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DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する上での課題、押さえておきたいポイントは?

パーソルイノベーション・デジタルマーケティング部の福井です。最近ではTVCMでもDX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉をよく耳にするようになりました。

デジタル技術の活用が大企業だけでなく、製造業をはじめとする中小企業にも必要とされています。このような状況をふまえ、経済産業省はデジタル技術について以下のように述べています。

あらゆる産業において、新たなデジタル技術を利用してこれまでにないビジネス・モデルを展開する新規参入者が登場し、ゲームチェンジが起きつつある。こうした中で、各企業は、競争力維持・強化のために、デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)をスピーディーに進めていくことが求められている
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_03.pdf

しかしDXがうまくいっている企業は少ないと言われています。そこでこの記事ではDXがなぜ必要なのか、またDXを行う際に課題となるものは何か、さらにDXを推進ために必要なことは何か説明します。

DXとはどのようなもの?

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DXについてはよく聞かれる言葉なので、すでにその定義については理解している方も多いと思いますが、あらためてDXの定義を紹介します。経済産業省によれば、DXは以下のように定義されます。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181212004/20181212004-1.pdf


つまり簡単に言えばデータとデジタル技術を活用して、ビジネスを変革することです。ではなぜDXが必要なのでしょうか。

DXはなぜ必要なのか

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DXが必要だという話はさまざまなところで耳にしますが、ではなぜDX化が必要なのでしょうか。DXが必要な理由は以下の3つが考えられます。

1.2025年の崖と2025年問題

2025年は問題が指摘されている年です。ひとつめは「2025年の崖」の問題です。経産省は「2025年の崖」を以下のように説明しています。

複雑化・老朽化・ブラックボックス化した既存システムが残存した場合、2025 年までに予想される IT人材の引退やサポート終了等によるリスクの高まり等に伴う経済損失は、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)にのぼる可能性がある。
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_03.pdf

この「2025年の崖」の壁を乗り越えなければ日本の企業の成長はありえません。レガシーシステムを刷新したうえで、DXを導入する必要があります。その結果、GDPの押上げもできると経産省は述べています。

2025年までの間に、複雑化・ブラックボックス化した既存システムについて、廃棄や塩漬けにするもの等を仕分けしながら、必要なものについて刷新しつつ、DXを実現することにより、2030年実質GDP130兆円超の押上げを実現。
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_01.pdf

次に2025年問題です。2025年問題とは、団塊の世代が75歳以上になることで労働人口が減少する問題です。つまり労働力が減少してしまうため、人手不足が起こることを言います。環境白書では労働人口が2000年と比べ、7%減少すると述べています。

経済成長を人材供給の観点からとらえる労働力人口は、2025年(平成37年)までに6,297万人と、2000年(平成12年)に比べ約7%減少すると見込まれています。
労働力人口の減少は、労働時間に変化がないものと仮定すると、労働力投入量の減少により生産量を減少させる方向に働くものと考えられます。現在の経済規模を維持させるためには、労働者1人当たりの生産量である生産性を向上させる必要があります。

その結果、今まで人が行っていた仕事も、AI等を活用しコンピュータに担わせる必要があるわけです。コンピュータに業務を代わりに行ってもらうことで、人材不足が解消されるだけでなく、業務効率化も実現できます。そのためDXが注目されているのです。

2.既存システムでは限界がある

既存のシステムはそのシステムを維持するためにコストが多くかかってしまいます。また機能を拡張する際にも、さらに費用がかかるようになるわけです。古いシステムをメンテナンスしながら活用しても、そこには限界があるのは間違いありません。

またシステムに新しい機能をつけて行くと、そのシステムについて分かっている人が退社すると誰もそのシステムを使えないことがあります。そこでクラウドを中心とした新しいシステムを導入して、DXを進めようという動きがあるわけです。

3.ビジネス環境の変化に対応する必要がある

ビジネス環境は急激に変化しています。とくに消費者の行動は、コロナの影響もあり大きく変化しました。その変化についていくためには、データの活用は不可欠です。

データを活用して業務を効率化していかなければ、今のビジネス環境の変化についていけません。そこでDXの活用を急いでいる企業が多いのです。しかもDXに取り組んでいるのは大企業だけでなく、中小企業でもそうした動きが増えています。

DXにおける企業の課題は?

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DXについては2018年に経済産業省がレポートという形でまとめていますが、日本はアメリカ等と比べ、残念ながら遅れていると言わざるを得ません。では実際に日本の企業の現状の課題は何なのでしょうか。ここでは5つの点について指摘します。

1.IT投資が十分行われていない

日本ではITに対する投資が非常に少なくなっています。その理由は既存のシステムの保守や運用にかかる維持管理費が多くかかっているからです。なぜそのようなことが起こるのでしょうか。

その理由は多くの企業がレガシーシステムに依存しており、そのシステムが老朽化・複雑化・ブラックボックス化しているためです。システムを現状に合わせてどんどんバージョンアップしていくと、より複雑化してしまいます。

複雑化すればそれだけメンテナンスに費用がかかってしまいます。またシステムが複雑化していくと、独自のノウハウが必要になってくるのです。そうするとたとえばその業務を担当していた人がいなくなった場合、システムがブラックボックス化してしまい使えなくなってしまうわけです。その維持にもお金がかかります。

