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降格の危機!?Bクラブの当期純利益5期間推移&純資産ランキングを出してみた!

1.はじめに

 皆さんこんにちは、+Bです。
 いやー連日盛り上がってますねBリーグっ!!本当に毎節日本のどこかで必ずクラブ記録更新の入場者数出てませんか?笑
 そんな盛り上がっているBリーグですが、今回のテーマは「当期純利益」と「純資産」です。

「普段試合しか見ないし、クラブの決算なんてどうでもいいんだよなーーー・・・」

 いやいや、そんなあなたに読んでほしい!実は、試合に勝っていても下部リーグに降格してしまうことがあるかもしれないんです!というか過去に実際にあったんです!今回の記事では、知られざるBリーグクラブライセンスの内容から、特に利益基準と純資産基準の二つを解説させて頂きます!!

 今回も、最後までお読みいただき、スキを押して頂けると大変うれしいです!!

2.23-24ライセンス判定結果について

 Bリーグはライセンス制度を敷いていて、毎年3.4月に2回に分けて判定結果が公表されます。大体のクラブは1回目で終わるのですが、1回目の審査で継続審議になったクラブのみ、4月の2回目に進むという感じです。ちなみに23-24シーズンの判定結果はこちら。B1ではA東京、三遠、新潟、富山の4クラブが継続審議中です。

 そして、気になる2回目の判定結果ですが、こちらのバスケットボールキングさんの記事によると4/11(火)の理事会に合わせて同日に発表される可能性が高そうです。ちょうどこの記事は4/9(日)の午前中に書いており、ライセンス判定結果の発表に合わせて少しでもライセンスの理解の一助になれれば!と思い立って執筆している次第です。

 さあ、そんなクラブライセンスなのですが、詳細はこちらのページに記載されております。ただ、項目も多くて長くて読むのが大変!と感じる方が多いかと思います。

 ざっくり5つの項目がありその中の代表例はこんな感じなのですが・・・

  • ①競技基準(契約ちゃんと書面で結ぶ、ユースチーム作る)

  • ②施設基準(B1はメインで24試合、B2はメインで18試合やる)

  • ③人事体制・組織運営基準(会社としてちゃんと組織作る)

  • ④法務基準(法令をちゃんと守る)

  • ⑤財務基準(ちゃんと稼いで資金繰りを安定させる)

 今回の1回目の判定結果発表で継続審議となった9クラブの内、実に8クラブが財務基準の確からしさを理由に継続審議とされている点や(A東京のみ施設基準)、やはり私の副業でもある会計士としての知見も含め、⑤財務基準について今回の記事でメインで取り扱わせて頂きたいと思います!!

3.財務基準とは・・・

 財務基準は10個の要素で構成されています。一つずつ見ていきましょう。

①利益基準

 概要:3期連続で赤字になってはいけない

 そもそも赤字って何でしょう?バスケクラブの代表的な取引を例示して以下に示してみました!分かりにくいかな(-_-;)

売上(ex.チケット代、スポンサー協賛金)
△売上原価(ex.選手人件費、遠征費用)
△販売費及び一般管理費(ex.営業、広報スタッフの給料)
+営業外収益(ex.預金の受取利息)
△営業外費用(ex.借入金の支払利息)
+特別利益(ex.営業車両の売却益)
△特別損失(ex.営業車両の売却損)
△税金(ex.法人税)
=当期純損益(プラスなら黒字、マイナスなら赤字)

 何となくイメージ湧いたでしょうか…?(笑)
 ざっくり分かれば大丈夫だと思います。それでは続いて、Bクラブの過去実績を見てみたいと思います。

当期純損益5期間推移

 2期連続が川崎、東京Z、愛媛です。川崎は意外ですよね。でもブースターの皆さん、ご安心ください。クラブがHPで単年の黒字化に向けた計画をしっかり公表してくれていて、実際にその目途が立ちそうな状況にあります。

 ちなみに、2019-20および2020-21の2期間は新型コロナウイルスの影響の特例で赤字の場合はカウントせず、黒字の場合のみカウントするという特例措置が設けられています。

