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8.ジャズの皮をまとったシティポップ(あるいはその逆):笠井紀美子with Herbie Hancock『BUTTERFLY』
前回のドライブソング、シティポップつながりで言うと、これも名盤です。
日本を代表するジャズシンガー笠井紀美子氏がなんとあのハービー・ハンコックとコラボして作り上げたアルバム『BUTTERFLY』です。
一応、扱いとしてはジャズなのでしょうが、これをシティポップと言ってしまってもいいでしょう。しかもそれをあのハービーがやっている!というかハービーはマイルス門下生の中でも唯一師匠を超えたと言ってもいい存在ですし、ジャンルを平気で超えるという点でも師匠を超えています。マイルスはポップにあこがれていたが、決してポップに行くことはなかった(というか行けなかった?)。でも、ハービーはその垣根をさらりと超えてしまいます。
そしてこの笠井紀美子氏、今は歌手を引退してアメリカ暮らしのようですが、ポップスを歌わせても間違いなくヒットしていたでしょう。でも、ハービーとは逆に私は「ジャズシンガーよ」というところにこだわったのでしょう。そこに敬意を表します。事実このアルバムに収録されている中盤の2曲「Maiden Voyage」と「Harvest Time」はまさにジャズソングです。
とその二人が奇跡的に(とうかそうなるべきして)つながって生まれたのがこのアルバムです。笠井さんの歌声とハービーのエレピとピアノの旋律にしびれること間違いなしです。ジャズでありポップである(あるいはその逆)、すなわち音楽の魅力、歌の魅力がぎゅっと詰まっているアルバムです。