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(第4回)ITプロジェクトの状況・結果をどのように判断していけばいいのか 〜EVM〜

前回は、プロジェクトのベースラインについて述べてきました。

今回は、プロジェクトの状況を定量的に把握するために非常に有効なEVMについて見ていきたいと思います。

EVMとは、Earned Value Management(アーンドバリューマネジメント)の略で、プロジェクトの進捗やコストの状況を把握するための手法です。

実は、私自身は実務の中ではEVMを活用したことはなく、IPAの高度情報処理試験のプロジェクトマネージャ試験の勉強で学んだり、研修の中で実践演習をしたくらいです。

そのため、知識ベースの学んだ内容のおさらいになりますが、どうかお付き合いください。

EVMは、進捗とコストの両方を一目で客観的に把握できることがメリットかと思います。

EVMでは、基本となる4つの値がありますので、一つずつ見ていきます。

・アーンド・バリュー(EV)
出来高とも呼ばれる、実際に作業した作業量を金銭的な価値に置き換えたものです。
例えば、その作業が100円と見積られた作業だとするとそれが完了したら100円がEVとして計上されます。

・プランド・バリュー(PV)
予定した工程・作業に割り当てられた予算額のことです。プロジェクトのタイムライン上におくと、どの時点にどれだけの予算が割り当てられているかがわかります。
これに対して、EVの状況を見ることで、進捗が把握できます。

・実コスト(AC)
その作業で実際に使われた費用のことです。こちらもタイムライン上におくことで、現時点でどれだけのコストがかかっているかがわかります。
これをPVと比較することで、コスト面の状況を把握し、予算を超過していないか確認します。

・当初予算(BAC)
プロジェクトが完了するまでに必要と見積りした総予算です。


続いては、EV、PV、ACによりどのように進捗やコストの状況を把握するのかを見ていきます。

Excelやプロジェクト管理ツールを使って、グラフ上で見ることが視覚的でわかりやすいです。例えば、PVに対してAC・EVが上下・左右のどの位置にあるのかで予算超過や進捗遅延などがわかります。
ここでは、実際どのくらいの予算超過や進捗遅延なのかを確認する計算式を見ていきます。

まずは、進捗です。

SV(スケジュール差異)=EV-PV
現時点での出来高と計画時にこの時点までで完了すると予想した作業の差で、進捗状況を見ます。
SVがマイナスになれば、遅延が発生しているということになります。

SPI(スケジュール効率指数)=EV÷PV
SVを効率指数でみるこちらになります。SPIが1以下であると遅延していると判断できます。

次にコストです。

CV(コスト差異)=EV-AC
現時点までに投入されたコストと計画時にこの時点までで投入予定だったコストの差で、予算に対するコストの状況を見ます。
CVがマイナスになれば、予算を超過しているということになります。

CPI(コスト効率指数)=EV÷AC
CVを指数でみるとこちらになります。CPIが1以下であると予算超過していると判断できます。

他の予測値などを見てみます。

ETC(残作業コスト予測)=(BAC-EV)÷CPI
現時点でまだ終わっていない今後の作業に対する金銭的に置き換えたコストになります。

EAC(完成時総コスト見積り)=BAC÷CPI
現時点までの作業ペースのままでいくと、完了時にどのくらいのコストになりそうかを予測します。

VAC(完了時のコスト差異)=BAC-EAC
VACがプラスであれば、当初の予算内に収まっていると判断できます。

こうして見ていくと、アルファベットの略称ばかりでわかりにくいですが、これらはEXCELなどでフォーマットを作成して関数を埋め込んでしまえば暗記している必要もないですし、自動計算できるようなプロジェクト管理ツールもたくさんあるので、なんとなく理解できていれば十分かと思います。

ただ、コストの超過などは、一度発生してしまうと取り返すことができませんので、常に監視し超過しそうな兆候を検知したら早めに対策を打つことを意識しましょう。

EVMを実際に活用されている方がいらっしゃれば、その有効性や作業的な負荷などを是非教えていただきたいです。

文章だけでわかりにくい内容になってしまいましたが、最後まで読んで頂き、ありがとうございました☆

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