②純資産基準

 概要:純資産がマイナスになってはならない

 またもや簿記が嫌いになりそうな専門用語が出てきました。まずは純資産とは何かを確認してみましょう。

 純資産=総資産ー総負債

 いやいや、まだ分かりませんて・・・。ごめんなさい、メチャメチャシンプルな状況を考えてみましょう。例えば、私の預金残高が30万円(総資産)で、今月のカードの支払で20万円が引き落とされる(総負債)としましょう。この場合、総資産が30万円、総負債が20万円ですので、差し引くと私の純資産は10万円という事になります(Bリーグ観戦の遠征ばかりしているためにギリギリの生活ですね…)。
 さて、純資産の概念がざっくりお分かりいただけたところで、Bクラブの純資産の状況を見てみましょう。
 ※なお、純資産がマイナスになることを債務超過と言います。ライセンスの原文では債務超過という言葉が使用されておりますので念のため。

Bクラブ 純資産ランキング

 結果は何と22位から36位まで15クラブが債務超過!なかなか厳しい状況ですが、23-24シーズンのB1ライセンス交付を受けるには22-23シーズン決算での債務超過解消は絶対条件です(B2ライセンスは引き続きコロナ特例継続)
 特に新潟は決算概要の注書きで2022/6末時点で4.3億まで債務超過が膨れ上がっていることが明らかにされています。債務超過を解消するには、当期純利益の計上、もしくは増資のどちらかの方法によるのですが、当期純利益だけで4.3億を計上することは、①の利益基準で示したようにBクラブの過去推移から鑑みるとかなり厳しいと言えます。したがって、債務超過解消には増資を受ける他にないかと思いますが、朗報も先日ありました。それは、4/1に発表された三幸製菓とのパートナー契約締結です。三幸製菓は非上場企業なので売上の規模感がどの程度かは詳細把握しかねるのですが、雪の宿をはじめ全国的に知られる商品を多数取り扱う会社なので、アルビレックスBBの債務超過解消の有効な打開策となるか、4/11のライセンス判定結果発表が注目されます。

③売上高基準

概要:B1は3億、B2は1億以上売上を計上しなければならない

 こちらについては、以下の通り全てのクラブ順調に推移しておりあまり問題となることはありません。

売上ランキング

④資金繰り基準

概要:資金繰りを安定させなければならない

 こちらは定性的な基準なので、なかなか分析が難しい所です。簡単な分析指標に、流動比率というものがありますのでそちらを利用してみます。決算概要には流動資産と流動負債というものが開示されるのですが、これは概ね1年以内に現金や預金に変わる資産や負債、というものです。

・流動資産⇒1年以内に現金や預金に変わる金額
・流動負債⇒1年以内に支払わなければならない金額

 なので、1年以内に支払わなければならない流動負債の金額を、1年以内に現金や預金に変わる金額である流動資産の金額が下回っていたら危ないよね、というのが流動比率の概念です。例えば大学生であれば、預金残高5万円で今月入るバイト代が5万円、だけれども先月飲み会に行き過ぎてカードの引き落としが12万円だと、資金ショートして親御さんの支援を頼る必要がありますよね。
 なお、流動比率=流動資産/流動負債で計算されますので、100%を超えていることが安全とされる一つの目安になります。それでは分析結果がこちら。

流動比率ランキング

 1位は秋田ノーザンハピネッツ!何と503.8%という安全ぶり。ただ、流動比率は高ければ高いほど資金繰りの安全性は示されますが、逆に言うと投資に回せる余剰資金が多いということも言えますので、もっとキャッシュアウトを多くしてリスクを取るべき(かもしれない)ということも言えます。
 京都が24.7%で最下位ではありますが、2022/3に経営体制も変わっていますのであまり心配ない気がしています。逆に1回目のライセンス判定結果で財務基準の確からしさを指摘された新潟が25.0%、三遠が41.5%という点については、この分析の結果がライセンス判定結果とも関係するという点が一定程度示されたのかもしれません(キラーン)

