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スズキさん家の音楽部屋 #8~Sakura_Odyssey 2nd:Musees de Sakura/丹下桜~

前回記事(#6 Sakura_Odyssey 1stシーズン:未来からのエアメール/丹下桜)はこちら

スズキさん家の音楽部屋」へようこそお越しくださいました!管理人のスズキです。昨年は「Sakura_Odyssey 1stシーズン」を読んでいただき、本当にありがとうございました。

この音楽部屋は、多角的に音楽の話題を取り上げて記事にするコンセプトでしたが、予想以上に好評をいただいていること、そして丹下桜さんの音楽を辿る旅路がまだ終わりが見えないことから、今年も「Sakura_Odyssey 2nd」として丹下桜さんの音楽特集をヘッドライナーとしてお送りしていきます。

桜さん関連以外の話題については、不定期連載として「スズキさんのWeblog」として本編の合間にお届けしたいと思いますので、本家音楽部屋ともどもご愛顧のほどよろしくお願いします。

さて、「Sakura_Odyssey 2nd第1回は、2010年2月10日にリリースされた企画アルバム「Musees de Sakura」をレビューしていきます。

1stシーズンでは時系列的にアルバムをレビューしていましたが、今期は時期を跨いでさまざまな作品の記事をお届けします。

また、今回から諸事情により、インタビューやライナーノーツを見ずにサウンドと歌詞、そして楽曲の背景と自分が向き合った感想レビューをメインに書かせていただきます。

事情はいろいろありましたが…(苦笑)ストレートに自分が感じた桜さんの音楽の印象・感想を読んでいただけたら嬉しいです。

それでは始めましょう!!





M0 アルバム概要など

M0-1 Introduction to a Odyssey ~Sakura TimeLine~


1stシーズンでは、時系列でレビューしていたため、毎年「Activities in xxxx」という形で年単位で桜さんの活動を振り返っていました。

しかし、今回は2000年から2024年までの24年間にわたるご活躍を行きつ戻りつしながら楽曲をレビューするコンセプトのため、まずは24年間の活動を音楽・ラジオ・アニメ・ゲームといった代表的な部分を「タイムライン」にまとめてみました。

この「Sakura Timeline」は、今期の各回で「旅の玄関口に飾られた地図」として画像を掲載していきます。

また、このタイムライン作成にあたり、YouTubeラジオ「story telling cafe」を通じてX(旧Twitter)で繋がった桜さんファンの方々にご協力いただきました。この場を借りて御礼申し上げます。本当にありがとうございました!

Sakura Timeline 2000~2024


さて、今回レビューする「Musees de Sakura」が関連する年代は2009年~2010年です。2008年までは別名義で音楽やボイスヒーリング活動、絵本の制作といった「声優」とは異なるベクトルで活動を続けられていた桜さんですが、2009年アニメやゲーム作品へ正式に復帰されました()。

たまたま復帰当時の、ニコニコ動画にアップされたファン動画を見たところ、「祝!丹下桜復帰!」といった喜びの声があふれていました。9年間、桜さんを待ち続けたファンたちの当時の喜びのコメントを目にして、思わず感動しました。

その後、アニメやゲームに続いて、14年続く長寿ラジオ番組が放送を開始し、活動再開からアクセル全開で走り出した印象を受けます。

本作についてですが、詳しい概要は後ほどお話しします。このアルバムはラジオ番組と関連のあるレーベルからリリースされており、「復帰を記念して景気づけにアルバム1枚やりましょう!」というような経緯で制作されたのではないかと感じています。

個人的に、2009年~2010年で印象に残る出演作といえば、やはりゲーム「ラブプラス」への出演です。当時の自分は、脱サラ→定職に就かずアルバイトをしながらフラフラしていた生活を辞め、ネットプロバイダ関連の仕事に就いて真面目に働き始めた(苦笑)頃でした。

仕事を通じてスマートガジェットに興味を持ち、週刊アスキーを定期的に読んでおり、「ラブプラス」の話題も目にしていました。桜さんのお名前を目にしたような記憶が半分、KONAMIさんが「ときメモっぽいのをまた出してきたなー(笑)懐かしいな」と感じた記憶が半分、といったところです。

(※)2005年にゲーム1本、ドラマCD1本のスポット出演歴あり。




M0-2 参加クリエイター紹介

今作品の、参加クリエイターの紹介文をここにまとめました。(一部の方は曲ごとにご紹介します。)

伊藤利恵子さん(作曲家・編曲家・キーボーディスト)(M1・M3)
1997年、ROUND TABLEというユニットで故・高橋幸宏さん主宰のレーベルからデビューされ、ピチカート・ファイヴやフリッパーズ・ギターに代表される「渋谷系」アーティストとして2012年まで活動。また、ユニットや個人名義でアニソンを中心に楽曲提供をされています。

成田旬さん(作曲家・編曲家・ギタリスト)(M2・M11・M12)
アニメや映画、ゲームのサントラ制作を多数手掛ける一方で、ギターやベースのスタジオ・ミュージシャンとして活躍。また、VOCALOIDライブラリの開発にも関わるなど、幅広く活動されています。

良原リエさん(音楽家・文筆家・アコーディオン・トイピアノ奏者)(M4)
Eテレの子ども番組「いないいないばあっ!」の音楽担当をはじめ、さまざまなアーティスト作品での演奏や制作に携わっています。

船山基紀さん(作曲家・編曲家・キーボーディスト)(M4 ※)
日本を代表する編曲家です。沢田研二さんの「勝手にしやがれ」、渡辺真知子さんの「かもめが翔んだ日」、少年隊の「仮面舞踏会」など数々の歌謡曲やJ-POPの編曲を担当。歴代編曲家シングル総売上2位という記録を持っています(1位は小室先生)。
※M4は作曲のみで、制作への直接関与はなし。

オオニシユウスケさん(作曲家・編曲家・ギタリスト)(M5)
久保田利伸さん石井竜也さんNokkoさん青山テルマさんなど、数多くのアーティストのレコーディングやライブサポートを担当されています。

