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パーパスこそが、『エクセレント・カンパニー』を生み出す

世の中に存在する「エクセレント・カンパニー」。
いわゆる優良企業のさらに上、「超」優良な会社を指す言葉です。
本記事では、ベストセラーになった名著『エクセレント・カンパニー 超優良企業の条件』を紐解きながら、「超優良企業」になるための条件を考えます。
偉大な企業の共通点は、「パーパス」にありました。

トム・ピーターズが提唱した「セクシープロジェクト」


20年以上前まだ学生だったプラスディー代表の白井は、ある本に感銘を受けました。
その本とは、トム・ピーターズの『セクシープロジェクトで差をつけろ!』。コンサルティングファーム・マッキンゼーでコンサルタントとして活躍をしていたピーターズが、ビジネスの最前線で体験したことを記した本です。

本書で語られる「セクシープロジェクト(Sプロジェクト)」とは、「4つのS」で構成される魅力的なプロジェクトのこと。
彼曰く、Speed / Straight / Secret / Soul の4つが、仕事をセクシーにするのだと言います。

Speed。
言葉通り、瞬時に行動を起こすスピード感。ゆっくりとプランを考えながら、などと自身に猶予を与えてはいけない、を「実行しながら、修正する」スタンスが必要。

Straight。
メディア(今、全盛のネットメディアは特に)は便利な一方で、そこに集まる情報のほとんどは、誰もがすでに知っている二次情報(間接的な情報)ばかり。だからこそ、自分だけが知りえる「直接的な情報」を持つことで、他のプロジェクトに差をつけられる。

Secret。
オープンマインドでいることは大事だが、すべてを明らかにすべきかというと、必ずしもそうではない。一片の「秘密」を持ち合わせながらプロジェクトを進めることで、周囲からの期待感やチームのワクワク感が醸成できる。

Soul。
ロジカルさは物事を整理することには役立つものの、飛躍的な成果や、常識を越えるものを生み出す力はない。Logic(頭)ではなく、Soul(魂)を込めてやる必要がある。パッションにも近い要素で、こうしたエモーショナルな要素を取り込むことで、プロジェクトへのモチベーションが高まる。

若き日の白井は、この本に大きな影響を受けました。

企業は「プロジェクト」の集合体


トム・ピーターズは、本記事のタイトルにあるエクセレント・カンパニーに関する本も書いています。『エクセレント・カンパニー 超優良企業の条件』は、超優良企業の条件を「8つのポイント」にまとめています。前述の「4つのS」といい、数字でまとめる手法はマッキンゼー流なのかもしれません。8つを引用します。

1:行動の重視
2:顧客に密着する
3:自主性と企業家精神
4:ひとを通じての生産性向上
5:価値観に基づく実践
6:基軸から離れない
7:単純な組織、小さな会社
8:厳しさと緩やかさの両面を同時に持つ

これらを見てみると、先ほどのプロジェクトにおける「4つのS」の要素が多分に含まれているのがわかります。
「行動の重視」は、正にSpeedを指しています。
「自主性と企業家精神」については、Soulが密接に紐づいていますし、「単純な組織、小さな会社」というのは、言い換えれば、魅力的なプロジェクトそのものと捉えてもいいと思います。

つまり、魅力的なプロジェクトを行っていることはエクセレント・カンパニーであるための必要条件ということが分かります。
セクシープロジェクトで差を付けたからこそ、超優良企業になれると考えれば当たり前なのかもしれません。
では、そのようなエクセレント・カンパニーはどうやって生まれていくのでしょうか。


パーパスに忠実な組織/企業は成長を遂げていく


エクセレント・カンパニーの「8つのポイント」を生み出す原動力は何なのか。
それは間違いなく、会社のパーパス、存在意義です。
パーパスが確固たるものとして組織に浸透しているからこそ、社員たちは迷いなく行動でき、顧客と堂々と向き合うことができ、自主性が生まれ、生産性が高まります。全員が価値観を共有し、ブレることなく、大企業病に陥らず、強い推進力と柔軟性を併せ持つことができます。

例えば、アメリカのアウトドアメーカーのパタゴニアはエクセレント・カンパニーの代表例として知られます。彼らは「8つのポイント」を満たしていると共に、強度の高いブランド・パーパスを掲げています。

We are in business to save our home planet. Use business to inspire and implement solutions to the environmental crisis.
私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む。ビジネスを手段として、環境危機へのより良い解決策を実行していく。

発表する製品やコンシューマーとのコミュニケーション、そして企業活動自体が、このパーパスを起点として行われています。
その結果、社員も顧客も、この言葉に共感する人々が集まっています。
個人、組織、会社が立ち返る基軸となるパーパスがあることで、エクセレント・カンパニーたる「8つのポイント」を、自然発生的に満たす状態が続いていくのだと考えます。

また、日本を代表するエクセレント・カンパニーである「SONY」は以下のようなパーパスを掲げています。

クリエイティビティとテクノロジーの力で、
世界を感動で満たす。

プラスディーは、SONYさんのR&D部門とお仕事をしていますが、そのなかで社員のみなさんの言動や会社としての意思決定に、このパーパスの片鱗を感じる瞬間が度々あります。
パーパスに沿った思想や思考、そして行動こそが、全世界で影響力を持つエクセレントカンパニーに成長された要因なのでしょう。


会社も「法人」である、という前提条件に立ち返る


ここまで、魅力的なあるプロジェクトの特徴や、エクセレント・カンパニーであるためのポイント、原動力となる会社のパーパスについて触れてきました。
ただ、これらについて語る前に、まず目を向けるべきは「人」です。
会社やプロジェクトはあくまで集合体でしかなく、分解すると一人の人間に行き着くからです。

会社が掲げる「パーパス」だけが優れていても、エクセレント・カンパニーになるには不十分です。
大事なのは、会社を構成するひとりひとりが掲げる「パーパス」と重なる部分があるかどうか。この重なりの広さ、深度によって、その会社がエクセレント・カンパニーへと成長を遂げていけるのかどうかが決まるのではないでしょうか。

会社は株式会社や合同会社など様々な形態はあるものの、すべて「法人」としてくくることができます。
「法の下の人」と表現できることから、会社も「人」であって、血の通った生きもの。
30年以上前のベストセラー『エクセレント・カンパニー 超優良企業の条件』を読み解いていくと、無機質な「会社」とだけ捉えずに、会社も「人」であるという視点に立って、パーパスの重要性(会社も個人も)を再認識することができるのではないでしょうか。


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