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失業対策に、大学等を無償化しては?

失業が増える不況期には、教育機関へ進学しやすくすることが、労働力の調整弁に、そして雇用流動性と生産性の向上につながるのでは、という話です。

コロナ不況で失業が増えていく

コロナによって大きな不況が到来するのではないかと言われています。

不況が到来すると、心配されるのは失業。
アメリカでは多くの失業者が出ていることがすでに報道されていますが、人手不足が叫ばれてきた日本でも、これからは人手が余る状況になるかもしれません。

解雇や、雇用契約の打ち切りなどで、これまでの職を失う人が出る一方で、新規求人は減り、応募する人は多くなります。
そして就活を控える大学生は、この不況期に仕事探しをせざるを得ません。
すべての人が職を得られるわけではなくなり、失業者が増える。

なら、いっそ、職を得られない人には、教育機関に身を置いてもらうことで、無理に求人に応募することを止めてもらい、そしてこの機会にスキルアップしてもらうのはどうでしょうか?

制度のイメージ

対象は、この不況で仕事を失った求職者や、就活をせざるを得なくなった学生ら。
そして、企業が解雇するまではいかないものの、仕事を十分に確保することができなくなったいわゆる社内失業者や、暇になってしまった社員です。

不況の始まりを見越して、彼らに職業訓練校や大学、大学院、専門学校などに通ってもらう、という考えです。
(コロナの感染が収束していない間はオンライン通学が主になると思われます。)

期待する効果:労働力の調整

通常、市場において需要が減っている場合は供給を減らすのが通常です。
しかし、仕事は生きていくために辞めることが難しい、つまり、労働力の供給は減りにくいと思われます。

教育機関に通ってもらうことで、卒業までの一定期間、市中から労働力を削減することができます。
これによって、不況時にだぶついた労働力の供給を減らすことが期待できます。

いわば、この不況という嵐を、教育機関でやり過ごし、時間をあけて外に出てもらうようなもの。
不況期突入直後よりも、卒業まである程度時間が立っている方が、嵐が収まっている可能性もあがるでしょう。

通学のために仕事を完全に辞めてもらわなくても、時短で勤務しながら教育機関に通ってもらえれば、市中の労働力は削減できます。
また、企業が「解雇を検討していたが、時短勤務になってくれるなら、(そして教育機関に通い、スキルアップして帰ってきてくれるなら、)解雇しなくても良いか」と考え、雇用の不安定化を避けることもできるかもしれません。

期待する効果:労働者のスキルアップ

日本は雇用流動性が低いと言われます。

別の企業、別の業界に行くためには、それまで労働者が培ってきたスキルや経歴だけでは不十分な場合もあり、それがネックとなって転職が難しくなることもあるでしょう。
不況期に教育機関に通ってもらうことで、必要なスキルや経歴を得てもらう効果が期待できます。
人手不足の業種や、より生産性の高い業種への転換を進めるため、ITセキュリティやIoT、AIなどの先端IT分野や、介護関連の教育機関へはより進学しやすくするといった、メリハリをつけても良いかもしれません。

転職を前提としない場合でも、この制度は有効です。
日本は他の先進国に比べ、専門スキルが低いとも言われます。
働きながら通学してもらうことで、業務で必要となる専門スキルを身につけてもらいやすくなると考えられます。
これによっても、低いと言われる生産性向上にもつながるでしょう。

進学しやすくする方法

進学しやすくする方法はいくつかあると思われますが、その一つが学費の無償化・低減です。

累進的に、所得に応じて低減割合を変化させることも考えられるでしょう。
貯蓄が多い人や、働きながら教育機関に通うことが可能な人には、あまり低減しない。
一方で、教育機関に通うことが難しいほど貧しい人には、低減を大きくし、場合によっては無償にすることも考えられるでしょう。

同時に、奨学金も受けやすくすることで、進学がしやすくなります。
返還不要な給付型奨学金の額や対象を増やすこと、そして貸与型奨学金の無利子適用対象を広げることで、進学する上での経済的な環境が整っていきます。

金銭面の他にも、企業が柔軟な対応ができるようなサポートも必要かもしれません。
時短勤務・通学を認める企業が多くなるよう、税制などでインセンティブをつけることも必要かもしれません。

教育機関は大学、専門学校なども含む

職業訓練校などが、本来この機能を担うと思われますが、量的にも急拡大に対応できるとは思えませんし、また質的にも、多くの学習の選択肢を用意できているとは思えません。
仕事で活かすことを見据えたスキル習得のニーズに応えるためには、大学や専門学校などでの教育が必要でしょう。

ですので、大学、大学院、専門学校、専門的な高等学校(工業、商業、高専等)などへ、これを機会に進学しやすい環境を作ることで、職業訓練校としての性格を兼ねてもらうことができます。

将来、景気によって学費の増減も

この教育機関への進学支援は、景気によって変化させることも必要でしょう。

この不況が終わり、好況期がやってきた場合、人手不足が起きるかもしれません。

その場合、学費の無償化・低減をやめることで、教育機関にとどまる人々を市中の労働市場に誘導することができ、人手不足を緩和することができるでしょう。

ピンチをチャンスに

失業率が上がるということは、社会にとってピンチが到来していることを表しています。

教育機関に通ってもらうことで、このピンチを和らげることができます。

また、上記のスキルアップは、ピンチをチャンスにするものです。
不況というピンチの間に、労働者にスキルアップしてもらうことで、日本の経済を強くするチャンスを作ることができます。

ピンチをチャンスにし、日本の社会をより強く出来るかもしれません。

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