水田俊一郎さん(ギタリスト・レコーディングエンジニア)(M6)
詳細なプロフィールは不明ですが、レコーディングエンジニアとして主にハードロックやヘビーメタル系機材のレビュー記事執筆など、多方面で活動されているようです。

末延孝雄さん(作曲家・編曲家・キーボーディスト・ギタリスト)(M7・M8)
ゲーム音楽や遊技機音楽の制作を中心に作曲活動をされています。本作以降の桜さん作品や國府田マリ子さん(マリ姉)の作品にも参加されています。(何気にマリ姉note初登場ですね(笑)。)

岩崎文紀さん(作曲家・編曲家)(M8)
アニメサントラや編曲を中心に活躍されており、代表作品としてZOOの「Choo Choo TRAIN」の編曲を担当されています(EXILEバージョンではありません)。
※M8は作曲のみで、制作への直接関与はなし。

上野義雄さん(作曲家・編曲家・ドラマー)(M9・M10)
テレビ音楽CM音楽の制作、ドラマーとして舘ひろしさん、吉川晃司さん中村あゆみさんなどのサポートを行うなど多方面で活躍されています。ちなみに、イチローさんが出演した日産自動車「イチロニッサン」のCM曲も手掛けています!

今回参加されたのは主に制作専門のクリエイターの方々で、活動を調べてみると数々の日本音楽界を代表する作品やアーティストに関わっている方もいらっしゃいました。スズキ視点としては、大変豪華なクリエイター陣だと感じました。



M0-3 アルバムコンセプトなど

リリース日 2010年2月10日
レーベル Peertone(AG-ONE)
オリコン最高位 48位

丹下桜/Wikipediaより

※Peertoneレーベルは、AG-ONE社(文化放送・ドワンゴ合弁会社)のレーベルで、超!A&G+チャンネルの運営企業です。

※CD販売は、(株)ソニー・ミュージックディストリビューションが担当。(現在は販売終了)

配信チャンネル iTunes Store
ダウンロード価格 2,444円(曲単位購入可)
配信規格 AAC

iTunes Store

※再生ボタンクリック(タップ)でプレビュー試聴が可能です!

ついに、1stシーズンでは叶わなかった配信のプレビュー付きで概要をお送りできる時がきました…。2009年以降、「丹下桜」名義でリリースされた作品は、配信(サブスクリプション)サイトで購入・視聴が可能です。

1stシーズンではたくさんの記事を書かせていただき、桜さんに感謝の気持ちを見える形で伝えたいと考えていました。それは、現行作品を購入し、サブスクでたくさん再生することで、少しでも収益に繋げていただくことだと思っていました。

Apple Musicでは再生数に貢献しているものの、サブスクの再生では微々たるもの。桜さんの愛犬のご飯代にも届かないかもしれません…。CDを買うにしても中古がメインでは、ご本人に収益は届きません。

そんな中、ダメ元でiTunes Storeを確認したところ、「Musees de Sakura」と「Music A La Mode」のサブスク除外作品が販売されていました!即購入し、本当に少額ですが、貢献できたのではないかと安堵しています。

ここで「スズキさん家の音楽部屋」としてご提案です。CDは持っているけれどリッピングが面倒…や、「Musees de Sakura」を持っていなかった!という方で、Apple製品で音楽を聴いている、あるいはPCやMacでiTunesを使って音楽管理をしているという方は、ぜひiTunes Storeで購入し、一緒に桜さんを盛り上げていただけたら嬉しいです。

iTunes Storeでアルバムを購入すると、600円前後がアーティスト側に収益として渡るとのことです。少し余計なお世話かもしれませんが、iTunes Storeでの購入方法もここに記載しますので、もしよろしければ検討してみてください。

さて、少し前置きが長くなりましたが、ここからアルバムの概要について触れたいと思います。作品タイトルは「Musees de Sakura」、日本語訳で「さくら博物館」です。桜さん自身が歌った楽曲を中心とした「セルフカバーアルバム」となっています。

トラックはすべて桜さんの選曲によるもので、1stシーズンで取り上げた楽曲やアニメのキャラソン、主題歌カバー、新曲など、バラエティ豊かな全12曲で構成されています。

ジャケット写真には、天井の美しいステンドグラスが印象的なデザインが採用されていますが、これは上野にある「国立科学博物館」で撮影されたそうです。

昨夏、上野を訪れた際、「国立科学博物館」と「東京国立博物館」のどちらに行くか迷い、京都神護寺の風神雷神像を見たくて「東京国立博物館」を選びました…。もし逆の選択をしていたら、無意識のうちに「聖地巡礼」できていたのかもしれませんね…惜しいことをしました(笑)。


本作では、カバー・セルフカバーを含むすべてのバックトラックが一新されています。別名義期間を経て新たなサウンドを届ける桜さんが、どんなアプローチでリスナーを魅了するのか、とても楽しみですね!





M0-4 アルバム購入方法(iTunes Store)

①iPhoneもしくはiPadアプリ「iTunes Store」を起動します。


②iTunes Storeトップ画面下の「虫眼鏡マーク」をタップします。


③検索欄に「丹下桜」と入力すると結果候補に桜さんのお名前が表示されるのでタップします。


④桜さんのアーティスト画面が表示されます。「アルバム」の一覧にある「Musees de Sakura」のジャケットをタップします。


⑤「Muesees de Sakura」の画面が表示されます。画像の「購入済」部分に「¥2,444」と表示されていると思いますので、タップし、ご自身で決済可能な手法で決済処理を行ってください。決済後ダウンロードが開始されます。「ミュージック」アプリに反映しない場合は、一度「ミュージック」アプリのタスクを終了→再起動を試してみてください。万が一それでも聴けない場合は
Appleサポートへ問い合わせをおすすめします。






M1 You Are My Destiny

Lyrics by 伊藤利恵子 Composed by 伊藤利恵子 Arranged by 伊藤利恵子

アルバムのオープニングトラックであり、新曲です。この楽曲は、2009年から2023年まで放送された桜さんのWebラジオ番組丹下桜のRADIO・A・La・Mode」(以下、ラジアラ)の初代オープニングテーマです。

