見出し画像

【雑記】内藤礼「生まれておいで 生きておいで」と月例講演会に行って思ったこと


はじめに

「生まれておいで 生きておいで」は内藤礼による展示で、2024年6月から2025年1月にかけて上野の東京国立博物館と銀座のメゾンエルメスにて開催されています。

わたしは上記2会場と上野で行われた月例講演会に参加してきました。
本記事では、講演会で語られた内容や展示の感想について記載いたします。
特に講演会は、作者の意図や展示のバックグラウンドが語られた貴重な機会でした。

※本記事のAmazonへのリンクはアフィリエイトです

東京国立博物館での展示

東京国立博物館にて、特別展「生まれておいで 生きておいで」が2024年6月25日(火) ~ 2024年9月23日(月・休)まで開催されました。

わたしの内藤作品との出会いは豊島美術館の展示が初でした。ミニマルな空間と、きらめきを持ったガラスに水。
その場を訪れるひとの内面や情緒に触れる、いわば鑑賞者の中での展示だと思いました。

翻って本展は、ガラスや水の要素はありつつ、色が増えました。

「座」という数人が座れる展示物が印象に残っています。

そこには多くの人々が作品を見ようと往来するのですが、中には同じく座る人もあり。
内藤作品は比較的内向的なものが多い印象でしたが、徐々に外側に開かれていくのかもしれません。

月例講演会に参加して

展示は、縄文土器という、無垢、イノセントで作為の薄いものと、つまり、当時の作成者が「こう作ろう」「うまく作ってやろう」という意図の薄いものと併せて展示されたと語られました。

「では、内藤の作家性とは何か?」

わたしはこの一言がとても印象に残っています。
未だ答えは出ておらず、禅問答のよう。

価値のあるものとは何か。ホワイトキューブで飾られるものが価値のあるものなのか。

金銭的な意味で言う価値を出そうとして作られたものではない縄文土器を東京国立博物館という美と価値の集積の場において作品の一部として展示することは、それだけで意義深く、尊いことではないか。

わたしは講演を聞きながらそんなことを考えていました。

以下の記事では、作家のインタビューが載っています。本人のことばから意図を読み解くのによいです。

銀座 メゾンエルメスでの展示

東京国立博物館での展示に続くかたちで銀座メゾンエルメス フォーラムでも行われています。
会期:2024年9月7日(土)~2025年1月13日(月・祝)

講演で「ガラスの内側が死んでいる世界、外側が生きている世界」という解釈の話がありましたが、銀座のエルメスの建物をみると、なぜ本展がここで行われたのかが想像できます。

大きな「座」は交流の場でしょうか。

そしてここもカラフルです。それは作家性の移ろいを感じさせ、これからの内藤作品をイメージさせます。

おわりに

本記事では、「生まれておいで 生きておいで」の2会場と月例講演会に参加し、講演会で語られた内容や展示の感想について記載いたしました。

作者の意図が分かれば、作品鑑賞に深みが増すはずです。すでに行かれた方はもう一度、まだの方はぜひ一度、会場を訪れてみてください。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?