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5.そのころ日本では、「フード・ブレイン」による名作『晩餐』(1970年)
前回、前々回と1970年前後のマイルスの名盤を紹介してきましたが、日本も負けていません。60年代のいわゆるGS(グループサウンズ)ブームが終わった後、実力派と呼ばれる人たちがあつまりプログレッシブロックへの道を切り開いていきます。その中のおひとりとして細野晴臣さんと「エイプリルフール」を結成したこともある柳田ヒロさんが挙げられます。このアルバム『晩餐』はその柳田さんがGS実力者の残党(残党といういい方は失礼ですが)であるギターの陳伸輝さん、ベースの加部正義さん、そしてドラムスにはあのつのだ☆ひろさんを迎えて結成したバンド「フード・ブレイン」によるアルバムです。おそらく商業的には当時はヒットせず、本人たちも本格的なバンド結成というよりは集まってのセッション的なノリだったのでしょうが、時を経て今、再評価されている名盤です。
音楽的には、同時代のマイルスにも負けていません。とにかくかっこいい!もちろん技術的な問題で音圧的にというか、音の深さではいわゆる当時の洋盤には負けますが、しかし、今の時代はDTMソフトなどを使い、音を深く、強くして聞くことができますし、そのような聞き方がお薦めですし、それが本来の音に近い音でしょう。
とにかく大きい音、いい音で聞いてもらいたい。この時代にこの音楽がやれていたこと、そのすごさに改めて驚かされるとともに、いわゆるGSが単なるアイドルではなかったことにも改めて気づかされます。GSはまさにグループ=バンドによるサウンドを日本にもたらしたわけです。
ということで是非聞いてみてください。お薦めです。