バックトラックはバンドサウンドでまとめられています。90年代とは異なり、2000年代後半からソフトウェアシンセサイザーや、生楽器をシミュレートしたPC・Mac上で操作できる楽器が増えたため、完全な生録ではない可能性があります。しかし、自分が聴いた限りでは、生録のDr・Bs・Key・Pf・AcGt・Voの6パート編成のバンドのように聴こえました。

この楽曲の第一印象ですが、おしゃれなバンド編成で、Blue Note東京BillboardLiveTOKYOなど、ジャズ畑の格式高いライブハウスで演奏しているような印象を受けました。また、桜さんの雰囲気に非常にマッチしていると感じました。もしかすると、ジャズ系編成のライブも桜さんには合うのではないでしょうか。

歌詞の世界観には、恋愛の情景の中に、ラジオにメールを投稿する際のドキドキ感や、桜さん自身がこのラジオをきっかけにリスナーやファンと長くつながり続けていくという決意表明のような言葉が散りばめられていると感じました。

ラジアラを初期から聴いていた方々にとっては、非常に思い入れのある楽曲だと思います。残念ながら、自分はラジアラの放送期間中には聴いていなかったので、アーカイブなどがあれば、できるだけ多く聴いてみようと思っています。




M2 Catch You Catch Me

Lyrics by 広瀬香美 Composed by 広瀬香美 Arranged by 成田旬

カバー曲です。この楽曲はもはや説明不要ですね(笑)。「CCさくら」の初代オープニングテーマであり、J-POP界やアニソン界の歴史に残る名曲です。

まずはオリジナル版について少し触れたいと思います。作曲は広瀬香美さん。90年代のJ-POP界を席巻したシンガーソングライターです。そしてオリジナル版の編曲を担当されたのが本間昭光さんポルノグラフィティいきものがかりプロデューサーを務め、日本を代表するミュージシャン・サウンドプロデューサーです。

当時、本間さんは広瀬さんのプロデュースもされていたそうで、この楽曲は広瀬さんがピアノを弾きながらアドリブでフレーズを歌い、それを本間さんが打ち込みしたのか譜面に起こしたのかは不明ですが、共同作業で生み出された楽曲だったそうです。

当初は広瀬さんが歌う予定だったそうですが、大人びた雰囲気になってしまうことが懸念され、急遽GUMIさんに白羽の矢が立ち、あのオリジナル版が誕生したそうです。

CCさくら」の初代オープニングはこの曲、そしてエンディングが広瀬さんが歌う「Groovy!」でした。個人的に「Groovy!」もゴスペル調のノリが良い楽曲で大好きです。(今でもケロちゃんが飛び跳ねる画が浮かんできます(笑)

さて、この「Catch You Catch Me」。実は桜さんがカバーするのはこのアルバムで2回目になります。2001年にリリースされた「CCさくら」のボーカルコレクションに収録された「木之本桜Ver」です。

このバージョンですが、表現がややこしくなりますが(笑)、桜さんが桜ちゃんを演じて歌ったという、いわゆる「キャラソン」枠になります。本人もキャラも「」なので、本当にややこしくて笑ってしまいます(笑)

木之本桜Ver」ですが、ネットでかなり反響が大きいようで、調べてみたところこんな感想を見かけました。代表的な感想を列記してみます(笑)。

・脳が溶ける
・脳にハチミツをかけられたみたいになる
・さくらバージョンこそ至高
・本当に罪(Guilty)

X(旧Twitter)検索で「Catch You Catch Me 桜」で最新順で調べた結果を元に記載。

感想を読む限り、「木之本桜Ver」で皆さんノックアウトされていたようですね(笑)。というわけで、「Catch You Catch Me」各バージョンを聴き比べてみました。

Apple Musicで検索したところ、中川翔子さん(以下、しょこたん)もカバーされていたようで、オリジナル、木之本桜ちゃん、しょこたん、そして今回の桜さんVerを聴き比べてみました。(しょこたんはパワーあるカッコよいボーカルで、空色デイズのFirstTakeの動画お気に入りです(笑))

エントリーNo.1 オリジナル版(GUMIさん)

言わずもがななオリジナル版です。バックトラックは本間さんらしくパーカッションが効いたノリの良いトラックになっています。

そしてGUMIさんのボーカルですが、改めてじっくりと聴いてみると、要所要所で広瀬さん風な歌い回しを感じました。サビの「こっちを向いて~」と「飛んで飛んで~」の箇所など、広瀬香美さんだ!と思わせてくれます。

おそらく仮歌やボーカルディレクションを広瀬さんが担当されたと推測でき、その影響が色濃く反映しているのかなと思いました。

改めて聴いても本当に素晴らしい楽曲ですね。

エントリーNo.2 木之本桜Ver(桜さん)

問題の(笑)木之本桜ちゃんバージョンです。Aメロの頭から、しっかり「木之本桜ちゃん」に切り替わっていますね。

残念ながら自分の脳は溶けませんでしたが(笑)、ほわーっと感じるよりも、キャラクターになりきり、素の桜さんの歌い回しを完全に封印されている様子に驚愕しました。

桜さん以外にも声優さんは「キャラソン」を担当し、歌われることが多いですが、このパフォーマンス力には本当に脱帽です。桜さんの「表現者力」は本当に素晴らしいです。このバージョンから改めてその凄さを感じ取りました。

エントリーNo.3 しょこたん☆かばー×2Ver(中川翔子さん)

しょこたんバージョンです。しょこたんらしくバックトラックからエレキギターが前面に出た8ビート・ロックなアプローチがされています。ボーカルパフォーマンスですが、ちょっとしょこたんには良い意味でもの足りなかったのかな?気持ちパワーを封印しているようにも感じました。

というわけで、三者三様のカバーバージョン比較でした(笑)

さて、本題の今作のカバーバージョンですが、まずはバックトラックが一新されています。「木之本桜Ver」はオリジナル版のオケをそのまま使用していましたが、今回は「丹下桜」名義での制作となるためオリジナル版をそのまま使うわけにもいきませんね。

