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【今更旅ログ🇬🇧】ポンコツ咽び泣きオックスフォード編①
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約2年のイギリス生活において、私は休みの度にイギリス一人旅へ赴いていた。この国での一人旅は私にとってのゴールであり、英語を勉強するきっかけでもあったため、ホリデーの度に目標達成をしては、抱えきれないほどのお土産と目には見えない財産をたっぷり持ち帰っていた。
この頃はあまりにも楽しくてろくにログを残していなかったため、今更ながら少しずつ書いていきたいと思う。
※2021年に訪れた時の記録になります。
オックスフォードで昼食を
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ようやく2度目のワクチンを接種し、束の間の悪夢(副作用)にもたっぷり2日間悩まされたので、これで心置きなく楽しめるだろうと思い、私はさながら雨上がり気分で旅行を解禁した。
『いつかイギリス一人旅をするために英語を勉強しよう』と、私が子供の頃に決意したきっかけとなり、そんなささやかな夢を実現させるための原動力となってくれたハリーポッターゆかりの地の一つでもあるという理由で、記念すべきイギリス旅行の行先はオックスフォードにし、せっかくだからとこれを機にAirBのアカウント登録をした。以後、YMS中の一人旅はこのAirBによる宿泊がほとんどとなったことは言うまでもない。
かくして私は、一抹の不安とそれを覆い隠すほどの期待に身体を預けては、出発日を指折り数える日々を送った。
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到着した瞬間から既に、憧れの地に足を踏み入れることができた事実にこみあげてくる思いが頭をもたげ、歩みを進める度にそれは確かな興奮へと変わっていった。
ありあまるほどのアドレナリンを全身に受け止めつつも、どこか冷静な自分もいた。夢にまで見た地に来れたのだから、絶対に計画通りに観光してやると目をギラつかせながら、到着したら食事を取ろうと決めていたThe Grand Cafeへ歩みを進めた。
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1650年から店を構えているというイギリス最古のコーヒーハウスとされていたが、渡英後ハイティ―を楽しむ機会がなかなかなかったため、せっかくだからアッサムティーとともに頼んでみる。
アフタヌーンティはオックスフォード旅行後に何度か楽しんだことがあったが、エクレアが出てきたところはこのカフェのみであったので、なんだか新鮮に思えた。不思議だが美味しい異文化交流である。
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私がオックスフォードを訪れた時期は、ちょうどコロナ禍による規制が少しずつ解かれている最中だった為、観光客はまばらだった。それが功をなし、誰にも邪魔をされず観光を楽しみつつ、ここぞとばかりに何度もシャッターを押し続けた。
また、訪れた時期も影響しているとは思うが、私がイギリス滞在中に訪れた場所の中で、一度もホームレスに遭遇しなかった街はここオックスフォードだけであった。もちろん偶然会わなかっただけかもしれないが、少なくとも私がオックスフォードに滞在している間はそこかしこに治安の良さを感じた。
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20年分の熱意を静かに、しかし確実にぶつけてきたニューカレッジ
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人通りがまばらで、街全体がシエスタに耽っているのではないかと思えるくらい静かな中を闊歩し、溜息橋を通り過ぎた先で私は長年の願いを1つ叶えた。私のはち切れそうな20年分の熱意を静かに、しかし確実にぶつけてきたニューカレッジは、訪れた当時はようやく一般公開が再開されたばかりだったため、その場に誰もいないことをいいことに、夢にまで見たイギリス一人旅をこうして実現できた喜びに密かにむせび泣きながら写真を撮った。
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余談だが、最初間違えて裏口から入ろうとしてしまい、確認がてら尋ねてみたところ、ぶっきらぼうな守衛さんが案内してくれ、何とか入れたりもした。ありがとう守衛さん…。
ニューカレッジ内には教会もあったのだが、こちらは撮影禁止のため、DNAに刻み込む勢いで目に焼き付けてきた。
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薄暗いその空間で、壁にずらりと並んだ彼らと目が合った瞬間、心なしか自分の気持ちが全て見透かされたような気分となり、何となく居心地が悪くなったことをよく覚えている。ひょっとしたら本当に意思を持った誰かが私を見ていたのかもしれないが。
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こちらは見つけた瞬間思わず叫んだ門の飾り。綴りが少々異なるが、そう、これはキングスマンのあの台詞です…劇中でもOxfords, not broguesが合言葉になっていたしね。
なおキングスマンにも出てくるこの言葉は、ここニューカレッジの創設者でもあるWilliam Hormanの言葉でもあるので、意図せずしてキングスマンの聖地巡礼にもなった。感無量である。
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ニューカレッジを後にしたら、アーケード街で見つけた気さくなおじ様が経営するお土産屋でマグネットを物色しては実年齢を教えて驚かれたり、その向かいにある紅茶屋や偶然見つけたいい感じの本屋で買い物を楽しんだ。
それからコーヒー片手に街歩きをしていると、一人の観光客が明後日の方向にカメラを向けているところに遭遇した。
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不思議に思いながらカメラが向けられた先を見てみると、これまた写真映えしそうな店構えの文房具屋を見つけたが、さすがにこの頃には足が棒のようになっていたため、後ろ髪をひかれる思いでこの日はおとなしく宿へ向かうことにした。
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