。
必修科目グルメをもとめて/Sally Lunn’s
多くの人は旅行の際、その地でしか味わえないもの、いわゆるご当地グルメを、まるで必修科目の単位を獲得するかのように食するのではないだろうか。私も例に漏れずこの必修科目の単位獲得のためなら労は惜しまないことにしている。
さて、今回私はバースでの必修科目グルメに、言わずと知れたサリー・ラン・バンを履修すべく、Sally Lunn’sへ足を運んだ。
博物館を出てすぐに向かったのだが、昼時だったためスープ付きのお食事バンにした。
なるほど食感は日本のパンのようにやわらかくふっくらしており、サイズも大きめで食べごたえがあった。
Sally Lunn’sは地下に展示及び物販スペースがあるそうなのだが、私が訪れた当時は、コロナの影響で残念ながら一時的に閉鎖されていたため、サリー・ラン・バンの持ち帰りと見学は断念した。
しらみつぶしに練り歩いた最終日/Fashion Museum
当時のことを思い出しながらこれを書いているわけだが、バースに関しては正直なにも連泊する必要なかったかな…出発を早朝にして一泊にすれば充分だったよなこれ…と大いに反省点の残る旅行ではあった。
わざわざ連泊にした理由としては、可能な限り時間をかけてじっくり楽しみたいが故に、一日で博物館や美術館等をはじめとした観光施設をハシゴする観光はできれば避けたいというただのわがまま旅行における妙なこだわりを独自に持っていることが大きい。こんなところでも大きな執着が顔を出すあたり、私には一人旅がお似合いなのだ。
そんなこんななバース最終日は、ロイヤルクレッセントに寄り道しつつもFashion Museumへ。上流階級の社交場として設けられたアセンブリールームに感嘆をしたあとに、地下にあるファッション博物館で、年代別に展示された衣服の数々を日本語オーディオガイドとともに堪能した。
年季が入っているとはいえ、現代でも充分通用できるのではないかと思えるデザインのものもちらほら見受けられ、ファッションにおける不変的な人の嗜好をひしひしと感じた。
※この記事を書くにあたり調べたところ、同博物館は2030年のリニューアルオープンにむけて準備をしているため、現在は閉鎖されているそうです
スケジューリングの重要性を身をもって知ったバース旅行
やや贅沢な時間とお金の使い方をしたかなと反省点の残る旅ではあったが、ひとまずこの地での必修科目単位獲得はできたし、次回の旅に活かせるであろう発見も多かったため、未来への先行投資、勉強代も幾分含まれているのだと前向きに考えることにした。
そして訪れた時期が時期だったということもあるとは思うが、バースはイギリスで訪れた地でも、治安が比較的良好な印象を受けた。それは観光地故なのか、シンプルに家賃が高い割に観光業を除く職を得ることが難しく人が寄り付かないからなのだろうかと私は密かに予想している。
さて、次なる目的地はこちらになるのだが、私はこの場所をどうやって見つけ出したのかさっぱり覚えておらず、来訪後こっそり調べたが、その当時(2021年)この地での日本語による旅ログは多くはなかったため、本当になんでここをGoogleマップ針千本の一つにできたのか皆目分からない。しかし、よくやったと言いたい。