そのバックトラックですが、オリジナル版を意識しつつ、メインリフのトランペットサウンドをはじめ、「You Are My Destiny」の流れからジャズ系のおしゃれなアレンジになっています。特に間奏のフェンダー・ローズ系のピアノソロジャジーなノート感満載で、とても好きなピアノソロです。

桜さんのボーカルは「木之本桜Ver」とは正反対の「大人のかわいさ」を前面に出したパフォーマンスを見せてくれています。個人的にはバックトラックを含め、この「Musees Ver」が一番好きです。

Catch You Catch Me」は「CCさくら」を通じて国を超えた多くの人に愛されている日本、いや世界に永く残る名曲だと思います。作品とともに、これからも未来にわたって末永く受け継がれていってほしいですね。




M3 今はまだ遠いLovesong

Lyrics by 松浦有希 Composed by 松浦有希 Arranged by 伊藤利恵子

2ndシングルダブルA面2ndアルバムMAKE YOU SMILE」に収録された楽曲のリアレンジバージョンです。

M1~M3まで伊藤さんアレンジを担当されているため、冒頭からおしゃれなバンドアレンジの楽曲で統一されています。この曲もまた間奏がとてもおしゃれで、チェンバロのソロが少しバロック調のフレーズを奏で、女性らしさとわずかな哀愁がMIXされた雰囲気を作り出しています。

このアルバムではリアレンジ曲が多く収録されているため、当時の音源と今回の音源を聴き比べてみました。「MAKE YOU~」に収録されたバージョンでは、少し世界観を探りながら歌っているような印象を受けました。それでも当時としてベストなパフォーマンスを発揮していたと思います。

今回の「Musees Ver」は、少し大人になった桜さんがストレートに歌っている印象で、これまでの経験値からくるのか、迷いのない力強さがまっすぐに伸びた歌い方を後押ししています。

また、これはM1から共通して感じる印象ですが、桜さんのボーカルに少しビブラート感が加わったように思います。

ベテランの方が意識的に行う「しゃくり」と呼ばれる意図的なビブラートは、聴く人によっては少し胃もたれ(笑)してしまうこともありますが、桜さんのビブラートは自然発生的で心地よく、表現の幅が広がったのかなと思わせてくれます。

新曲、カバー曲、リアレンジと、まさにタイトルの「博物館」を思わせる構成。次はどんな「展示曲」を聴かせてくれるのか、ワクワクしますね!





M4 デフォルトの笑顔

Lyrics by sora Composed by 船山基紀 Arranged by 良原リエ

桜さんが主演し、WOWOWで放送されたアニメ「アンドロイド・アナ MAICO 2010」のエンディング曲のセルフカバーです。

MAICO 2010」はもともとニッポン放送ラジオドラマとして放送され、桜さんが主演を務めました。ラジオでは「tune my love」がエンディング曲でしたね。

当時のスズキ少年は、アニメ版にはあまり興味を持ちませんでした(笑)

アニメの存在は知っていましたし、ラジオドラマの方は毎回聴いていましたが、原作のマンガ(ヤングキング連載)絵柄がかなりセンシティブな雰囲気(苦笑)だったため、少し引いてしまったんですね。

自分のイメージしている桜さんのMAICOじゃない!」なんて怒っていたのだと思いますが…若いですね(笑)。

さらに実家がWOWOW未加入だったことも大きかったです。NHK BSは契約していたので「CCさくら」は観ることができたのが救いでした(笑)。

さて、オリジナル版楽曲ですが、8cmシングルでのリリースかつ入手が非常に困難な音源なので…大声では言えませんがYouTubeの力を借りました…。

オリジナル版は船山さんが作編曲を担当されており、さすが日本を代表する編曲家松田聖子さんを想像させるようなしっとりとした歌謡J-POPに仕上がっています。

ボーカルはアニメの「MAICO」を見聞きしていないため判断が難しいですが、おそらくMAICOに変身したボーカルではないかと感じました。キーが低くなる部分の歌い方で、なんとなくその印象を受けました。

本人名義の時とは、世界観の作り込みへの関与度合いが異なるため、力強さが少し違うように感じられます。

オリジナル版も素晴らしい楽曲なので、ポニーキャニオンさんやニッポン放送さんのフジサンケイグループの力で、ぜひストリーミング配信を実現してほしいですね…(いまいろいろ大変そうですが…苦笑)。

さて、「Musees Ver」ですが、もちろんバックトラックは一新されています。イントロのトイピアノサウンドは、トイ楽器を駆使して音楽活動を行う良原さんならではのアプローチですね。

メインリズムフィンガークラップバックコーラス(おそらく3声ほど)を活用したアレンジは、ゴスペル・アカペラ風で非常におしゃれです。

桜さんのボーカルもゴスペル・アカペラを意識し、女の子を優しく応援するような雰囲気を演出していて、とても心地よく聴くことができます。

ここまでの4曲は、完全な打ち込み楽曲が一つもありません。自分としては、打ち込み系の桜さん楽曲も好きなのですが、第0回で少し触れたように、姉の影響でジャズやフュージョンもよく聴いていたため、この雰囲気はとても好きです。

そして桜さんの歌声には、このスタイルが本当によく合っていると思います。

もし叶うなら、いつかBillboardで桜さんのライブを開催してほしいですね。おそらくチケット代は10,000円を超える高額になるかもしれませんが…。


※Billboardは、箱代が高く、さらに六本木に店舗があるため非常に高級なライブハウスです。ステージ背面が全面ガラスになっており、カーテンが上がると六本木の夜景を背景に演奏が行われるという、とてもおしゃれな空間だそうです。

以前、大ちゃんと小室先生がライブを開催された際、友人が参加していて、雰囲気もお値段もまさにそのような感じだったとのことです。

【参考資料】BillboardLive東京公式紹介動画

※もし、このステージに桜さんが立ったら…と想像したら鳥肌たちました…。








M5 あなたのやり方でだきしめて

Lyrics by かの香織 Composed by かの香織 Arranged by オオニシユウスケ

1stシングルA面1stアルバムBe MySelf」に収録された楽曲のリアレンジバージョンです。

オリジナル版アルトサックスメインのPOPアレンジであるのに対して、「Musees Ver」はアコースティックギターメインの「アンプラグド」アレンジになっています。グロッケンのサウンドも、もしかするとキーボード音色ではなく生のグロッケンかもしれませんね。

