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追悼 セルジオ・メンデス! 『Timeless』is ageless!

かのブラジリアンジャズの元祖にして巨匠、セリジオ・メンデス氏が享年83歳にして亡くなられた。氏の功績はこれから多くのメディアで語られるであろうから、ここでは敢えて述べないが、代わりに氏のアルバムとしては「オリジナル版」というよりは「アレンジ版」と捉えられることも多いが、しかし実はアレンジャーでありバンドマスターの彼だからこその「オリジナル」であり、傑作のアルバムである『Timeless』をここで紹介することで氏を追悼したい。

このアルバム、かの will.i.amをプロデューサーに迎え、セルジオ・メンデス氏自身が自身の名曲をいわゆる「今の音」に仕上げたものだが、当然ながら、元がいいのだからいくらアレンジしても素晴らしい!いわゆる「クラブジャズ」というのが当時はやっており、それを強く意識したものだろうが、もともと、「ジャズ」というのは踊る音楽だった(日本の歌謡曲にそれを取り入れたのがかの服部良一氏である)。それがその後アメリカではビバップ、ハードビバップ、モードジャス(クールジャズ)、スピリチュアルジャズ、フリージャズといった流れで、踊る音楽から聴く音楽へと変化(進化)していったのだが、そこに「やっぱりリズムだよね」「踊れてなんぼだよね」として出てきたのが、セルジオ・メンデスに代表されるブラジリアン・ジャズであった。代表作『Mas Que Nada』はもちろんだが、そのリズムを聴いて踊りださないものはいないだろう(氏の「My favorit things」とジョン・コルトレーンの「Myfavarite thigs」を聞き比べてもらえれば一目瞭然である)。そして時代は回り、また再びジャズは踊れる音楽としてクラブシーンに戻ってきたのである。そしてこのアルバム『Timeless』はまさに時代を超えてどの世代でも踊れる音が収録されている。その意味では『Timeless』というよりも『Ageless』と言った方がいいであろう。ここで言う「age」には「年代」という意味と「世代」という意味が含まれている(と個人的には解釈している)。確かにこの時点(2006年発売)でセリジオ・メンデスはもう若いとは言えなかった。しかし、それでも氏が作り出す音楽は若々しく踊れるのである。そしてその音楽は今や(というか発売当初から)世代を超えて愛されるものでった。まさに「Timeless」であり「ageless」である。そしてそれは「Timeless」であり「ageless」であるが故に氏の没後も我々を踊らせてくれるものとなっている。


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