そろそろソロデビュー

どーも、アーティストはバンド派のおれです。
と言うわけで、ついにアレを購入。
ワークマンの激安ソロテントであります。

キャンプは子供の頃からとーちゃんに連れて行ってもらってたし、BSのヒロシのぼっちキャンプはしっかり見ているし、オトナになってからは学生時代からの友人たちと毎年キャンプに行って、手間のかかる料理を作ったりしていた。

例えば、天ぷら、塩釜焼き、ダシから作るラーメン・つけ麺、ケバブ、自作タンドールのタンドリーチキン等々。
BBQ、カレーは当然のこと、なんでそんなん作ってんねんというメニューを毎回企画会議して考えていたほど。

あとはその友人たちと山買うべと全員で積み立て貯金をし、100万以上貯めたにも関わらず、メンバー間の音楽性の違いで仲違いしちまったりと、最近はキャンプと疎遠になってしまっていた。

が、そのうちの1人がグループソロキャンプにハマり、「そろそろソロキャン行こうぜ」と誘ってくれたのである。
字面だけ見たらよくわからんが、テントはバラバラ、買い物も食事を作るのもバラバラ、おすそ分けと乾杯は一緒という催しである。

みんなで行っていた時に買っているものもあるので、テント以外にはハンディノコギリとメスティン、ケトルを買った。
冷える夜に焼酎お湯割を飲もうという魂胆である。

またこれまでがんばりすぎていた料理もシンプルかつ流行りモノを取り入れ、メスティンを使った炊き込みご飯や、プチッと鍋(1人分の鍋スープ)を使った簡易鍋にし、自由時間を増やそうと試みることにした。

結果、短編小説を3篇読めるほどの時間はゲットした。
持って行ったキャンプ用のラグジュアリーイスもいい感じで、外の景色も相まって、C級映画のオープニングに使えそうなキャンプのワンシーンを演出できた。
ソロキャンプデビューとしては上々の出来である。

また、ノコギリも焚き火台に入るサイズに調整するのにいい感じの役割を果たし、どれも買って正解じゃねーかと1人悦に入っていた。

しかし、問題は夜に起きた。
いい感じに酔っ払い、じゃあ寝まっかーとそれぞれテントに入り寝落ちしてしばらく経った時である。
近くでドカーンと音が鳴り、目覚めたらバババババという激しい雨音、外は恐ろしいほどの雷雨になっていた。

晴れって言ってたのに、天気予報のウソツキっ!

先ほどまで心地よくお湯割りをチビリチビリしていたおれは、下腹部の圧倒的尿意を感じた。
しかし、この状態で外に出て放尿するのは危険である。

しかし、このままテントの中で縮こまっていれば、パンツの中がチビリチビリしてしまうのは時間の問題で、どのタイミングで出るかを頭と膀胱の天秤でひたすら考えることとなってしまった。

もはやすぐ隣に落ちたんじゃねーかという音量でバリバリドカーンとサンダガだか裁きの雷だかがおれのテント(近く)を襲った。
もしも放尿を選んで雷に打たれようものなら、死んだ後も後悔しそうであった。

だが、テントの中でおれのタイダルウェーブが暴発してテントを一回でダメにしましたとなったら雷に打たれるより後悔しそうなので、死をも覚悟してトイレに向かった。
頭の中で「ドワナクローズマアーイズ♪」とエアロスミスが歌ってくれたので勇気を持つことができたのである。
ありがとうアルマゲドン。

無事に元お湯割りだったモノを出し切り、テントに戻ってきたおれは、地球を救った英雄よろしく、平穏に戻るため床についた。
しかし、バババババという雨音は鳴り止む気配はなく、子ウサギよりも音に敏感なおれは寝ることができなかった。

他の音楽で紛らわせようと、スマホから音楽を流すことにした。
イヤフォンがなかったので耳にベタ付けすることで音量を確保する作戦だ。

しかし、一曲目を聴いている時に「雷は金属に落ちるんだよな、スマホは金属製品だ、テントで外とは隔絶しているとはいえ、貫通してスマホに雷が落ちたらどーしよー」と不安が最大級に押し寄せてきた。
次は"寝る"のと"耳に雷"の天秤である。
この短時間で天秤座よりも裁判官よりも天秤を活用しなければいけないハメになってしまった。

結果、おれが出した結論は指を耳栓にして寝るということだった。
疲れ切ったのかいつの間にか寝ていたのである。

そして無事に朝を迎えた。
昨晩の雨が嘘のような晴れだった。

山の天気とおれの気持ちは変わりやすいのである。

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