「Musees Ver」とオリジナル版と聴き比べてみると、オリジナル版はボーカルに少し初々しさを感じますね(笑)。でも、オリジナルバージョンはその初々しさが魅力なんです!(笑)

Musees Ver」のボーカルは、M3「今はまだ遠いLovesong」と同様に、少し大人な目線から楽曲のテーマ「バレンタイン」を歌い上げている印象です。しっとりとした雰囲気を演出しながらも、芯のあるボーカル。そしてアンプラグドアレンジによる大人な雰囲気本当に桜さんにピッタリの仕上がりです。




M5-1 追悼企画 新川博さんを偲んで

あなたのやり方で抱きしめて」の紹介に追記です。当該曲のオリジナル版アレンジをご担当された新川博さんが2025年1月8日に逝去されました。

新川さんは桜さんの1stアルバム「Be MySelf」で「あした色のベンチ」以外のすべての曲をアレンジされました。記事でも書かせていただきましたが、とにかく王道のJ-POPサウンドで、「しっかり音楽やってる!」という印象を持った素晴らしいアルバムでした。

この素晴らしいサウンドを彩ったのは、新川さんのアレンジの賜物だと思っています。「Be MySelf」の回ではまだクリエイター紹介コーナーを設けていなかったため、新川さんの経歴やご活躍について触れていませんでした。

今回哀悼の意を込めて、この場をお借りして新川さんをご紹介させていただきます。どうぞお付き合いください。



新川博さん(キーボーディスト・作編曲家・音楽プロデューサー)

1955年 東京都出身

1980年松任谷由実さんの音楽監督としてライブツアーに帯同し、その経験から1983年ごろより編曲家として本格的に活動を開始。

【主な編曲作品】
・荻野目洋子さん「六本木純情派
・中村めいこさん「君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。
・1986オメガトライブ「君は1000%
・光GENJI「リラの咲くころバルセロナへ
・酒井法子さん「碧いうさぎ
・KinKi Kids「青の時代

新川博(Wikipediaより)


以上はラインナップの一部抜粋ですが、日本の歌謡・J-POP界を代表する楽曲ばかりです。「碧いうさぎ」を手掛けていらしたとは驚きました。

桜さんファンと交流する中で、「Be MySelf」が根強く人気を保っているのは、桜さんのボーカルや歌詞だけでなく、新川さんのアレンジも影響しているのではないかと改めて感じました。

X(旧Twitter)でも触れましたが、自分が一番印象的だったのは「True Love」でした。1コーラス目はしっとりとしたバラード進行、2コーラス目からリズム隊が加わる展開。「Be MySelf」の中でも特に好きな楽曲のひとつです。

きっと新川さんのアレンジがあったからこそ、桜さんの音楽を好きになり、こうして応援し続けるきっかけになったのだと思っています。

日本の音楽界、そして桜さんや桜さんファンに素晴らしいサウンドを届けてくださり、本当にありがとうございました。





M6 Neo-Generation

Lyrics by 丹下桜 Composed by 相川夏生 Arranged by 水田俊一郎

4thアルバムNeo-Generation」に収録されたタイトルトラックのリアレンジ版です。

さぁ、やってきました。シンセサイザー系トラックの時間です(笑)。オリジナル版はブレイクビーツ中心の完全打ち込みサウンドバックトラックでしたが、実はこの「Musees Ver」は完全打ち込みではないように聴こえました。

シンセサイザーメインのバンドサウンド。例えるなら、海外ツアーを回っていた頃の「Yellow Magic Orchestra(YMO)」のようなサウンドです。編成はシンセサイザー(メイン)、シンセサイザーベース、ドラム、エレキギター、そして桜さんのボーカルといった構成です。

得意分野の楽曲ということもあり、バックトラックを少し解析してみました。まず最前面に聴こえるシンセリードのサウンドですが、どのシンセサイザーを使っているか考察しましたが、M1で触れたようにソフトウエアシンセサイザーの発達により、機種の特定が非常に難しいです。

桜さん作品の中では珍しいほど攻撃的なリード音色なので、激しめの音が出る機種もしくはソフトかな?と予想しました。アレンジ担当の水田さんハードロック・ヘビメタ系ということもあり、Roland社の「V-Synth GT」ではないかと考えました。

理由として、この当時、ロックキーボーディストに大人気のバンド「Dream Theater」のジョーダン・ルーデス氏が愛用していた機種だからです。ちなみに実機では、桜さんが引くほど激しいリードサウンドを奏でることが可能です。個人的には大好きな音です(笑)。

次に目立つシンセベースについては、往年の名機「Mini moog(モーグ)」を再現したソフトウエアではないかと予想しました。

そしてエレキギターですが、奏法やエフェクトの使い方がメタル系の特徴を感じさせます。本家メタルよりは大人しめですが、かつて水島さんがアレンジ担当された楽曲よりも攻撃的な印象を受けます。

総合的に見ると、バックトラックはシンセ楽曲というよりも、ロックアレンジに近い印象になるかもしれません。

桜さんのボーカルは、こちらも少し大人になった桜さんオリジナル版のコンセプトを踏襲し、大人な雰囲気で背中を後押しするエールソングのような世界観を演出しています。M3で触れた自然発生的ビブラートがこの楽曲でも発揮されています。

サビでオリジナル版と比較すると、「真剣な目で~」の部分。オリジナル版は、斜め上に直線的に離陸するイメージですが、「Musees Ver」では、丸みを帯びた二次関数のグラフのように、下から上がっていくイメージです。

この表現は、ある程度の技量や経験値がないと難しく下手に行うと失敗する技法だと思います。たくさんの楽曲をパフォーマンスしてきた現在の桜さんだからこそできるパフォーマンスであり、表現の幅が広がっていることに感銘を受けました。






M7 2色だけのパレット(ケータイVer.)