⑤監査基準

 概要:監査受けろオリャーーーー

 ごめん、これだけはずーーっと物申したい基準。
 いや、監査受けてほしいですよ?やっぱり限られたリソースで経理をやってらっしゃるクラブが大半だと思いますので、しっかり見てもらって間違いは正し、経営に対しても建設的なアドバイス貰えるならそれが良いと思います。私が気にしているのはこちら。

ただし、B1申請者が連結子会社であり、親会社が監査法人または公認会計士による監査を受けている場合には、本基準は充足しているものとする。

規約 | B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイト (bleague.jp)

 何を気にしているかという事を説明する前に、会計とか監査という世界における重要な概念、”重要性”というものを説明します。誤解を恐れずに言えば、この世の会社の決算数値というのはすべて間違っています。このBクラブの決算概要だってそうだし、世の上場企業の決算数値だって全部そう。でもそれでいいんです。なぜなら、重要ではないから
 例えばですが、トヨタ自動車の売上というのは2021年3月期は27兆円と公表されています。

 仮にですが、トヨタの売上が27兆円ピッタリだった時と、27兆100万円だった時で、トヨタの株価や、銀行からの格付けに影響がありそうでしょうか…?

27,000,000,000,000円
27,000,001,000,000円

27,000,000百万円
27,000,001百万円

 パッと見たら違いが分からないくらいです。そうです、そのぐらい些細な違いなんです。しかも、年間30兆円売り上げる会社の監査において、100万円規模の取引まで厳密に間違いを探しにいかなければならないとしたらどうなるでしょう…?
 多分、監査が100万年続きます。若しくは、この世の全人類のリソースを結集して監査を行うかでしょうか。それって、合理的ではないですよね。
 なので、経理業務でも監査業務でも、投資家や銀行等のステークホルダーの皆さんの投資や融資の意思決定に影響を与えないと認められる合理的な範囲内で重要性を決め、重要ではないと認められる取引はある程度の間違いも許容することが通常です。
 ・・・ということで話を戻しましょう。なぜ私が連結上、親会社が監査を受けていれば子会社も監査を受けたことになる、という規定があまりよろしくないと思っているか。それは、親会社の経営規模により連結上の重要性がまるで異なるから、です。 
 例えばですが、前述の通りトヨタの直近の売上は27兆です。それに対し、例えばアルティーリ千葉の親会社であるアトラエの売上は22/9期で65億です。

 Bクラブの22-23決算の平均売上は8.3億円。試しにこれをトヨタとアトラエの売上で割ってみましょう。結果はこちら。

トヨタ:0.003%
アトラエ:12.769%

 つまり、Bクラブの決算を連結上取り込むという事は、トヨタにとっては重要性皆無、アトラエにとっては非常に重要、という事になります。したがって、監査上はトヨタの子会社はほぼ見られない、アトラエの子会社は細かく突っ込まれる、こういう事象が発生します。特定のクラブだけが実質的な監査の対象となっている状況が存在しているのではないかと、個人的に危惧しています。
 同じプライム上場企業でどちらも大企業だからいいじゃないか、ということではなく、監査上の重要性はこのように連結上の売上や当期純利益等のKPIの割合で判定されます。
 これ以上はやめますが、新B1基準の中で売上や入場者数、アリーナについては色々な議論が交わされる中、他の基準については全く話題に上がらないのでこちらで記述させて頂きました。みんなの意見も聞かせてね(^^♪

⑥報告内容の修正義務

概要:決算数値が変わったら報告してね♪

 以上。

⑦期限経過未払金の皆無

概要:支払うべきお金はみんなもちゃんと払おう♪

 以上。

⑧ライセンス交付の決定に先立つ損益見込み、申請期日以降に実行 される(予定を含む)資本政策

概要:見込みの管理を徹底しよう!

 こういう情報メッチャ興味深いけど絶対に表に出ることはない( ノД`)シクシク…

⑨損益見込みおよび翌事業年度の予算の提出

概要:予算出来たらリーグに出してね!

 以上。

⑩クラブ間の金銭貸借の禁止

概要:クラブ間でお金の貸し借りはダメ!ゼッタイ!

 そりゃそやろ。

4.まとめ

 はじめて5,000字超えた。疲れた。。。

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