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48.サスペンスとは緊張状態を引っ張ること。サントラ「サスペリア」(1977)に代表されるイタリアのプログレバンド「ゴブリン」の魅力!

今回お薦めするCDはこちら。イタリアのプログレバンド「ゴブリン」の名曲を集めたコンピCD『Goblin:The ultimate collection」です。

この「ゴブリン」というバンド、映画ファンにとっては『サスペリア』(1977年版)に代表されるダリオ・アルジェント監督の作品の音楽を多く担当しているバンドとして認知されているでしょう。ダリオ・アルジェント監督と言えば「ジャッロ」(直訳すれば「黄色」)というジャンルの名監督ですが、イタリアで「ジャッロ」と言えば、いわゆるエログロも含んだ、ホラー、ミステリー要素のあるジャンルのことを指します。そしてそのダリオ・アルジェント監督が、ここぞというときに音楽を頼むのがこの「ゴブリン」というバンドです。傑作「サスペリア」はもちろん、実は続編でも何でもない(実際には「サスペリア」以前に撮られていた)「サスペリアPart2」でもそうです(ちなみに「サスペリアPart2」はヒッチコックの流れを受けたサスペンスの傑作でもあります)。

まあ、このバンド、まさに「ジャッロ」という概念を体現していると言っていいでしょう。「ジャッロ」とは基本的にサスペンスですが、それ以上の不気味さと言うか怪しさを含んでいるジャンルです。日本で言うと江戸川乱歩とか横溝正史でしょうか。それらの小説が黄色い表紙をしていたことが多かったため「ジャッロ(黄色)」と呼ばれていたようですが、このバンドが奏でるサウンドも「プログレ」=高度な技術であると同時に、ある種の不穏さを備えています。

年代的には70年代と言うこともあり、今聞くと、特にシンセのサウンドは軽いというか重みがないのですが、しかし、それでも、というかそれだからこそ何とも言えない魅力がそこにはあります。そう、このバンドの音楽は決してポップではないのです。そしてそれ故に「不穏」なのです。音楽というものは基本的にある種の平穏を目指すものでしょう。しかし、このゴブリンは違います。「サスペンス」というジャンルがそうであるように、平穏の方向にはいかず、緊張感=不穏感を引っ張るのです。そして、これも「サスペンス」と言うジャンルがそうであるように、それが魅力であり、心地いいのです。

まあ、こればかりは口で説明するよりもとにかく聞いてもらうしかないでしょう。その意味でもこの2枚組のアルバム(というかいわゆる企画盤?)はお薦めです。ボリューム=曲数も多く、大変お得です! 1枚目がダリオ・アルジェント監督と組んだ作品集となっていて、2枚目はそれ以外の作品集となっています。特に映画音楽を意識していない(しているのもあるが)2枚目はまさに2枚目(ハンサム)でこれぞプログレという感じで超かっこいいです!是非お聴きください!


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