Lyrics by 宮島律子 Composed by 宮島律子 Arranged by 末延孝雄

4thシングルA面2ndアルバムMAKE YOU SMILE」に収録された楽曲のリアレンジバージョンです。

好きなシングル曲がリアレンジされました!「Musees Ver」ですが、単刀直入に「大好き!」です(笑)。詳しいレビューは後ほど書きますが、まずはオリジナル版を振り返りたいと思います。

オリジナル版は、アコースティックギターのカッティングとオルガンのバッキングが印象的なポップトラックで、アルバムバージョンではオルガンに歪みを加えてロック寄りなアレンジに仕上げられていました。

アルバムジャケットや写真集のロケ地であるイギリス・ロンドンの街を歩いているようなブリティッシュな雰囲気を演出しているバックトラックでしたね。

あと、ジャケットの写真が素晴らしいんですよね…。これ以上書くと脱線しそうなので(苦笑)、ここからは「Musees Ver」についてレビューしていきたいと思います。

Musees Ver」はオリジナル版から180度転換し、「EDM」風なバックトラックになっています。ここまでバンドサウンドやゴスペル調のサウンドが続いてきた中で、一気に打ち込みサウンドに転換したのが印象的です。

2色だけのパレット」をEDM風にしようとした経緯は見つかりませんでしたが、アレンジ担当の末延さんがゲーム音楽制作を主に担当されており、得意分野であった可能性があると推測しています。

また、2008年頃から中田ヤスタカさんを代表するEDM系トラックメーカーが台頭し、日本の音楽シーンが徐々にエレクトリック路線に舵を切り始めた影響もあったかもしれません。ヤスタカさんの手掛けるPerfumeCAPSULEが一気にヒットし始めたのもこの頃でした。

※Perfumeの「GAME」「⊿」、CAPSULEの「Sugarless GiRL」「MORE! MORE! MORE!」は名盤です!興味がある方はぜひ。

なぜ中田ヤスタカさんについて触れたのかというと、皆さんもよくご存知の「ポリリズム」、ボーカルにエフェクトが掛かっているのが印象的ですよね?今回の「2色だけのパレット」でも桜さんのボーカルにエフェクト加工が施されています。

Perfumeほど大胆ではありませんが、軽く機械ボイスの雰囲気が感じられるくらいのフェーザーまたはフランジャーがかかっています。

そして、このバージョンは一部媒体では「ケータイVer」と記載されています。これは、1コーラス目Bメロの「ポケベルのメッセージはア・イ・シ・テ・ルって…」が「着声のメッセージはア・イ・シ・テ・ルって…」に歌詞変更されているのです。

1997年から時代とともに「2色だけのパレット」が進化しました!こういう遊び心は楽しくて大好きです!

さて、桜さんのボーカルですが、オリジナル版は「今はまだ遠いLove song」同様に手探り感もありつつベストを尽くしている感じでしたが、EDMアレンジに転換された影響もあってか、桜さんのボーカルにビート感が感じられます。

自分なりの表現で恐縮ですが、明らかに1stシーズンからの10年で桜さんのボーカルパフォーマンスが5段階くらい進化しています。

野球の投手に例えるなら、球速はそこまで上がっていませんが、投げられる球種が増えている。楽曲や世界観にマッチするパフォーマンスができる、そんな雰囲気を感じました。








M8 あなたといれば

Lyrics by 松宮恭子 Composed by 岩崎文紀 Arranged by 末延孝雄

CCさくら」のキャラソンをセルフカバーした楽曲です。オリジナル版は、1998年7月23日にリリースされた「カードキャプターさくらオリジナル・サウンドトラック」に収録されていました。

オリジナル版では、「Catch You Catch Me」同様、桜さんが「木之本桜ちゃん」に変身して歌われています。また、ソロではなく、「大道寺知世ちゃん」役の岩男潤子さんとのデュエットパフォーマンスが行われていました。

作品中でも「バディ」とも言える「木之本桜ちゃん」と「大道寺知世ちゃん」のユニット的な雰囲気で制作されたのでしょうか?「CCさくら」ファンの方には激アツな楽曲だったのではないかと思いました。

余談ですが、作品中の「大道寺知世ちゃん」は、小学生ながらちょっとマッドサイエンティスト的な雰囲気を感じます(笑)。でも、あのくらいぶっ飛んでいるキャラクターは個人的に結構好きです(笑)。

さて、オリジナル版について少し触れたいと思います。オリジナル版のアレンジは、あの「Choo Choo TRAIN」をアレンジした岩崎さんが手掛けています。

全体の雰囲気がまさに「zoo」のようでした。バックコーラスやトラックの作りも、90年代初頭のダンストラックの雰囲気を見事に演出しています。

また、1コーラス目のABメロは桜さん(桜ちゃん)、2コーラス目のABメロは岩男さん(知世ちゃん)が担当しており、お二人ともキャラクターにしっかりと変身されています。この辺りは、さすがトップクラスの声優さんだと感じました。

岩男さんについては、変身しているかどうかの比較のためにご本人の作品を聴いてみましたが、これがまた圧巻のパフォーマンスでした。

良い意味で知世ちゃんの雰囲気を全く感じさせない、素晴らしいボーカルでした。

さて、「Musees Ver」ですが、バックトラックはオリジナル版の雰囲気を忠実に再現しています。ただ、オリジナル版よりも若干ハウス感が混じっているように感じられます。

桜さんのボーカルは、「Catch You Catch Me」同様、「大人のかわいさ」を意識したような雰囲気を感じさせます。オリジナル版で岩男さんと交互に担当したコーラスワークは、今回桜さんのみで担当されていますが、若干メインボーカルとは違うニュアンスを感じさせるコーラスの歌い回しが印象的でした。こうした細かい表現の違いを見せてくれるのも素晴らしいですね!




M8-1 岩男潤子さん楽曲のご紹介【一番近くて遠い星】

ここで緊急企画発動です。YouTubeの「今緊急で動画回してるんですけど…」ばりの突然の企画です。

実は、この曲の記事を制作中に、岩男さんの楽曲の感想をX(旧Twitter)に書いたところ、なんと岩男さんご本人から引用をいただいてしまいました!フォロワーさん向けに軽く感想を書いただけだったのですが、このまさかの展開に思わず声が出ました。

今回「あなたといればオリジナル版との比較のために聴かせていただいた楽曲は、2022年8月17日にリリースされた「一番近くて遠い星」でした。X(旧Twitter)で反応をいただいたご縁に感謝して、この楽曲をご紹介させていただきます!

