プロテイン・BCAA・EAAの違いを薬剤師が解説!
「プロテインって体にいいんだっけ?」
「プロテインとアミノ酸って何が違うの?」
プロテインは栄養素の一つであるタンパク質のこと。
タンパク質を英語で表記するとProtein(プロテイン)ですが、日本ではタンパク質を含む栄養補助食品をタンパク質と呼ぶことが多いです。
健康維持のためにプロテイン摂取が重要との認識が浸透し、さまざまなカテゴリーや形態で商品が発売され、どんどん一般化しています。
プロテインと言えばアスリートやボディービルダーが飲むもの、そういうイメージは一昔前のこと。
今では、ダイエット目的やボディーメイクにも使用されます。
プロテインの2019年の市場は前年比19%増と好調に伸長しています。
またコロナ禍による、外出自粛に伴う運動不足と「コロナ太り」を実感する人も増加しているので、プロテイン置き換えは注目されているダイエット法です。
このようにプロテイン市場の拡大に伴い、「BCAA」「EAA」などアミノ酸サプリメントも多く出回るようになりました。
この記事ではプロテイン、BCAA、EAAの違いや特徴について解説していきます。
正しい知識で栄養素を摂ることで健康につなげましょう。
プロテイン・EAA・BCAAの共通点
プロテインとは栄養素の一つであるタンパク質を意味します。
このタンパク質を構成している材料となるのが20種類のα-アミノ酸です。
「EAA」とはこの20種類のアミノ酸のうち、必須アミノ酸9種類を配合したもの。
EAAを構成する9つの必須アミノ酸を以下に示します。
バリン
ロイシン
イソロイシン
フェニルアラニン
トリプトファン
ヒスチジン
リジン
トレオニン
メチオニン
「BCAA」は20種類のアミノ酸のうち、分岐鎖アミノ酸といわれる、必須アミノ酸を3種類配合したものです。
BCAAを構成する分岐鎖アミノ酸
バリン
ロイシン
イソロイシン
「プロテイン」、「EAA」、「BCAA」の共通点は、全てにアミノ酸が関与しているということです。
プロテインとはタンパク質
プロテインとはタンパク質のことです。
タンパク質は卵や魚、肉などの動物性タンパク質と、穀類、豆類などの植物性タンパク質に分けられます。
アミノ酸の栄養価を示すのに、アミノ酸価が用いられます。
動物性タンパク質はバランスよく必須アミノ酸を含み、植物性タンパク質よりアミノ酸価が高いです。
つまり、動物性タンパク質の方が栄養価が高いことが言えます。
一般的に販売されているプロテインは3種類あります
ホエイプロテイン
カゼインプロテイン
ソイプロテイン
ホエイプロテインとカゼインプロテインは動物性タンパク質に、ソイプロテインは植物性タンパク質に分類されます。
それぞれの特徴をみていきましょう。
ホエイプロテイン
ホエイプロテインは、牛乳から作られる動物性タンパク質です。
水に溶けやすいため、吸収の速さが特徴です。
さらに、筋肉合成に関与するロイシンが多く含まれているため、筋肉をつけたい方におすすめです。
カゼインプロテイン
カゼインプロテインはホエイプロテインと同様に、牛乳から作られる動物性タンパク質です。
ホエイプロテインよりも、吸収が緩やかなことが特徴です。
腹持ちがいいため、ダイエット中の方や就寝前の服用がおすすめです。
ソイプロテイン
ソイプロテインは大豆から作られる植物性タンパク質です。
吸収は緩やかで、カゼインプロテインと同様に腹持ちがいいという特徴があります。
さらに、大豆イソフラボンによるエストロゲン様作用も期待できるため、ダイエットをしながら肌を綺麗にしたい方におすすめです。
必須アミノ酸を含むEAAとBCAAとは
次にEAAとBCAAについて、みていきましょう。
両方とも必須アミノ酸を含みます。
必須アミノ酸とは
アミノ酸は全部で20種類ありますが、必須アミノ酸とはそのうちの9種類のことです。
名前の通り、身体にとって必須の栄養素。
しかし、必要量を体内で作ることができないため、食品等の外部から摂取しなければならないアミノ酸です。
EAAについて
EAAとは必須アミノ酸のことです。
バリン
ロイシン
イソロイシン
フェニルアラニン
トリプトファン
ヒスチジン
リジン
トレオニン
メチオニン
必須アミノ酸はEssential Amino Acidと英語で記載するので、頭文字をとってEAAと呼ばれています。
必須アミノ酸バランスの量でタンパク質の質が決まります。
必須アミノ酸が1種類でも不足すると、その不足したアミノ酸の量以上はタンパク質をつくることができません。
タンパクの質を評価する指標を「アミノ酸スコア」と呼びます。[1]
「アミノ酸スコア」は理想のアミノ酸の組み合わせに対し、それぞれの食品の必須アミノ酸がどのくらい入っているかを表したものです。
100に近い数値であるほど理想的です。
一般的にタンパク源となる肉魚、卵、大豆、乳類はアミノ酸スコアが良好。
多様な食品をバランスよく食べることが大切で主食、主菜、副菜の揃った献立を基本にすることが重要になります。
食事で補うのが難しいときは、サプリメントを利用するのも方法の一つですね。
BCAAについて
BCAAは9種類の必須アミノ酸のうち以下の3種類のことを言います。
「ロイシン」
「バリン」
「イソロイシン」
3種類のアミノ酸は、分岐鎖アミノ酸と呼ばれています。
英語で記載するとBranched Chain Amino Acidなので、頭文字をとってBCAAです。
BCAAは筋肉合成に重要なアミノ酸が含まれているため、注目されています。
BCAAを摂ることで、筋肉痛や疲労感の軽減に効果があるのかということについて調べた結果があります。[2]
結論として「BCAAを継続的に摂取することで疲労感、筋肉痛も軽減できる」というものでした。
激しい運動が繰り返し行われるような場面でのBCAAの補給は、より質の高いトレーニングを行うために役に立つと考えられます。
プロテイン摂取における注意点
プロテインは筋トレや疲労回復などに重要な栄養素です。
しかし、服用による注意点もあります。
ホエイプロテインやカゼインプロテインで腹痛や下痢を引き起こしてしまう場合は、乳糖不耐症の可能性もあるためプロテインの種類を変えてみましょう。
また、アミノ酸である「BCAA」や「EAA」はプロテインのように消化の必要性がないため、一度に大量摂取すると下痢が現れる場合があります。
そのような場合はゆっくりと少量ずつ飲んでみてください。
プロテインを飲んで疲労回復
プロテインと必須アミノ酸であるEAA、BCAAについて解説しました。
プロテインはタンパク質のことで、アミノ酸からできています。
三大栄養素の一つで体の調子を整えたり、筋肉をつけたりと、疲労回復にとって欠かせない栄養素です。
またEAAは20種類あるアミノ酸の中でも必須アミノ酸のことを、BCAAは必須アミノ酸の中でも分岐鎖アミノ酸のことを指します。
必須アミノ酸は、体内で作ることが難しく食事やサプリメントによる摂取が必要です。
用途に合わせて、それぞれの「プロテイン」や「EAA」もしくは「BCAA」を組み合わせて飲むとより効果的です。
正しい知識でプロテインを接種して、疲労回復につなげましょう。
【参照】
[1]アミノ酸スコア