そのため「攻めのIT投資」と言われるITを活用したビジネスができなくなっているわけです。

2.経営層のビジョンが不十分

DXの必要性は理解しているものの、実際にDXをどう活かしていくのか経営者のビジョンが不足しています。さきほどのIT投資の問題と関係がありますが、新しいシステムを導入して既存のシステムを廃棄するという経営判断がなかなかできません。

その理由としてはDXを活用して一体何を実現したいのかのビジョンが不十分だからです。DXはあくまでも手段ですので、DXを用いて何を実現するのかのビジョンが必要でしょう。

3.IT人材の不足

DXを現場で行うためには、DXを推進するための人材が必要です。エンジニアだけでなく、DXをマネジメントできる人たちも必要でしょう。そもそもIT人材が不足している現状に加え、さらに今後人材不足が見込まれているため、なかなかDXを推進できていないのが現状です。

4.ベンダー企業に依存している

日本の企業で多いのは、ユーザー企業がベンダー企業に要件定義からすべて依存してしまっていることです。その結果、実際にユーザー企業が課題にしているものとは違うシステムを導入してしまうことがあります。そのためいざそのシステムを使ってDXを行おうとしてもうまくいかないことが多いわけです。

5.会社全体での導入が難しい

日本の企業では各部門でそれぞれ別々のシステムを使っている企業も多いです。そのため一部でシステムを刷新しても、他の部門が以前のシステムを使っている状態だと、DXはうまくいきません。つまりDXを行うのであれば、全社共通のプラットフォームを導入しなければならないでしょう。

DXを推進するために必要なことは?

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以上のような課題がありましたか、ではどうすればその課題をクリアし、DXを推進できるのでしょうか。ここではそのポイントを5つにまとめました。

1.DXの目標設定をしっかりする

DXはただの手段なわけですから、その目標をしっかりと決めなければなりません。DXを導入することで一体何を実現したいのか、経営陣のビジョンが必要になってきます。

そもそも経済状況が変化しているわけですから、ビジネスモデルそのものも変えていく必要があります。その中で自社のビジネスをどうしていけばよいか、その中でDXをどのように活用していくべきかと考えていく必要があるでしょう。

2.DX推進の人材を確保する

DXはただシステムを導入しただけではうまくいきません。そのシステムを運用していく必要があります。しかもそのシステムは自社で使えるようにならなければなりません。

ITエンジニアだけでなく、DXそのものをマネジメントしていく人材が必要です。ただし日本が全体的に人材不足の中で、うまく社内の人材を活用するのも大切です。中にはまったく違う部署にいるにもかかわらず、ITの技術がある人もいます。そうした人材を発見し、うまく活用していく必要があるでしょう。

3.システムのクラウド化をはかりRPAやAIを活用する

レガシーシステムを単に保守運用しているだけでは、DXは進みません。とくにDXは膨大なデータを使って分析します。そのためシステムのクラウド化は間違いなく必要です。一旦クラウド化してしまえば、開発環境も整っており、ランニングコストも抑えられます。

そうしたシステム化をした上で、RPAやAIを活用が必須です。RPAは今まで人間が行ってきたことをロボットが行うシステムのことで、ロボットが自動で業務をこなしてくれます。

そのため単純な作業については人間よりも早く行えるのが特徴です。そのため業務効率化が進むわけです。またAIを活用すれば、データ収集や分析が非常に容易になります。AIを上手に使えば、ビジネスモデルを大きく変化させられるでしょう。

4.システムを統一し、モバイル端末を活用する

DX化を推し進めるためには、各部署でバラバラに動いていてはいけません。全社で統一してシステムを導入し、業務をもう一度見直す必要があります。そうすることでDXがうまく機能し業務を効率化します。また全社共通のもの導入するとなれば、部署間での抵抗もないでしょう。

もうひとつ重要なポイントがあります。全社的にDXを推進するためには、モバイル端末を活用したほうがよいです。タブレットやスマホで視覚的に操作できるようにすることで、社員が抵抗なくシステムを使えます。

このシステムは難しいと思わせない事は非常に重要なことなのです。そうすることでDXの推進に対する抵抗の声もなくなるでしょう。

5.みんなでDXに取り組むという意識が大事

DXの場合、DX推進部署をつくるのが一般的です。ただそのDXを推進する部署は、現場に丸投げしてしまうようではうまくいきません。現場の人たちも一緒にDXを推進するんだという意識になってもらう必要があります。

そのためにはDX化することで、現場の人たちの仕事も効率化したという実感を抱いてもらう必要があります。

たとえば営業でシステムを活用したことで、今までよりも制約がたくさん取れたとなれば、DX化の必要性を現場の人も感じられますよね。そして成功体験を抱いてもらうような取り組みが必要でしょう。

DXの関する知識を外部から学ぶことも大切

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ここまでDX化を推進する上での課題と、DX化を推進するために必要なことを述べてきました。DX化がなかなかうまくいかない企業が多い中で、先ほど示した推進するための5つのポイントは非常に重要です。

ただしDXを実際に実行に移すとなるとなかなか難しいともいえます。そうした企業の方にはTECHPLAYAcademyのプログラムがオススメです。このプログラムでは自社でDXを強力に推し進めてくれる人材を育成できます。

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