楽曲名 一番近くて遠い星
リリース日 2022年8月17日
配信チャンネル Apple Music(iTunes Store)/Spotify/LINE MUSIC/Amazon music/mora/YouTube Music

ポニーキャニオンHPより

バックトラックアコースティックピアノをメインに、2コーラス目からDr・Bs・AcGtが加わる、自分の好きなバラード展開です。岩男さんのボーカルは、辛島美登里さんを彷彿とさせるようなしっとりとした落ち着いた歌声が印象的でした。調べたところ、進学塾「Z会」の応援ソングのタイアップ曲だったそうで、やさしく背中を押してくれるような世界観を感じさせる素晴らしい楽曲でした。

ちなみに、岩男さんの楽曲は、Apple Music1995年リリースの1st作品と思われるアルバムから「全曲配信」されているようです。



KONAMIさん…。聴こえていますか?多くは語りませんが、こういうところですよ…。がんばりましょう…。少し苦言です…。



たくさんの楽曲が配信されているので、他の楽曲もたくさん聴かせていただきたいと思いました。改めて、岩男潤子さん、ささやかな感想ポストに反応していただき、ありがとうございました!今後のご活躍をお祈りしております!!





M9 tune my love

Lyrics by 丹下桜 Composed by ながつきまろん Arranged by 上野義雄

3rdシングルA面2ndアルバムMAKE YOU SMILE」に収録された楽曲のリアレンジバージョンです。

デフォルトの笑顔」に続いて「MAICO2010関連楽曲の登場です。この作品は桜さんにとってラジオドラマの初主演でもあり、思い入れのある作品だったのかもしれませんね。ゆりかもめに乗って毎回ニッポン放送へ収録に行かれたエピソードを思い出しました。

まずはオリジナル版を振り返ります。オリジナル版シングルアルバムで大きくバージョンが異なっていました。

シングル版打ち込みメインのデジタルバラードアルバム版アコースティックギターとエレクトリックピアノ・ストリングスのアンプラグド風アレンジでした。

改めて聴き直してみましたが、甲乙つけがたい…。結論、どっちも好き!アマチュア音楽レビュアーとしてあるまじき結論ですが、お許しください(笑)

さて、「Musees Ver」ですが、今回のバックトラックはよりアンプラグド感が増しています。まずイントロのヴァイオリンソロ一気にアンプラグドな雰囲気へ誘います。

パート構成はヴァイオリン、アコースティックギターとハープ、薄いシンセパッド優しいバックトラックになっています。

桜さんのボーカルですが、1コーラス目のABメロオリジナル版にかなり忠実に歌われていて、一瞬オリジナル版のボーカルトラック?耳を疑うほどの再現度でした。

ちなみにサビの「tune my love~」の譜割りがオリジナル版よりグルーヴ感を出しているので、間違いなくボーカルは新録ですのでご安心ください!

オリジナル版は少し不安ながらも、一生懸命に「大丈夫、ひとりじゃない」と振り絞るようなあどけなさを感じさせるボーカルでした。「Musees Ver」のボーカルはより安心感があり、何か大きく気持ちを包み込むような優しさに溢れる印象です。


かつて天使のボーカルだったのが、時を重ねて女神になったのか…。ちょっと独り言です…。でもそんな感覚を覚える方もいらっしゃると思います。





M10 それがあなたのいいところ

Lyrics by 丹下桜 Composed by 宮島律子 Arranged by 上野義雄

5thシングル「CATCH UP DREAM」のカップリング曲として収録された楽曲のリアレンジバージョンです。

まずはオリジナル版について触れたいと思います。オリジナル版は「ときめきメモリアル ドラマシリーズ vol.1 虹色の青春」の挿入歌として制作されました。

桜さん演じる「秋穂みのりちゃん」のテーマソングでもあります。なお、「今はまだ遠いLovesong」も同じタイアップソングとして制作されました。

オリジナル版は「CATCH UP DREAM」のシングルにのみ収録され、桜さん名義で発売されたアルバムやベスト盤には現在も未収録です。シングル盤は8cmCDのため、入手してもリッピング環境がないことから、1stシーズンではこの楽曲を含むいくつかのレビューを断念しました。

そのため、この楽曲もYouTubeを頼りにオリジナル版を聴いています(申し訳ありません…)。

オリジナル版バックトラック上質なポップトラックに仕上がっています。アレンジを担当されたのは岩本正樹さんで、ドラマ・アニメ劇伴制作を中心に活動されており、編曲家としてマリ姉の楽曲(「僕らのステキ」など)のアレンジも手掛けています。

オリジナル版を改めて聴いてみると、ドラマの挿入歌として場面に馴染むサウンドになっており、感銘を受けました。

さて、「Musees Ver」ですが、アレンジが生音バンドアレンジに変更されたことで、良い意味で「歌謡曲」的な雰囲気が非常に魅力的です!少しフレンチポップの雰囲気も混じっているように感じられます。

桜さんのボーカルも、サビで少し哀愁を感じさせる歌い回しをしており、より歌謡曲らしい切なさを演出し、想いに耽る世界観を引き立てています。

この楽曲の歌詞の世界観は、前向きさと刹那さが入り混じった非常に哀愁漂うものです。作品中の人間関係も少し垣間見えます。主人公が自分より先輩を見ているけれど、それでも主人公を応援して前を向かせるのが自分の良さであり、主人公の良さを見つけて背中を押す、そんな歌詞の内容です。

