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クレームは宝の山-2 〜「心の声」に耳を傾ける

皆さんは、「グッドマンの法則」をご存知でしょうか。

グッドマンの法則とは、顧客のクレーム(苦情)と再購買行動には相関関係があることを示した法則です。

アメリカにおける消費者苦情処理調査を担当していたTARP社代表のジョン・グッドマン氏の名前が由来となっています。

TARP社が取りまとめたデータから、顧客ロイヤルティ協会を設立された佐藤知恭氏が法則性を発見し、分析されました。

第一から第三法則までありますが、以下の「第一法則」について、文章をお借りし共有させて頂きます。

「不満を持った顧客のうち、苦情を申し立て、その解決に満足した顧客の当該商品サービスの再購入決定率は、不満を持ちながら苦情を申し立てない顧客のそれに比べて高い」

顧客ロイヤルティ協会様・ホームページより
https://www.customer-loyalty.jp/goodman

上記の法則によると、「苦情を申し立てた顧客」のリピート率は、「不満を持ちながらも苦情を申し立てない顧客」より高いとのことです。

つまり、「苦情を申し立てた顧客」のフォローは当然ですが、「不満を持ちながらも苦情を申し立てない顧客」のフォローが、マーケティング上、重要であるということです。

それでは、どうすれば「不満を持ちながらも苦情を申し立てない顧客」のフォローができるでしょうか。

いくつかポイントが存在するかと思いますが、その一つについて考えを述べさせて頂きます。

それは、顧客の「心の声」にも耳を傾けるということです。

とある飲食店Aの事例を挙げます。

「トイレの場所が多少分かりづらく、お客様が迷われている様子をよく見かける。」

これは、飲食店Aでのお客様の行動の傾向から、お客様の「心の声」を推測したものです。

つまり、お客様の「心の声」とは、お客様の声として現れないないニーズ(潜在的なニーズ)です。

お客様のニーズには、以下の2種類が存在します。

  1. 顕在的なニーズ(声として現れる)

  2. 潜在的なニーズ(声として現れない=心の声)

上記のイラストを見てください。

このイラストのように、「お客様の声」として現れるニーズは、氷山に例えるなら、全体のほんの一部に過ぎません。

お客様のニーズの多くは心の内に秘められており、言葉として発されない為、私たちはお客様のニーズの全てを知ることができません。

日本人に限って言えば、「全てを語らない」「空気を読む」といった特性も前提としてあるとは思います。

一般的に、お店に対してのニーズがあっても声にしないお客様の心理状況として、以下のようなものが挙げられます。

例えば、店舗の商品やサービスについて、何か気になる点があったとしても、、、

・声に出して言うほどのことでもない。
・自分の顔が割れてまで、伝えることではない。
・自分が指摘したことがお店に知れたら、次から行きづらい。
・(メールや電話の場合)自分の名前や電話番号、メールアドレスを明かしてまで伝えるほどではない。

このような考えから、お客様が感じているニーズは、心の内に秘められる潜在的なものが多く、声として現れないケースの方が圧倒的に多いのです。

普段、皆さんが投稿して頂いているような「お客様の声」やクレーム等は、お客様のニーズの内のごく一部です。

実際に、声として現れる「お客様の声」には、声にしてでもお店に伝えたいという強いメッセージが多く含まれています。

お客様の「心の声」を感じ取るには、どうすれば良いか。

それは、「お客様をよく観察すること」です。

お客様の表情や動作だけではなく、お客様が見ているものにも観察する(気を配る)と、お客様が心の中で考えていること(=「心の声」)を推測しやすくなります。

前述の例に戻ると、「トイレの場所が分かりづらく、お客様が迷われている様子をよく見かける。」

これは、飲食店Aのあるスタッフが、お客様の行動の傾向を観察していて、「心の声」を推測したものでしたね。

お客様をよく観察しておけば、お客様がキョロキョロと周囲を見渡している様子をすぐに捉えることができます。

「どちらかお探しですか?」などとすぐに声をかけて、お困りごとを即座に解決して差し上げることができます。

このように、お客様の「心の声」へのアプローチが、「不満を持ちながらも苦情を申し立てない顧客」のフォローへとつながるのです。

株式会社JEAN
河上 朗

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