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9mmがステージで暴れる理由3つ

皆さんは、9mm Parabellum Bullet(以下9mm)のライブパフォーマンスを見たことありますか。ブリはたくさんの9mmのライブ映像を持っています。初めて9mmを見た時、他のバンドよりハチャメチャに暴れる様子が印象に残りました。特に、ギタリストの滝善充と、ベーシストの中村和彦の暴れっぷりが強烈です。滝はギターを回したり、和彦はベースを置いて、走り回ったり、若き9mmは演奏放棄がお決まりのパフォーマンスでした。演奏しない様子が、9mmだから許される行為だと、9mmファンから良い意味で愛されています。

ベースを弾かずにテンションが上がって、両手を上げる和彦の様子。

一方で、ボーカリストの菅原卓郎と、ドラマーのかみじょうちひろは暴れません。卓郎は、歌いながら、ギターを弾くので、暴れるのは好きではないようです。時々、激しい演奏で足を広げて、ギターを弾く様子を見ます。ちひろは、ドラム演奏が必要なので当然動けませんが、ドラムスティックは回っています。
ブリは、9mmの暴れる様子を初めて見て、一体全体どうして体をはって、ここまで演奏するのか、非常に動揺しました。邦楽ロックをまだ理解できなかった当時のブリは、ロックとは暴れるものだとだいたい理解しました。

いろんな人たちから、9mmのパフォーマンスについて、以下のことを言われました。

「そんなに暴れて、何がしたいの」
「危ないのに、動物みたいにはしゃいで、ハラハラする」
「観客に何かさせたいの」

9mmに限らず、他のロックバンドも暴れることがあります。でも、9mmは常識の範囲内で、ステージで暴れています。いろんなツッコミから、今ごろになって、この話について、書こうと思いました。ロックバンドのステージは、ノリが激しいことが当たり前なので、暴れることについて、細かく考えたことがなかったです。
この記事では、初めて9mmを見る人、9mmをもっと知りたい人に向けて、9mmメンバーがステージで暴れる理由について、3つにまとめました。このバンドは、身体への危険行為、性的なしぐさ、物への破壊行為を一切しないので、ご安心ください。


★ロックバンドの衝動表現

9mmはロックバンドゆえに、演奏は常に熱いです。メンバーはジャンプしたり、走ったり、楽器を振り回すことをします。無理しない範囲で、安全に暴れています。ステージで暴れ始めるきっかけになったのは、滝の行動でした。滝は「何か違うことをしてみたいから」と言いました。滝につられて、和彦も暴れるようになりました。9mmが結成されたばかりの頃、観客がいない状況でも、暴れていました。
ちなみに滝は、暴れるなかで決して楽器を壊すことはしません。楽器を壊すことは絶対に行わない約束を守っています。ただそれでも、ギターには小さな傷や色あせがあります。滝はギターを壊さない約束について、こう語っていました。

『メーカーやクラフトマンの方が丹精込めて作り上げた機材を粗末にするのは、その人達に対しリスペクトが足りないということだ』

滝善充、音楽番組でのインタビューより
横浜アリーナでコーンを投げる滝。楽曲の盛り上がりで走り回った。
安全の範囲内で投げた。

楽器を壊したことはありませんが、滝はうっかりステージの床を壊したことがありました。暴れすぎた滝は、勢いあまって、骨折してしまったことがありました。今はほどほどに暴れています。9mmメンバーの暴れる姿が、楽曲の衝動を表現する手段なのです。楽曲からあふれる、邦楽ロック少年の勢い、孤独、強さを楽器を通して、体全体で表します。その表現により、日々のストレスを発散させるのです。音の振動で、体の本能を震わすのです。


★心燃える観客の共感

皆さんは、激しいロックを聞いてて、冷静に立っていられますか。きっと、我慢できない勢いがわいてくると思います。日々のストレス、怒り、本能、勢いをロックに乗せて、暴れたくなると思います。
9mmは観客に盛り上げを呼びかけますが、観客同士の体の接触、人ごみへのダイブ行為を誘うことは一切しません。9mmが参加したロックフェスでは、観客はじっとできずに、勝手にダイブ、観客同士で走り回る行為をしています。卓郎はその様子を見るたび、こう思いました。卓郎の素直な感想だったので載せます。

『(観客が走り回る)タイミングが、曲と合っていないな、と思って。自由すぎるタイミングなんですよ』

菅原卓郎、音楽番組でのトークより

9mmのワンマンライブでは、勝手にダイブしたり、走り回ることはできません。近年の感染症問題で、声出しを禁じられていましたが、現在は最低限の声出しができるようになりました。腕を上げたり、手拍子したり、ノリに乗って体が揺れます。
ブリは、ライブに行けない事情があります。ライブ映像を見て、部屋で暴れてしまいます。物を壊さないので、常識の範囲内でこっそり暴れています。観客は、メンバーの暴れる姿を見て、理性で抑えていた衝動がわいてきます。その衝動で楽曲とともにノリノリになり、暴れるメンバーに共感します。ロックバンドの前で、煮えたぎる感情を持たないわけがありません。でも、周りのマナーを守って、はしゃぎましょう。


★バンドとのコミュニケーション

推しロックバンドとともに、同じ熱を共有し合うのは、非常に楽しいです。9mmは観客に手拍子を求めたり、声出しをして、楽曲を盛り上げます。性的なしぐさ、観客への侮蔑的言動、物の投げつけは決してしません。常識の範囲内で暴れています。
特に和彦は、観客とジェスチャーを通して、ライブの感情を共有しようと行動しています。ベースを弾きながら、暴れ回る和彦の姿に驚かされた後、彼の視線と手が、観客へ向かいます。まるで「盛り上がっているか」と呼びかけるジェスチャーです。和彦は、観客とのやり取りを積極的に行います。

Zeppライブで観客に指をさす和彦。観客とのやり取りは欠かさない。

卓郎は、ライブを始める時に、おじぎをします。ライブのクライマックスが近づくと、観客にほのぼのとしたトークをした後、観客に向かって、「いけるか」と何回も呼びかけます。9mmのライブで定番の流れです。そして、最後は感謝をこめて、卓郎がおじぎをします。おじぎで演奏を始めて、おじぎで終わる、9mmのお決まりです。

横浜アリーナのライブで、感謝のおじきをする卓郎。観客への感謝を忘れない。

ステージの主役はバンドですが、観客とともに熱を共有することで、楽曲のノリと、バンドへの愛が上昇します。バンドは観客の満足な表情から、ファンからの応援が伝わります。観客とのコミュニケーションは、重要なのです。


以上、9mmがステージで暴れる理由でした。楽器演奏はもちろん、体全体で音楽を表現するような、暴れっぷりに驚かされます。邦楽ロック少年の勢いは、大人になっても変わりません。「もうライブで暴れる年齢じゃないから」、「邦楽ロックシャツは今の年齢じゃダサい」と、年齢で決めつけてはいけません。誰だって、ロックで暴れていきたいのです。9mmは自己満足で盛り上がるのではなく、観客にエネルギーを与えるために、体全体で奏でるのです。9mmのロックにこめたジャンプは、結成から19年経っても、変わりません。


ライブハウスのステージでジャンプする9mm。
写真左から和彦、卓郎、滝。
写真奥には、ドラムを叩くちひろ。

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