ときめきメモリアルシリーズ」では、桜さんの楽曲だけでなく、たくさんのキャラソンやイメージソングが制作されました。

ネットの反応を見ていると、ゲームのファンの間では桜さんが関わった2曲が今も良曲として語り継がれているようです。

この楽曲は哀愁を感じさせつつも、誰かの背中を押してくれるような雰囲気を持っているため、きっとどこかで誰かの背中を押してきたのかもしれませんね。

素晴らしい楽曲たちが、これからも未来へと繋がっていくことを願っています。






M11 プラチナ

Lyrics by 岩里祐穂 Composed by 菅野よう子 Arranged by 成田旬

CCさくら」の3rdオープニング曲カバーです。読んでくださっている「CCさくら」世代の皆さまには、説明不要な楽曲かもしれませんね。

オリジナル版坂本真綾さんが歌われており、作曲アニメ音楽界の女王といっても過言ではない菅野よう子さんが手掛けられています。菅野さんといえば「カウボーイビバップ」の音楽を担当されたことが印象的です。

また、大ちゃんが手掛けたTHUNDERBIRD」のリアレンジも担当されていました。これに関しては少し複雑な気持ちもありますが、ピアノアレンジ後半の弦楽器アレンジが圧巻で、大ちゃんのメロディにこんなバックトラックが乗るのか!?という衝撃を受けました。

書ききれないほど多数の作品に関わっていらっしゃるため、今回はあえて割愛しますが、日本を代表する素晴らしい音楽家の1人であることは間違いありません。

この「プラチナ」ですが、ABメロ、サビという王道の展開に加え、2コーラス目終わりのCメロとても秀逸で、後半に向けて一気に盛り上がる雰囲気がとても好きです。

どこかでCメロを歌わず「レリーズ」してしまったバージョンも存在するようですが…。これも好きですね。詳しくはお察しください…。

Catch You Catch Me」ほどリアルタイムで触れていない楽曲なのでエピソードの引き出しが少なく申し訳ないのですが、この楽曲が「Catch You~」同様に日本のみならず海外からも愛されている素晴らしい楽曲であることはよく分かりました。これほどの良い楽曲が素晴らしいアニメ作品のOPであれば、人気が出ないわけがありませんよね!

さて、「Musees Ver」ですが、バックトラックはバンドアレンジです。桜さんのボーカルは「丹下桜」でありながらも、どこか「木之本桜ちゃん」が降りてきているような印象です。特にABメロのあたりでは桜ちゃんらしさを感じます。かわいさ」を意識しつつ、ポップなビート感が伝わるボーカルです。

「Catch You Catch Me」と「プラチナ」どちらも未来へ長く受け継がれていってほしいですね。





M12 Stand by Me

Lyrics by 丹下桜 Composed by 坂下正俊 Arranged by 成田旬

7thシングルA面ミニアルバムAlice」に収録された楽曲のリアレンジバージョンです。

Musees de Sakura」最後の「展示曲」は大好きなシングル曲のリアレンジバージョンです。オリジナル版を振り返ると大脱線しそうな勢い(苦笑)なので、詳しくは「Alice回のstand by me」をご参考ください。

さて、「Musees Ver」ですが、こちらもオリジナル版から180度転換し、バンドアレンジかつフレンチポップ風のバックトラックに変身しています。

第一印象は、とにかく音が柔らかい。ドラムはABメロでシェイカーバスドラリムショット。サビでスネアが入りますが、こちらも柔らかく抑えた雰囲気でおしゃれです。そこにアコースティックギターキーボードが加わります。リフのシンセベル以外は、キーボードオルガンメインです。

そして桜さんのボーカルは、この作品の中でも特に柔らかく優しく歌われています。一言一言をしっかりと噛みしめるように歌われています。

このバージョンを例えるなら「クレモンティーヌ」の楽曲のようです。良質なフレンチポップの桜さんバージョンと言えるほどのクオリティです。いっそクレモンティーヌとコラボしても良いのではないでしょうか。


そして悩ましいのが、オリジナル版と「Musees Ver」との比較です。「tune my love」でも及び腰になったのに、ましてや大好きな「stand by me」では比較自体が難しいです…。


しかし、音楽レビュー記事として成立させるため、比較しました。オリジナル版打ち込みサウンドで、今回はしっとりとしたフレンチポップアレンジです。

自分の解釈ですが、やはりオリジナル版はオリジナル版として、「Musees Ver」はリミックスまたはスペシャルバージョンの位置付けであってほしいと思いました。

今回のも本当に素晴らしいのですが、やはり戻るべき場所はオリジナル版なんです。

今回のアルバム自体が生音寄りの作品なので、フレンチポップアレンジは非常にマッチしていると思いますし、大人になった桜さんにもぴったりです。

もしまた「stand by me」を歌う機会があるなら、オリジナル版寄りのアレンジも試してもらえたら嬉しいです。

本当に大好きな楽曲です。バージョン違いはさておき、復帰後に再び歌ってくださったことに感謝です。





M99 あとがき


Sakura_Odyssey 2nd」初回を無事書き終えました。今回はカバー曲番外特集など盛りだくさんの内容になり、気づいたら20,000文字を超えていました…。ボリュームが多く、読むのが大変だったかもしれません。申し訳ありません。

Musees de Sakura」を今回レビューしてみて、2nd期の桜さんの音楽性や方向性が少し見えたような気がしました。まだ頭の中で漠然としていて、言葉を選んでいる段階ですが、次回以降、少しずつ書いていけたらと思います。

そして、今回から配信プレビューが使えるようになったのが一番の進展です。気になる曲をとりあえずプレビューで聴いていただけるのはとても嬉しいですね。いくら言葉で伝えようとしても、最終的にはやはり「音」を聴いてもらうことが大切です。

さて、次回は6thフルアルバムVOCALIUM」をレビューします。「Neo-Generation」以来、12年ぶりのフルアルバム。この作品をご紹介します。この作品まで来ると聴いてくださっている方も増えていると思うので、自分なりの解釈・レビューを楽しんでいただけたら嬉しいです。

さらに、次回は作品と併せて、桜さんの音楽活動における「最重要人物」を特集するクリエイター紹介拡大版もお届けする予定です。いつかどこかの作品で取り上げたいと思っていましたが、2nd期に入ってからかなと企画を温めていました。

2ndシーズンWeblogを挟みつつ、ゆっくりじっくり制作していきますので、次回は2月末~3月上旬にリリース予定です。また読んでいただけたら嬉しいです。

それでは、恒例のご挨拶で締めたいと思います。

ほなまた!